96話 アオイは化け物ですか!
午後は傭兵隊の組織戦の訓練が行われた。各班の連携を確認するためである。
「バーダック、傭兵隊の訓練全般は今後、任せるよ。」
基本的に傭兵隊は個人的な契約で隊に所属している。給金は個人の力量によるので基礎訓練をおろそかにする傭兵は淘汰される。
ただし、組織戦は苦手とされる。アオイはβ班に全体の統制を取らせ、戦闘の際は中心的な役割を任せようと考えていた。そのため、組織戦の訓練をバーダックに任せようとしていた。
一方のα班には特殊な任務を担当してもらおうと考えていた。例えば、ダンジョンの攻略。
「アオイはα班と一緒に第6、第7の封印を攻略するつもりですか?」
ヒスイの問いにアオイは笑顔で答えた。
「うん。α班にはダンジョンの攻略を手伝ってもらうつもり。もちろんヒスイにもね。」
ヒスイは嬉しそうにアオイの腕を取ると自分の腕を絡ませた。
「へへへ、任せてください!」
アオイはヒスイの頭をなでると小さな声でつぶやいた。
「ありがとう…、ヒスイ。」
「え?何ですか?」
「いや、何でもない。でもダンジョン攻略の前に第1封印の解呪が先。ダスティスと作戦を練らなきゃ。」
アオイは当初の予定通り第1から第5までの封印はシュラクか、スサノに解呪してもらおうと考えていた。
「魔団がどう動くか?わからないから騎士団を編成して攻める。」
「攻めるって…。封印には何があるのですか?」
「ああ、それぞれにルークが闇魔法で作り出した守護獣がいる。おっかないよーー。」
「えっ?解呪は簡単なのでは?」
「解呪はね。闇魔法が使えれば簡単だよ。」
「守護獣はそれぞれ、
第1 ゴーレム(大軍)
第2 エイシェントドラゴン
第3 フェンリル
第4 ガーゴイル(大軍)
第5 リッチ
だね。」
ヒスイは驚き、あきれていた。いやいや、全然簡単じゃないじゃないか!
「アオイ、どこが簡単なんですか?超絶に難しい相手ばかりです…。」
「いやいや、そんなことはないよ。ゴーレムとガーゴイルはヒスイのゴーレムの方が圧倒的に強いし、騎士団による集団戦が有効な相手だよ?ドラゴンは2匹いたけど、1匹は私が倒したし…。リッチもぶちのめして服従させてるから、手こずるのはフェンリルじゃないかな?」
ヒスイはあきれていた。この人はなんなんだろう。
「…。」
「なんだよ?」
「化け物!アオイは化け物ですか!!」
「な、なんてことを言うんだよー。」
アオイは口を尖らせながら言った。
「魔竜を倒した話は聞きました。もう1匹いるって!2匹のドラゴンを相手にしたのですか?」
「そうだよ…。」
「しかもリッチを服従って!実態を持たない魔素の塊みたいな相手をどうやって服従させたのですか?」
「どうやってって?普通に闇魔法で身体の半分を亜空間に落としてやっただけだけど…。」
「化け物!やっぱりアオイは化け物です!!『普通に』って!全然普通じゃないですから!頭痛くなってきました。」
「ヒーリングしてやろうか?」
「そう言うことじゃありません!!!」
「…と言う感じなんです。ダスティスさんからもアオイに何か言ってやってくださいよ…。」
ヒスイは疲れた顔をしていた。そんなヒスイをダスティスは不思議そうに見ていた。
「え?アオイは化け物でしょ。いまさら何言ってるの?」
「…」
「守護獣の討伐が簡単じゃないことはわかっているから。でも不可能じゃない!あなた達がいてくれたら心強いけど第6、第7の封印に集中してほしいから。」
「ああ、でも第1封印は一緒に行くよ。騎士団と傭兵隊の2隊で攻めようと思っているけど。」
ダスティスは深く頷くとシュラクへと指示をだした。
「シュラク、アオイと詳細を詰めておいて。アオイ、シュラク。どのくらいで用意できる?」
「そうだね。1週間かな?シュラクはどう?」
「可能です。」
「わかったわ。では出発は10日後にしましょう。」
「ダスティス、シュラク。一つお願いがあるの。」
アオイはちょっと言いにくそうに切り出した。
「スサノを私に預けてほしい。身柄は必ず守る。私の近くで闇魔法の使い方を学んでほしいんだ。」
ダスティスとシュラクは顔を見合わせたがすぐに2人ともうなずいた。
「わかった。スサノはアオイに預けます。よろしくお願いします。」
「うん、こちらこそ。」
「ところで…。」
ヒスイも言いにくそうに皆を見渡した。
「第6と第7の封印はどんな感じなんですか?」
「ああ、わからない。」
「え?」
「わかんないんだよ。結構やばそうな雰囲気があって私も内部には入ったことないんだ。」
ヒスイはショックを受けていた。
(アオイが『やばさそう』ってどんだけ危険なんだろ…。)
黙り込んでしまったヒスイを見てダスティスがフォローにはいる。
「いや、でもアオイとヒスイさんがいれば大丈夫ですよ。竜の魔装もあることですし。」
「はい…。」
ヒスイは不安だったがそう答えるしかなかった。
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