90話 アオイとヒスイの実力
「バーダックさん、どう攻めますか?あの黒髪は強そうだけど、髪の短い方は隙だらけだなぁ。」
「髪の短い方、あいつを先ずは落とそう。風魔法で裸にむいてやれ!俺は髪の長い方を相手する。
髪の短い方をやったら5人で黒髪を攻める。お前らは遠距離から魔法を放て。トドメは俺がやる。」
バーダックはそう言うと剣に光の魔素を込め始めた。
「よし、それでは始め!」
ダスティスの掛け声でバーダック達5人は動いた。風魔法がアオイに集中した。
「衣服を切り刻まれて恥をかくぞ。」
(風の使い手の男はこの魔法が好きだよな…。)
アオイは心の中でそう思ったが特にレジストもせずに風魔法の中に飛び込んだ。そして闇切に魔素を込めると風魔法を切った。
(なっ!魔法を切っただと!)
バーダックは内心で驚愕していた。しかもアオイの動きは無駄がなく、とても美しかった。
バーダックはヒスイと相対しながらもアオイの動きに見惚れていた。
「はあ…」
アオイはため息をつくと刀を鞘に納め、4人の使い手に肉薄した。
1人は足払いで地に倒すと腹を蹴り上げた。すぐに2人目に駆け寄る。顎を掌底で打ち意識を奪うとその身体を盾にして3人目の風魔法の攻撃を防いだ。
「はい、残念。」
アオイは魔法で光の矢を作り出して3人目、4人目に放ち、無力化した。それはあっという間の出来事だった。
「そろそろ良いですか?」
ヒスイはバーダックに声をかけると矢切を鞘に納めた。バーダックはアオイの強さに驚愕しながらもヒスイに相対した。
(こいつら…、何て強さだ。)
バーダックは光を纏わせた剣をヒスイへ振った。光の魔素が刃となってヒスイへ向かうが、ヒスイはこれを身体を傾けただけでかわした。
「!!」
ヒスイは地面に魔素を込めるとバーダックの足元に石の触手を発現させて両足を縛りあげた。
「何!」
バーダックから見てそれは神業とも言うべき魔素のコントロールだった。ヒスイはそのまま、バーダックに駆け寄ると動くことの出来ないバーダックの腹に蹴りを叩きこんだ。
「ぐふ。」
バーダックはその場にしゃがみ込む。
「はい、勝負あり。他に挑戦したい者は?」
ダスティスの言葉に答える者はいなかった。
バーダック達はアオイとヒスイに服従した。バーダックはアオイとヒスイを心から敬服していた。
「アオイ隊長、ヒスイ副隊長。俺達は貴女達に従います。」
5人は片膝をつき、礼をした。他の傭兵隊の面々はそんなバーダック達の様子を見て顔を見合わせいたが、アオイにひと睨みされてバーダック達にならって片膝をついた。
「よし!私がこの傭兵隊の隊長になったアオイです。これからよろしくね。
それから、今日はこれで訓練は終わりです。急遽、私達の歓迎会を行うことになりましたので各班長は死ぬ気で準備するように。1時間後に状況を開始します。全員、この場に再度集まること。では解散!」
ダスティスは苦笑いをし、ヒスイは顔をしかめ、マオは困った顔をしていた。ただ、ヒスイはアオイらしいなとは思い、アオイに酒を飲み過ぎさせないようにしないとな…と漠然と考えていた。
そして、
(アオイに手を出そうとする男は殺す…。)
物騒な決意をしていた。
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