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72話 魔法戦士の正体

アンナの屋敷までは1時間もかからずに着いた。アルデイを乗せて飛んでいることにキャスターが張り切ったためだった。


「こら、キャスター!もうちょっとスピードを落としなさい。」


 キャスターは途中でアンナに叱られる始末だった。

 アンナは終始アオイの隣で嬉しそうに笑っていた。アンナは時たまアオイの身体に触れるのでその度にヒスイはムッとしていた。

 アンナの屋敷は平屋建であったが敷地は広く、風通しの良い清潔な造りであった。

 屋敷に着くとアンナは皆を部屋に案内した。ヒスイ、アルデイ、ジムには個室が与えられた。


「アオイは私の部屋でくつろいでね。」


 アンナの部屋割りに異議を唱えたのはヒスイだった。


「アオイと私は防犯のためにも同じ部屋にしてほしいのですが。」

「なんだ?私の屋敷が危険だというの?」


 ヒスイとアンナは睨みあった。


「アオイ、どうしますか?」

「アオイ、どうするの?」


 アオイは困った表情をしながら、


「え、えーと。ヒ、ヒスイとが良いかな?」


 とヒスイの顔色を伺いながら言った。

 ヒスイは嬉しそうな顔をしたが、アンナに睨まれて、すぐに表情を引き締めた。


「仕方ないわね。でも後で2人で語らいましょうね。」

「そんな事よりアンナよ。アオイとヒスイは竜の魔装を受け取りに来た。可能なのか?」


 アルデイの問いにアンナは即答した。


「アオイが壊しちゃったわよ。」

「何!アオイ、それは本当か!」


 アオイはしまった!という表情をしてアルデイを見たが、すぐにアルデイから目を逸らせた。しかしアルデイはさらにアオイを問い詰めた。


「どうすればあれが壊れるんだ??そうか!だからルークと戦闘になった時にアオイは竜の魔装を付けてなかったのか!!」

「いやーー、あの時の私は絶好調だったのかな??闇切に魔素を込めて放ったら弾け飛んじゃったんだよね。」


 アルデイは頭を抱えた。


「そうか!合点がいった。だからジンライはルークとの戦闘の前に虹丸の調整をあんなにも念入りに行っていたのか!」

「へへへ。」


 アルデイの呆れた顔にアオイはひきつった笑いを浮かべた。


「え、竜の魔装って名も無き魔法戦士が使っていたのではないのですか?アオイが使ってたの?」


 ヒスイは意外と言いたげにアオイへ問うた。


「何だ。ヒスイは知らなかったのか?名も無き魔法戦士はアオイだぞ。」


 アオイはさらにひきつった顔になり、ヒスイのことを見た。


「え?だって。魔法戦士って男性なんじゃないのですか?そもそも歳だって。え?」


 アオイはぽりぽりと頬を掻いて天井を見上げてしまった。


「アオイは見た目は若いけど、結構な人生経験を積んでいるのよね…。」


 ヒスイはベガスと戦った後のアオイとの会話を思い出していた。


 『前にルークは歳をとらなかったって話をしたよね。私も一緒。』※


(あ、アオイ…私も一緒って言っていた…。初めて会った時は20歳って言ってたのに…。※※でも歳のことは聞かない方が良いよね…。)


「そうか!だからアオイの家に飾っていた六英雄の絵の魔法戦士は小柄に描かれていたんですね!」

「そう。あの絵はダスティスが描いたんだ。良い絵だったでしょ。」


 アオイは自慢気だった。


「でもなぜ、魔法戦士は男性だってことになっているんですか?」

「それは元々魔法戦士はブエノスだったからだ。あいつはルークに魅せられてしまったからな…。」


 アルデイは寂し気に答えた。


「うん、魔法戦士はブエノスと私が混ざってできた架空の戦士だね…。」


 ジムはこの場に居ることがとても肩身が狭かった。


(この話、僕が聞いても良いのかな??)

 


お読みいただき、ありがとうございます!「いいね」や「ブックマーク」を挟んでいただけると励みになります!これからもアオイとヒスイをよろしくお願いします。

※35話 アオイの魔素

※※2話 王都

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