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59話 戦いの後

「アルカディア!」


 アオイがアルカディアに駆け寄るとヒーリングを施す。傷はすぐに癒えたが、その右腕は肘から下が無かった。


「アルカディア、お陰で助かったよ。ありがとう。」

「いえ、お2人が無事であったなら本望です。アオイさん、子供や情報部員にもヒーリングを施してあげてくれませんか?」

「もちろんだよ。アルカディアは少し休んでて!」


 アオイは子供達を含めて怪我の手当を行い、ヒスイはドゴス副班長とともにバールミンの騎士達を武装解除していた。オーブとディスターブ以外の騎士はバールミン侯爵が無事であることを知らず、命令に従っていただけのようだった。

 アルカディアは無くなった右腕の肘を摩りながら、ヒスイのことを眺めていた。


(ああ、もう近衛騎士には戻れないな。)


 アルカディアはそう思ったが、意外と心は晴れやかだった。


(ヒスイさんが無事で良かった。)


 アルカディアは心の底から安堵していた。

 



 今回のバールミン侯爵の奪還作戦では幸いなことに両陣営ともに死者はいなかった。子供達も魔素を多く奪われていたが、命に別状は無かった。


「アルカディア、本当にありがとう。アオイの命を守ってくれたのはあなたです。何とお礼を言って良いか…。」


 アルカディアはヒスイに手を握られ、涙ながらにお礼を言われて顔を真っ赤にしていた。

 近衛騎士団に入隊してから長い付き合いであるドゴス副班長はその姿を見て、からかいたい衝動に駆られていたが、アルカディアがヒスイに恋心を抱いていることと、今回の行動がヒスイを思っての行動であることを知っていたので黙って見守っていた。


「ヒ、ヒスイさん。私はヒスイさんにお怪我が無くて本当に安堵しています。私はヒスイさんの盾になれれば本望ですので。」


 この言葉は生真面目で奥手なアルカディアのヒスイに対する精一杯の告白であったが、ヒスイも男性からの好意に鈍感な娘である。


「いえ、アルカディアはアオイのことを守ってくれたのです。ありがとうございます。」


 微妙に噛み合わない返答をしていた。



 

 バールミン侯爵が目覚めた時、ちょうどアオイが花瓶へ花を挿しているところだった。


「ここは…?」

「侯爵!気分はどう?」

「儂は死んだのか…。アオイ殿の幻影が見える…。」


 バールミン侯爵はゆっくりとベッドから上半身を起こすと改めてアオイのことを見つめた。


「あの時とちっとも変わって無い…。美しいままじゃ…。」

「褒めても何もあげないよ。でもその様子だと大丈夫そうだね。」


 アオイはベッドに腰をかけてバールミン侯爵の背中に手を回した。


「ああ、どうやら生きているらしい。察するに尽力いただいたようじゃな。」

「いや、アサインさんをはじめバールミンや王都の騎士達が頑張ったんだよ。実際、私は危なかった。本当に皆には助けられた…。」


 バールミン侯爵はゆっくり頷くとベッドから立ち上がろうとした。


「ちょっと、侯爵。安静にしてなよ。」


「いや、アオイ殿がヒーリングしてくれたのだろ?なら、もう大丈夫じゃ!我が配下にばかり働かせる訳にはいかないからの。誰か!アサインをすぐに呼べ!」


 アオイは心配気に侯爵を見たが、その目に光があることを確認して安堵した。


「大丈夫そうだね、侯爵。」


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