56話 アルカディアの決意
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夕日が真っ赤に領都を照らしていた。アルカディア率いる10名の騎士団が侯爵邸の正面玄関前に、アサインが率いる情報部員5名が侯爵邸裏に配置した。
「よし、アルカディアが仕掛けたら行くよ。」
アオイとヒスイはちょうど侯爵邸の側面に位置した。
そしてすぐに正面玄関が騒がしくなる。
「情報部B級騎士アルカディアと言う。バールミン侯爵に至急の用向きがあり、参じた。取り次ぎを願う!」
アルカディアは自分のパスを提示した。
「私はバールミン領A級騎士、騎士団団長オーブだ。今、指示を請うているので暫し待たれよ。」
「いや、可及の用向きのため、押し通らせてもらう。」
アルカディアはオーブを押し退け、侯爵邸に入ろうとしたところにディスターブが現れた。
「バールミン侯爵は多忙だ。代わりに領主代理として私が話を聞こう。」
「いや、ディスターブという名は次期領主候補から正式に外されている。ために貴殿を代理とは認められない!そこを退け!」
「どいつもこいつも俺の邪魔ばかりする!オーブ、構わない!こいつらを切れ!」
オーブは騎士団に目で合図すると抜刀した。アルカディア班もオーブが抜刀したことを確認してから抜刀した。
「フレイル!屋敷の中を探知!」
アルカディアは風の使い手に侯爵邸の探知を指示した。
「はい。」
アルカディアは風魔法を練り始めたフレイルを守る位置で剣を振るった。
「前衛は屋敷の外に出て戦え。後衛は執務室への通路を塞げ!」
オーブは騎士団に指示を出しながら、風魔法で子供達の存在を探知されることを恐れた。
「誰でも良い!あの風の使い手を殺せ!」
オーブの指示でフレイルへ魔法の攻撃が集中する。だが、アルカディアをはじめとする班員がレジストを展開してフレイルを守った。
「フレイル、まだか?」
「はい、いや、これは…。」
「フレイル!」
「小さな…、子供か?子供が屋敷に15名。執務室を囲むように配置されています。執務室には侯爵と思われる反応があります!」
「子供だと…!」
アルカディアは術者として刻印魔法の優位性を日頃から感じていた。なので、魔法陣を敷き詰める刻印魔法に関して学んでいたことがあった。なぜ、子供を配置しているのか?アルカディアに思いつく結論は一つだった。
「刻印魔法の魔素として使うつもりなのか!」
アルカディアは激怒した。元来、正義感の強い性格である。刻印魔法がどのような術式なのかはわからないが、子供を生贄にするとは!
「子供を救助する!後衛を突破するぞ!3名ついてこい!あとはドゴス副班長に指揮を一任する!」
このアルカディアの反応はオーブにとって許容できない行為だった。オーブはすぐにアルカディアを追った。
(後衛と挟み撃ちにしてやる!)
だが、正義感に燃えるアルカディアは強かった。後衛を切り抜けると一気に通路を駆け抜けた。3人の情報部員は後衛がアルカディアを追わないように足止めする。
「やらせはせんぞ!」
オーブはアルカディアを追った。自分達の後ろめたい行為を隠そうとするために。オーブは情報部員の脇をすり抜けるとアルカディアに光の矢を放った。光の矢はアルカディアの右肩を貫通した。だがアルカディアは止まらない。一気に子供達が居るであろう部屋まで駆け抜けた。アルカディアは扉を光の刃で切り飛ばして部屋の中へ入った。そこには子供達が、檻の中に囚われていた。檻の床に大きな魔石が嵌め込まれており、アルカディアはその意味するところが理解できた。
(やはり屋敷に刻印魔法が施されている!あの檻の中から魔素を搾り取るのか!)
「ちょっと離れて。今、出してやるからな。」
アルカディアは剣に魔素を込めると檻の鉄格子を切ろうとした。
「何?」
アルカディアは背中をオーブに切り付けられ、倒れこんでいた。
「ここで大人しくしていろ!」
いつの間にか部屋にいたディスターブがアルカディアの左手に魔素封じの手枷を嵌め、檻の鉄格子に固定した。
「ざ、ざまあみやがれ。ここでお前も魔素を絞りとられろ!」
その様子を見たオーブがディスターブに声をかけた。
「ディスターブ様、ここは危ない。屋敷の外へ出ましょう。」
ディスターブとオーブはアルカディアを一暼して部屋を後にした。
「お、お兄ちゃん…。」
「大丈夫だ。何とか助けてやる。」
(このままだと侯爵はもちろん、執務室を目指しているヒスイさんが危ない。アルカディア!決断しろ!)
アルカディアは自分を鼓舞すると右手に持っていた剣を振りかぶり、自分の左手ごと魔素封じの手枷を切り飛ばした。
そして魔素を剣に込めると鉄格子を切り飛ばした




