48話 竜騎士アルデイ
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(ヒスイが心配しているなぁ。早く行かなきゃ。)
アオイは足を動かすが足元の泥沼が邪魔をして前に進めない。そして泥沼はどんどん深くなりアオイを沈めようとする。
(早く行かなきゃならないのに!)
アオイが絶叫すると同時に全身を激痛を襲った。
「痛っ!」
「目が覚めたか?」
「ここは?私はどうなった?」
アオイは見覚えのないベッドに寝かされていた。
「私はどのくらい寝ていた?」
「今は夜明け前だ。アオイは8時間くらい寝ていた。」
「あなたは?何故、私の名前を?」
男は被っていたフードを脱いだ。男は60歳くらい、精悍な顔立ちをしていたが、肩口から右腕がなかった。。
「アルデイ…。」
男は六英雄の1人、竜騎士アルデイだった。
「懐かしい闇魔法を感じたので来てみたらアオイが倒れていた。」
「ありがとう。助かったよ。」
アオイは力なく答えた。
「アオイ、まだ闇の力が戻ってないのだな。こんなにやられるなんてな…。」
「うん、闇魔法は使えないに等しいよ。」
アオイのその声色はとてもせつなく響いた。
「ブエノスが相手か?」
「そう。強敵だ。でも行かなきゃならない。教団は放っておけないから…。アルデイ、お願いがあるの。」
「なんだ?アオイの頼みなら大抵のことは聞くぞ。」
「気まぐれ屋に私の相棒がいる。ヒスイっていうの。私がここにいる事を伝えてほしい。」
「わかった。ヒスイ、アオイの相棒をここまで連れてこよう。」
アオイは安堵した表情を見せた。
「ありがとう。アルデイが一緒なら安心だ。」
「アオイ、俺が戻るまで大人しくしていろよ。」
「うん、どのみち動けないからね…。」
アルデイはアオイの額に手を置くと静かに部屋を出ていった。
アサインとエリオットに仮眠するように進められたが、ヒスイは一睡もできなかった。もうすぐ、朝になる。
「アオイ…。」
ヒスイはすぐにアオイの元へ駆けつけたかった。だがそれが出来ない自分に忸怩たる思いだった。
「アオイ…。」
何度その名前を呟いただろう。その時、店の雰囲気が変わったことをヒスイは感じた。
(もう店は閉まっているのに…。)
「エリオットさん、何かあったのですか?」
ヒスイは隣の部屋にいるはずのエリオットに声をかけたが返事はなかった。ヒスイは矢切を抜くと簡易ベッドで仮眠していたアサインを起こした。
「アサインさん、何か変です。」
アサインはすぐに起き上がり、剣を手にした。
「エリオットさんと誰かが、店の外で話をしてますね。尋ねてきた人は手練です。」
ヒスイはそっと扉に近づくと話し声に聞き耳を立てた。
「アオイを預かっているとヒスイに伝えて欲しい。」
「それはどういうことですか?」
「文字通りの意味だ。」
ヒスイは戦慄した。
(アオイを預かっている?こいつがアオイを捕らえているというのか!!)
ヒスイは扉を蹴破ると魔素を地面に練り込み、ゴーレムを作り出した。そしてアルデイへ問答無用でゴーレムの突きを叩き込んだ。アルデイはその攻撃を左手でいなした。ゴーレムは体勢を崩して倒れ込んだ。すかさずヒスイは矢切をアルデイへ振るった。その斬撃はヒスイの怒りをはらんだ必殺の一撃だった。その刃はアルデイの右手を切り飛ばしたかに見えたが、実際ははアルデイの服の袖が切られて舞った。
(右手が無い!)
ヒスイが認識した時、ヒスイはアルデイから魔素を身体に直接叩き込まれて動けなくなっていた。いや、動けないはずだった。
「アオイを返せ!」
それはヒスイの魂からの叫びだった。動けないはずのヒスイの身体が振えた。そしてヒスイは立ち上がったのだ。
「先の一撃といい、立ち上がった胆力といいアオイが相棒に選ぶだけはある。」
アルデイは呟くとヒスイに語りかけた。
「剣を納めてほしい。アオイに頼まれた。お前に迎えに来てほしいそうだ。俺が案内する。」
「あなたは何者ですか?」
ヒスイの問いに対するアルデイの答えはここに居合わせた騎士達を戦慄させた。
「竜騎士アルデイという。」




