47話 葛藤
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ヒスイとアサインは兵達の囲みを切り抜け、領都の路地を走っていた。
「ヒスイさん、こっちです。」
アサインは領都を知り尽くしており、尾行を考慮して回り道をしながら気まぐれ屋を目指していた。
「アサインさん、尾行は無いようです。このまま最短で気まぐれ屋まで行きましょう。」
ヒスイは一刻も早く、情報部に接触したかった。アサインを送り届け、アオイの元へ戻りたい。ヒスイは強く強く思っていた。
「わかりました。こちらです。」
アサインはヒスイを伴い、路地裏を抜け出る。ほどなくしてヒスイは既視感のある看板を見つけた。王都で何度かアオイと一緒にお酒を飲んだ店と同じ作り。ヒスイはもどかしい思いで扉を開けた。
「いらっしゃいませ!」
猫型の獣人のウェイトレスが元気に声をかけた。
「アマノさんの忘れ物を受け取りにきました。」
ヒスイはウェイトレスに目的を告げた。一瞬、ウェイトレスは鼻を引くつかせたが、すぐに、
「仰せつかってます!こちらにどうぞ!」
ヒスイとアサインは奥の個室へ通された。ほどなくして、30歳くらいの男性がやってきた。
「情報部B級騎士のエリオットです。」
「A級騎士のヒスイです。こちらはバールミン領B級騎士のアサインさん。」
「よろしくお願いします。アマノ女医から概要は聞かされています。ところでアオイさんは?」
ヒスイはバールミン領都へ潜入した時の経緯を説明した。そして、
「私はこのまま、装備を整えてアオイと合流します。」
「お待ちください、ヒスイさん。アオイさんの居場所はわかるのですか?」
「魔素を辿ればわかるかと思います。」
「ですがアオイさんが魔素を隠蔽して潜伏している可能性もある。何より今動くとヒスイさんが敵兵に見つかるリスクが高いと思います。心配なのはわかりますが、こちらでアオイさんの到着を待たれた方が良いかとおもいます。」
ヒスイはエリオットの正論に答えることができなかった。
「それに明日の昼には王都から騎士階級の者が15名到着予定です。予測外のことがあってもそれから対応できると思いますので。」
「わかりました。ここで待たせていただくことにします。」
「では食事と飲み物を運ばせますので、お待ちください。」
ヒスイは個室の椅子に座り込むとテーブルに置かれた軽食と飲み物を睨みつけていた。
「ヒスイさん、少し食べましょう。いざと言う時に力がでませんよ。」
「はい。」
ヒスイは力なく頷くとサンドイッチに手を伸ばした。
「アサインさん、私は待つしかできないです。」
「待つのも大事な事です。でもいつでも出られる準備はしましょう。」
アサインは自分の妹くらいの歳のヒスイに優しく語りかけた。
「そうですね。私、着替えますので向こうを向いていてもらえますか?」
ヒスイはそういうと農家で着替えた服を脱ぎ、いつもの動きやすい服装となった。そして、その上から魔装をつけてジャケットを羽織った。
(アオイ、どうか無事でいて…。)




