46話 闇の剣士
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「出口です。」
アサインが出口を示したがアオイとヒスイは浮かぬ顔をした。
「すごいのがいるね。」
「はい、禍々しい気を感じます。」
「ヒスイ、アサインを連れて情報部に接触して。何が何でも…だ。私は突破口を開く。」
「でも…。」
言いかけたヒスイの言葉に被せるように、
「教団の動きを封じたい。お願い、ヒスイ。私のわがままを聞いて。」
ヒスイは言いたかった言葉を飲み込んで答えた。
「わかりました。気まぐれ屋で必ず会いましょう。」
「わかった。じゃあ、行くよ!」
ヒスイはミニレムを出口の扉に体当たりさせた。扉がひしゃげ飛んだ。その瞬間、ミニレムはその全身を焼かれ、弾け飛んだ。
「アオイ、気をつけて!私が会った魔剣を使う剣士です!」
アオイは前方をレジストしながら出口から飛び出した。そこへすさまじい爆風が襲う。だが、アオイのレジストは破られなかった。
アオイはそのまま剣士に駆け寄ると一気に虹丸を抜き放ち、上段から切り掛かった。
「でや!!」
裂帛の気合い!しかし、その一撃は魔剣、魔素喰によってふせがれた。刃と刃がぶつかり、不気味な火花を散らせた。
「ブエノス!」
「アオイか!!」
アオイは右手に魔素を込めてブエノスへと放った。無数の光の矢が襲いかかる。
「!」
ブエノスは魔剣を一振りすると悉く光の矢の魔素を魔剣で喰らった。だが、アオイはその一瞬にブエノスの懐へ入り込むと虹丸に込めた魔素を光の刃とし、ブエノスの胴へ叩きつけた。ブエノスは吹き飛ばされて地面へと叩きつけられていた。
「ヒスイ、今!抜けて!」
ヒスイはゴーレムを作り出すと周りを囲んでいた兵士を薙ぎ倒し、アサインとともに駆け抜けていった。
「アオイ、待ってますから!」
アオイはその言葉に頷くとブエノスに向き直った。ブエノスはゆっくりと立ち上がる。
(これくらいでやられてくれないよね。)
「久しぶりだね。ブエノス。魔剣の性で人相が悪くなったんじゃない?」
「そうかもしれない。俺は闇の魔剣を受け取ってから人間ではない物怪となった。魔素を封じているお前とは生きる世界が違う。人相も変わるというものだ。」
「私は闇の魔素を封じたわけじゃない。眠ってしまっただけ。闇の魔素が目覚めればブエノスと同じ世界の住人かもね。」
「ヒスイを捕らえたかったが、お前がいるのなら難しい。だが怪我の巧妙だ。ここでお前には死んでもらい、闇切をもらい受けよう。」
ブエノスは魔素喰に"魔素"を込めるとアオイへと切り掛かった。アオイは虹丸で魔剣を受け流したが魔素を奪われ、目眩を覚えた。
(くっ、あれはやっかいだ。)
アオイは後に飛び、ブエノスの間合いから外れた。そこへ兵達が矢を射掛けてきた。アオイは矢を虹丸で落とすと右手で雷撃を作り出し、兵へぶつけた。雷が伝播して3人の兵が倒れた。しかし、そこにできた隙をブエノスがつく。ブエノスは左手に炎を作り出すとアオイに向けた。炎は蛇のようにブエノスから放たれ、アオイの右足に絡みついた。アオイはすぐにレジストして炎を消したが右足に激痛を感じていた。
(ヒーリングする余裕はない。)
アオイは虹丸を鞘に戻し、居合の構えをとった。魔素を虹丸へ込める。そして、
「うおーー。」
気合いを込めて虹丸を抜き放った。虹丸から放たれた光の濁流は刃となってブエノスへ迫った。
(あれは魔素喰でも吸収しきれない!)
ブエノスはそう判断した。魔素喰に魔素を込めると光の刃に打ち込んだ。光の刃は魔素喰とぶつかり合い、無数の光の粒子となり、弾けた。
光の粒子は辺りに降り注ぎ、周りを取り囲んでいた兵達はその鎧ごと貫かれ、あるいは頭を砕かれて絶命していった。
ブエノスもまた、光の刃を弾ききれていなかった。光の粒子はブエノスにも襲いかかり、その身を引き裂いていた。致命傷にはならないが、ブエノスは立っているのがやっとだった。
「さすがだな、アオイ。」
アオイもまた、光の粒子を受けて身体を血に染めていた。特にブエノスに焼かれた右足が痛々しかった。
「ブエノス、悪いけど私はここで死ぬわけにはいかない。ここは通してもらうよ。」
アオイは闇切を抜くと魔素を込めて自身に闇を纏った。ブエノスはアオイが見えなくなった。
「あの傷ではそう遠くまで行けまい。魔素もつきかけている。ヒーリングもかけられないだろう。」
ブエノスはゆっくりと歩きだすと生き残っていた兵に言った。
「ディスターブに連絡を。アオイを狩り出す。」




