38話 魔物退治
アオイとヒスイは2人でガモウ鳥に乗っていた。
「ガム、もう少し魔素の放出を絞ってみようか。全体に魔素を広げるんじゃなくて、重りのついた紐をくるくる回すイメージだよ。」
「わかりました!やってみます!」
もう1匹のガモウ鳥にはガムが跨っていた。ガムはアオイに指導を受けながら、風魔法を使って索敵を行っていた。風魔法は空間認識に向いており、地形の把握や索敵に非常に便利だった。
「カモ、ちょっとだけゆっくり行ってくれる?」
アオイとヒスイが乗っているガモウ鳥(雌)にはカモ、ガムの乗っているガモウ鳥(雄)にはガモという名前がつけられていた。ちなみに命名者であるヒスイ曰く、
「なんとなくです。」
とのことであった。
あれから襲撃はなく、アオイ達は順調に旅程を進めていたが、領都に繋がる森林地帯に入ると魔物の数が増えてきた。普通であれば領内の街道の安全確保はその領主がかかえる騎士団の仕事である。
「きっと騎士団が機能していませんね。」
「バールミン侯爵はとても気の良いおじいちゃんなんだけどなぁ。どうしちゃったのかな?」
アオイが心配そうな表情をした。
「アオイさん!魔物の群れが近寄ってきます。」
ガムが緊張した声を上げた。
「ああ、ガム。よくやった!わかってるよ。」
「ガムも魔素のコントロールに慣れてきましたね。」
ヒスイが珍しくガムのことを褒めた。
「そうだね。もう少し魔素量が抑えられたら疲れないんだけどね。さて、ヒスイ。殺っちまうか?」
「アオイ、物騒ですよ。」
「そう、誰かさんの影響でね。」
アオイは右手に魔素を込めはじめ、光の矢を放とうとした。
「アオイ、あまり魔素を使わないでください。私に任せてくださいね。」
ヒスイは冷静にそう言うと石に魔素を込め、近づいてきていたワオウルフに向かって飛ばした。石はワオウルフを次々と粉砕していく。
「あ、ヒスイ。1匹残して!ガム、最後のワオウルフは君に任せた。」
「はい、アオイさん。」
ガムはワオウルフの首元に真空刃を飛ばすと頸動脈を切断した。ワオウルフは鮮血を撒き散らしながら倒れた。
「あー、人の群れもいますね。このワオウルフの群れはあっちの集団から逃げてきたのかな?あっちの方が嫌な気を感じます。ガム、風魔法で音を拾えますか?」
(マルシムが得意な魔法だったな。)
ヒスイはガムにマルシムを重ねながら言った。
「はい、できると思います。少々お待ちを。」




