28話 特訓
バールミン領までは何ごともない平穏な旅程が続いた。道中、ヒスイはジムと一緒に時間を見つけては魔素を練り込んだ素材の彫刻に取り組んでいた。わかったことは精製が難しい素材の方が扱いずらいということだった。石よりも鉄、鉄よりも金、金よりもミスリルの方が扱いは難しかった。また、宝石は更に扱いが難しい。
「特殊な条件で作られる鉱物は魔素が読みづらいです…。」
とヒスイは言っていたがアオイからすると石に精密な加工を施せるヒスイが異常であり、宝石を加工できるとなると神の領域なのではないかと思ってしまう。ジムは石の形を変えて彫刻を施すことはできたが精々球体などの単純な図形であった。
「魔素のコントロールの練習になりますのでバールミン領に着くまでに鉄でこれが作れるようになりましょう。」
ヒスイはそう言うと石でトマトを作りだした。
「形は単純ですが、ヘタの再現などは細かい魔素のコントロールが必要かとおもいます。頑張って。」
「はい、師匠!頑張ります。」
一方、ガムはアオイにしごかれていた。
「限界がわからないと教えずらいからね。先ずは魔素が空になる寸前まで魔力を使おう。」
アオイはそう言うと光の矢を作り出した。
「これから光の矢を打ち込むから前方に魔素を放出してみようか!」
「アオイさん、これってレジストですよね。俺がやるとすぐに魔素が尽きちゃう。」
「それが目的だから問題ない。ちゃんと伏せがないと死ぬよ。」
アオイはそういうと見た目に派手な光の矢を複数作り出し、ガムへ打ち込んだ。アオイの作った光の矢は実際には見かけ倒しでそれほど威力は無かったがガムは必死だった。
「アオイさん、ちょっと待って!」
「待てないなぁ。ほら、どんどん行くよ。」
実際、ガムは魔素の扱いが粗い。光の矢(とても威力が低いものだったが)を3撃受けたところで動け無くなってしまった。
「ガムは魔素のコントロールが苦手だね。」
動けなくなったガムを見下ろしながらアオイはガムの額に手を当てヒーリングをかけた。
「すごい…。」
するとそれまで魔素切れで動けなかったガムに力が戻った。
「バールミン領に入るまでガムは寝る時以外、風魔法でこれを頭の上に浮かべること。」
アオイはそう言うとガムに10cm四方の紙を渡した。
「これを…ですか?」
「そう。落としたら、ガムにお尻を触られたってヒスイに言うから。」
「や、やめてください。俺、殺されちゃう。」
ガムはヒスイをとても恐れていた。
「それじゃあ、頑張ってね。」




