27話 アオイの石像
アオイとヒスイが食堂に行くと地獄絵図が広がっていた。商隊の面々が死屍累々と転がっていた。
「おいおい、だらしないなあ。」
「だらしないなあ。じゃないですよ。片付かないから何とかしてくださいよ。」
宿屋の店主に言われてアオイは苦笑いを返した。この原因を作ったのはアオイなのだ。アオイは床やテーブルに突っ伏している男達にヒーリングをかけてあげた。
「アオイさん、すごいな。もう何ともない。」
アオイは男達の称賛とも敬愛ともつかぬ視線をあびながら、がんじがらめに縛られているガムのところに歩いていく。そして、その魔法の見事さに感心した。
(すごいな。すぐに会得しちゃった。)
アオイはガムの拘束をとくために解呪を試みようとした時、ヒスイと目があった。
「ヒスイ、すごいね。もうできるようになったんだ。」
「解呪するんですか?」
「このままにしておくのもかわいそうだろ。」
「全然かわいそうじゃありません。アオイに手を出すとこうなるという見せしめのためにももう少し放っておきましょう。」
ヒスイはそう言うと食堂を一瞥した。その視線には殺気がこもっており、アオイを道中口説こうと狙っていた男達を震え上がらせた。
「おはようございます。」
ちょうどそこへジムがアオイの石像を持って食堂へやって来た。
「ジム!な、何を持ってるの。」
「ああ、昨日ヒスイさんが魔素を捏ねて作ったんです!すごいですよね、ヒスイさん。尊敬します!」
「ちょっと見せて!」
(これはすごい!こんなにも見事な魔素のコントロールができるなんて。ヒスイは天才だな!)
アオイはその石像を真剣に見つめていた。
「あのアオイ。それはモチーフとしてアオイが近くに居たから参考にしたというか、アオイが気になるからモデルにした訳じゃなくて、あのアオイがきれいだから創作意欲が出たからで全然変な感情はなくて、あのですね…。」
アオイは変な言い訳をはじめたヒスイの肩を両手で掴むと、
「すごいよ!ヒスイ。こんな事ができるなんて!!天才だよ。あー、ジンライに見せたかったなあ!」
ゆさゆさと揺らしながら興奮気味に捲し立てた。
「いや、やり方がわかれば誰でもできる…。」
「何言ってるの、ヒスイ!こんなことできる人なんてそうそう居ないよ。」
「そうですよ。ヒスイさん。あー、何て素晴らしいんだろう。地の魔法でこんな事ができるなんて!」
戸惑っているヒスイを前にアオイとジムは感動していた。
「やっぱり私の相棒はヒスイしかいない!」
「ヒスイさんは僕に魔道具のことを教えてくれるんですよね!あーー、夢みたい…。」
「あ、あのですね。そんなにすごいことでしょうか?」
「「すごい!!」」
アオイとジムの声がきれいに重なった。
「あ、あの…。盛り上がっているところ本当に申し訳ないのですが、ガムを解放してあげてもらえないでしょうか?このままだとかわいそうなので…。」
「あ、忘れてた…。ヒスイ、そろそろ拘束を解いてあげようよ。」
オンジンにお願いされ、アオイに説得されたヒスイは渋々ガムの拘束を解いてあげた。




