25話 ジンライの魔法
その夜、何故かオンジンと意気投合して飲み比べをはじめたアオイを横目にヒスイはジムと食堂のテーブルで食事をしながら話しをしていた。ちなみにガムはアオイにお酌係としてこき使われていた。
「ジムはどこで地の魔法を習ったのですか?」
「いえ、僕は魔法を習ったことはありません。小さい頃に村に滞在して魔道具を作っていた地の使い手に憧れて真似をしているだけです。」
「もしかしてジムの住んでいた村はブエノ村ではありませんか?」
「はい、そうです。でも何故わかったんですか?」
(やっぱりそうだ。ジンライ様の魔剣工房があったところだ。)
「ジム、この石に魔素を込めてみてください。」
ヒスイはポケットから拳大の石を取り出すとジムの前に置いた。
「はい、こうですか?」
ジムが石へ魔素を込めた。その魔素は石の表面を覆いながら内部に"浸透"していった。
ヒスイは目から鱗が落ちる思いだった。
(そうか!石に存在する魔素と自分の魔素を同化させているんだ!)
ヒスイはポケットからもう一つ石を取り出すとジムと同じように自分の魔素を石に同化させ込めていった。
「!」
ヒスイの魔素は石に浸透し、石と一体となった。ヒスイは静かに少しずつ魔素を変化させた。それはゆっくりとだが確実に石の形を変形させた。ゆっくりとゆっくりと。石はやがて女の子の形になった。アオイの姿に。
ヒスイは踊り出したいくらいに嬉しかった。
(やった、やった、やった!!こんなことができるなんて!!すごい!すごい!すごい!アオイに教えなきゃ!)
「アオ…イ。」
振り返ったヒスイが見たのは幸せそうにガムの頭をワシワシと撫でている酔っ払ったアオイの姿だった。ヒスイはその姿を見ながら改めてアオイに感謝していた。
(アオイ、私はまだ力を得られる。アオイの隣に並べるようにがんばるよ。)
「ヒスイさん、すごいですね。僕にはこんなことできない。」
ジムの声でヒスイは我に帰った。
「ジム、明日から色々な素材で練習しましょう。魔道具の作成の良い練習になると思う。」
「はい、ヒスイさん。よろしくお願いします!」
ヒスイはジムに手を振るとアオイの側に行った。アオイの周りは酒に潰れた商隊の面々が倒れていた。
「はっはっは!ヒスイちゃん。皆んなだらしないんだよ。ほらほらガム、皆んなにお酌だぞ!」
ガムはアオイの胸に顔を抱きかかえられて嬉しそうな表情をしていた。そして視線を上げたガムはそこに恐ろしい顔をしたヒスイが立っているのを見た。
「いやらしい…。アオイから離れなさい!」
ヒスイは魔素を練り上げて鉄を作ると魔素を浸透させて縄状にし、ガムをがんじがらめに縛りあげた。
「おほーー、ヒスイすごいね。ジンライみたい。」
その後、アオイはヒスイに抱きかかえられて部屋へ連れて行かれた。




