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9話 アオイ

そこにはアマノ女医も同席していた。


「何でアマノさんもいるの?」

「だって私はアオイさんの上司ですから。」


 澄ました顔のアマノを一瞥してからアオイは視線をツクミへ向けた。


「ツクミ、ベルクにお礼を言っておいて。これで私達は行動しやすくなる。」

「はい、陛下もそうお考えです。さて、今回の件だが。」

「六英雄は魔大陸で混沌の魔神を倒し、魔大陸に施された呪いを解放したはずだった。しかし、実際にはスガル平地の呪いは強固に魔大陸を蝕み続けた。だが、3年前に魔軍とアスラ連合軍が衝突した際に一人の戦士によって呪いは解放された。いや封じられたと言った方が良いか。」

「はい、私も一兵卒としてあの戦場にいました。」

「あの呪いは封じられただけで、復活する可能性がある。具体的には強い力を持つ闇の使い手の魔素を媒介とすること。」

「でもその様なことを企む輩がいるのですか?」

「混沌の魔団。目的は…。」

「目的は"世界に秩序"を与えないこと。宗教みたいなものなんだ。秩序を得た世界は力に満ち、その力で滅ぶと信じているんだ。」


 アオイは苦渋に満ちた表情を浮かべ、絞り出すように言った。


「でも、強い力を持つ闇の使い手などいるのですか?闇の使い手がいると言うことを聞いたことがありません。」

「闇の使い手はいる。現に私は3人知っている。だけど"巫女"、混沌の魔団は呪いを復活させるほどの力を持つ闇の使い手をそう呼ぶんだけど。」


 アオイは言葉を続けた。


「ヒスイが巫女となる可能性がある。」


 ヒスイはブエノスと名乗った剣士の言葉を思い出していた。


「『闇を感じる。巫女の資格を持つに値するか?』」


 その時は気にも留めなかったが…。


「どういうことですか?」

「ヒスイはおそらくスガル平地で闇の使い手、呪いを封じた戦士が放った魔素を取り込んだんだと思う。いや、同化したんだ。」


(ああ、スガル平地で見た戦士は闇の使い手だったのか。)


 ヒスイはスガル平地での光景を思い出していた。


「でも、そんな事…。ありえますか?」

「原因はわからない。しかし事実なんだ。ヒスイはあの時スガル平地で闇の魔素を取り込んだ。だから先日の戦闘で、あの魔剣に対抗できた。闇の力には"闇"と"光"の力を同時に打つけることが有効なんだ。あの魔剣にヒスイが対抗できたことがヒスイの中に闇の力があることの証明だよ。」


 アオイはゆっくりと右手でヒスイの肩に触れた。


「ヒスイが巫女なのか?はわからない。でも私達は混沌の魔団に対抗する必要がある。それに…。」


 アオイは言葉を選びながら言った。


「巫女は魔大陸を解放する鍵にもなり得る。」

 


「2人には魔大陸に渡ってダスティス女王にベルク国王からの親書を渡してもらいたい。」


 ツクミは言葉を繋いだ。


「内容は魔大陸の解放について。出発は1週間後。準備は近衛騎士団が全面的に協力する。」

「あなた達との旅程中の連絡は情報部が管轄します。諸侯への根回しは近衛騎士団がやるけど、民間の商会や傭兵団への協力依頼は情報部で行います。」

「あれだけ大々的に"矢切雷光"をヒスイに渡してA級に任じたんだから、諸侯も協力せざるを得ないものね。その動き方で諸侯の腹も探れる…。」

「はい、諸侯の中には魔国が力を持つことを不安視する勢力もありますから。情報部としては諸侯の思惑を知りたい。」


(そう言うことだったのか…。)


 ヒスイは自分を中心に事が大きく動いている事実に戦慄していた。


「それに。混沌の魔団はヒスイを狙ってくるだろうし、ヒスイが魔大陸解放の鍵になる可能性があるとわかるとヒスイを害しようとする輩が現れるかも知れない。」


 ツクミの言葉にヒスイは大きく頷いた。


「しかし、私の力で使命を果たせますでしょうか…。」

「ヒスイの魔素量は多い。闇の魔素の使い方を学べばさらに強くなる。それにヒスイがもらった魔刀、矢切雷光は私の虹丸の片割れみたいなもんなんだ。ジンライ作で光の刻印が刻まれている。ヒスイの力になってくれると思うよ。」


 ヒスイはずっと握りしめていた矢切をみた。


「ジンライ様の刀…。」

「それとね…。」


 アオイは大きく息を吸うと言葉を紡いだ。


「大森林に"竜の魔装"を受け取りに行く。魔大陸には大森林から"エルフのゲート"を使って渡る。ヒスイにはジンライの傑作である竜の魔装を使いこなせるようになってもらいたいんだ。地と闇の使い手であるヒスイにしかできないことだ。」


 ヒスイは噂だけ聞いたことがあった。その拳は地を割り、その咆哮は海を割り、その装甲はあらゆる攻撃を防ぐという…。


「皆さんの期待に応えられるように頑張ります。でも、一つだけ教えてください。アオイさんは何者なんですか?ベルク陛下の隠し子というのは無しです!」


 ヒスイはアオイの目を真っ直ぐに見ながら問うた。ツクミはアオイが答えるのを止めようとしたが、アオイはそれを遮って答えた。


「私は…、混沌の魔人の娘だ…。」

 


アオイの正体が明かされました。アオイも健気な子なのです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ヒスイちゃんがとてつもない中心人物であるとともに、アオイさんの素性も衝撃的でとても面白かったです。装備もビッシビシと充実そうな感じもさながらロールプレイングのようでワクワクします。先々のと…
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