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文化祭の後も大変です


 俺は、疲れ果てて家に戻ると

「お兄ちゃん、派手に目立ったみたいね?」

「何が?」

「もう、私のクラスのグループチャットにもお兄ちゃんの噂でもちきりよ」

「えっ?」

「これ見て」


 美麗が見せたスマホの画面には、俺がミス星城のタスキを掛けている姿が映っていた。

「何だよこれ」

「私と同じクラスの子がお兄ちゃんと同じ高校に姉が居るからと行ったらしいんだけど、その時ミスコン見て撮ったらしい。直ぐにグループチャットで拡散したみたい。

 それに早乙女って名前、そんなにいないから、明日から私も大変だわ」

「どうして?」


「どうしてって。決まっているでしょう。お兄ちゃんを紹介してコールよ」

「はぁ、勘弁してくれ」

「勘弁して欲しいのはこっちよ。こんなに目立つイベントに何で出たのよ。どうせ引っ張り出されたんでしょうけど」

「その通りだけど」


 美麗にも迷惑掛ける事になってしまった。参ったな。どうすればいいんだ?



 翌日は文化祭の片付けだ。模擬店だけの片付けだけど、借りた物を返すとか、油を使っていたのでその処理とかで午前中が終わってしまった。午後から自由解散なんて思っていたら、学校全体の片付けも手伝わされた。


 そして購買で買った来た菓子パンとジュースでお腹を満たした後、水やりをしに校舎裏の園芸部室兼倉庫に行った。


 九条先輩はまだ来ていないので倉庫のドアを開けてジョーロとリールフォルダを出して、校舎裏から水やりをしていると先輩がやって来た。

「麗人、ごめん。片付けに手間取って」

「別に良いですよ。早くやりましょう」

「うん」


 俺達は、所々生えている草とか枯れている花や葉を取りながら水撒きをして、校舎裏が終わると二人で校門の花壇に行った…のだけど。

「何ですかあれ?」

「早乙女様を守る会って登りが有るけど」

 嫌な予感しかしない。


 校門からは入ってこないが多くの人と言うか生徒が一杯いる。制服からすると他校生らしい。

 俺達が花壇の傍に近付くと


―早乙女様よ。

―ビデオより綺麗。

―早くこれを渡さないと。


ピッピピー!


「その人ここから入っては駄目です」

「いいじゃない」

「駄目です」


 何か俺に渡そうとしているけど、ファンクラブの人が例のハチマキと腕章で入って来る人を規制している。


 へーぇ、結構役に立つんだな。キャアキャ騒いでいる校門を尻目にさっきと同じ様に草むしりと枯れた花や葉を取りながら水をやる。


 終わると素早く片付けて先輩と園芸部室に退避した。校門の方で騒いでいるが気にしない。部室に戻ると

「麗人、あれでは正門から出れないね。裏門からにしようか」

「しかないですね」


 裏門に行くとやっぱり待ち構えていた。

「九条さん、俺教室に一度戻ります。少し暗くなってから帰ります」

「そう、仕方ないわね。私も一緒に麗人の教室で待つわ」

「いやそれは不味いでしょう。一年生の教室に二年生が用も無く居るのは」

「用はあるでしょう。麗人が心配だから」

「……………」

 先輩とやり取りしても埒があきそうにない。仕方なく教室に戻った。しかし、明日からどうしたものか。


 その内、教室を見回る先生がやって来て、

「どうしたんだ。こんな時間に。もう下校時間過ぎているぞ」

「すみません。正門も裏門も通れなくなってしまって」

「そういう事か」

 先生は少し考えると

「もう、バスケ部の部活が終わるからそれに紛れて出ればいい。あいつらは早乙女と同じ位かもっと背が高いから結構隠れ蓑になるだろう。ちょっと待って居ろ」


 先生が教室を出て行った少して健吾がバスケのユニフォームを着てやって来た。

「麗人、帰れないんだって。体育館に来いよ。先輩達と一緒に帰れば大丈夫だろう」

「悪いな。九条さんはもう帰っていいですよ。俺健吾達と帰るから」

「麗人、冷たい。ここまで待ったんだから一緒に帰ろ」

 

 俺は健吾の顔を見るとまあ仕方ないと言う顔をしていた。


 体育館に行くと男子バスケだけでなく女子バスケも練習している。俺の姿を見つけた雫が

「どうしたの麗人?」

 理由を話すと


「そうかぁ、仕方ないわね。私達ももうすぐ終わるから一緒に帰りましょ」


 そう言って女子バスケの方に行って何か話すと皆がこっちを向いて嬉しそうにピョンピョン跳ねていた。


 練習を見ているとこの前健吾と一緒に歩いていた先輩が

「おっ、早乙女じゃないか。ついに男バスに入る気になったか」

「それは流石に」

「はは、冗談だ。健吾から聞いている。もう少しで終わるから待って居ろ。ミス星城高校は俺達が安全に駅まで送ってやるから」


 はぁ、冗談に受け取れないのが困る。


 俺は帽子を目深に被り、少なくなった他校生を無視して、女バスと男バスの力を借りて校門を出た…というか女バスの人達が俺にべったいりていない。男バスの人達だけが俺の傍にいる。俺何かしたのかなと思っていると


「麗人、女子は練習後なので汗の匂いを気にしているんだ。香水をつけている子もいるけど、皆が持っている訳じゃないからな」

 女バスの人って大変なんだな。



 何とか駅までついて、女バスと男バスの人達にお礼を言ってから改札に入った。しかし、明日、明後日は文化祭の代休で休みだけど木曜からどうしたものか。


―――――


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひ作品へのフォローとご評価★★★★★を頂けると嬉しいです。ご感想もお待ちしております。

宜しくお願いします。



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