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体育祭は大変な事に  その二


 俺が退場になった玉入れはその後平穏?に終了した。俺は、雫が参加した二人三脚や健吾が参加したムカデ競争を見ながら、何も考えずにいると


「麗人、どうした元気ないじゃないか」

「誠也、そういうけどな。まだ体育祭は始まったばかりだよ。俺は逃げ出したい」

「そんなことないぞ。これから麗人が俺は男だ!ってアピールする機会じゃないか」

「勘弁してくれ。俺はそっと誰からも気付かれずに学校生活を送りたいんだ」

「麗人。お前自覚無さすぎ。おっと次は俺の出番だ。じゃあな。次に気を付けろよ」


 なんだ、次に気を付けろとは?


 誠也が出た、後ろ歩き競争とか理解で行きない競技が終わると


「みなさーん。いよいよ午前中最後の種目、借り物競争でーす。お心当たりのある方は、今から準備しといてねー」

「「「「おーっ!!」」」」


 なんか凄い人気だな。

「麗人、危険が一杯だ」

「健吾、どういう意味だ?」

「直ぐに分かるさ。なあ雫」

「うん」



スタートラインに一年生の最初の組が並んだ。三年生まで男女合わせると六組ある。

 あっ、スタートした。


 グラウンドの中ほどにあるカードが置かれているエリアに一斉に駆け寄った。そしてカードの中を見ると


 えっ?!一斉に女子がこっちを見た。そして皆が俺の方に駆け寄って来た。

「おい、健吾」


 ふと見ると俺の周りにいた男子が誰もいない。健吾もだ。健吾を目で探している内に

 顔を赤くした女子達が


「早乙女君、私と一緒に来て」

「早乙女君、私が先に」

「早乙女君、早く」

「早乙女君!」


 これを見た男子達が

「「「早乙女行ってやれー」」」


「「ほら早く!」」

「え、ええ、えええーっ!」


強引に俺の手や腕を掴まれて引き摺り出された。


「ほら、走るわよ」



「おっとーっ、先程玉入れで退場を通告された1A早乙女君。女子達を連れてハーレム状態でゴールに向います」


「「「おおーっ!」」」



 俺は両方の手や腕を掴まれながらゴールに着くと待っていた係の男の子が

「えっとーっ。誰が一番で?」

「私!」

「いえ、私よ」

「何言っているの。早乙女君と一緒にゴールしたのは私よ。順位は譲るから」

「何言っているのよ」



「おっとーっ。ゴール付近でなにやら揉めています。次の組がスタートできません」



「あなた達、何しているの。席にもどりなさい」

「「「ぶーっ!!」」」


 桜庭先生の一喝で一組目は無事?お開きになった。しかし次のスタートでは、



「おっとーっ!またもや1A早乙女君の所に女子達が雪崩れ込みます。これはどうしたのでしょう?」


「早乙女君、早く」

「何言っているの、早乙女君私と」

「駄目よ。私!」


 周りを見るとうちのクラスだけでなくBやCの男子も腹を抱えて笑っている。


「早乙女君、早く」



「おっとーっ!早乙女君、ついに女子達に担がれてゴールに向います。羨ましいー!」



 もう疲れ果てた俺は、クラスに戻らず、桜庭先生にお願いして来賓席の後ろで隠れていると



「さぁ、次は二年生女子です。おーっ、星城高校の貴公子八頭音江さんと星城高校美少女No1に輝いた九条静香さんが、スタートラインで百万ボルトの火花を散らし、周りの女子を焼き尽くしています。どうしたんでしょう?」



 私、八頭音江。早乙女君を見たのは、オリエンテーションの時。その時はとても素敵で可愛い女の子が入って来たと思っていた。


 ところが、噂で、彼女は男子だということが分かった。そして考査の時、彼をはっきりと見た。


 美しいというか可愛いというか、言葉が出ずに睨めてしまったけど、まさか、この体育祭で彼の魅力を思い切り感じてしまうとは。

 この競技、九条さんには彼を絶対に渡せない。


「スタートしました。八頭さんと九条さん、そして髪の毛が散り散りに焼けた女子達が一斉にグラウンドの中にあるカードエリアに飛び込みました。


「あっ、八頭さんと九条さんがこちらに向って来ます。他の女子も向って来ています。これは一年生と同じかぁー」



「麗人、早く私と」

「何言っているの。早乙女君、私と来なさい」


「な、なんとー!八頭さんと九条さんが早乙女君の腕を両方から引っ張っています。さぁ、早乙女君どちらを選ぶんだー!」



「や、止めて下さい。二人共」

「駄目よ。麗人、こんな女にあなたを譲る訳にはいかないわ」

「何言っているのよ。ちょっと顔が綺麗だからって。早乙女君。私と」


「止めなさい!二人共」


「「桜庭先生!」」

「二人共カードを渡しなさい」

「「えっ?」」

「いいから早く!」


 何と九条先輩と貴公子とか呼ばれている女子がスゴスゴとカードを桜庭先生に渡した。


「早乙女君、行くわよ」

「えっ?!」


「な、な、なんとー!むっちりぼいん、いや失礼、桜庭先生が早乙女君の手を引いてゴールに向います」


「せ、先生?」

「いいから」



「ゴールに到着しましたー。さぁ、お題は?」



「あの、先生二つとも読んでいいんですか?」

「いいわよ」


「えーっ、今のお題は、…えっ?本当に読んでいいんですか?」

「いいわよ。私、中身知らないし」


「今のお題は、私の大切な人と、私の大好きな人でしたー!」


「「「「「「うおぉー!!!!」」」」」」

「「「「「「きゃー!!!!」」」」」」


「えっ、そんな事書いてあったの?」

桜庭先生が耳まで真っ赤になってしまった。


 その後も借り物競争は続いたが、俺は校長室に逃げた為、平穏?に終わった様だ。



 午前中が終わり校長室からクラスに戻ろうとすると廊下で凄まじい大量の視線を浴びた。男女問わずだ。


―私、今からでも間に合うかな?

―まだ、誰も彼の横にはいないみたいよ。

―じゃあ、まだ間に合う?

―うん。

―きゃーっ、私も、私も


 俺は早足でクラスに戻ろうとすると男子から

―なあ、俺そっちの気は無いが、友達に。

―何言っているんだ。俺が先だ。

―男子、何言っているのよ。私達でしょ。



 更に早足で歩いてやっとクラスに戻ると健吾と雫、それに田所や三上や他の男子が

「麗人、お疲れ。購買で菓子パン買ってあるから」

「麗人。今日はおかずを一杯用意してあるからね」

「麗人。俺達が守るからゆっくり昼飯食べてくれ」


「ありがとう皆」


 教室の入口や窓には人だかりで外が全く見えない。クラスの人が入り口や窓に立って侵入を防いでくれている。


 精神的に疲れた俺は、おかげでゆっくりとお昼を食べて休むことが出来た。そう言えば俺と入れ替わりに桜庭先生、校長室に入ったけど大丈夫かな?


―――――

 

もう一話続きます。


まだ★が少なくて寂しいです。評価してもいいけど★★★★★は上げないという読者様、★★でも★でも良いです。頂ければ幸いです。


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると次話書こうかなって思っています。

宜しくお願いします。



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