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魔力視すると世界が輪郭線を残して消え去る、そして自由に透視できるようになるこのことを猟師親子に伝えて技を伝授した一年ほどかかった。今は6歳である。今日はアルトと遊んでいる。土を掘り山を作る。石を民家に見立てて遊ぶというものだ。これがなかなか楽しい。水を降らせたりして地形が変わる。それを観察しているのが何とも楽しいのだ、「洪水だぁーー」とか叫びながらやるのは何とも楽しい。アルトも楽しんでくれている。
アルトは俺のことをお兄ちゃんと呼ぶ、ガル兄ちゃんと呼ばせようとしてもお兄ちゃんと呼ぶ。それはまあいい、可愛いからな。ジルは俺のことをなんと、にいにと呼ぶこれは可愛すぎるだろう。どうしてくれようこの気持ち。全力で良し良しする、すると深い眠りに落ちていった。可愛い。愛でる。愛でて愛でて愛でる。3段活用だ。となると、アルトも愛でる。それはもう沢山。俺の愛を感じてくれただろうか。ならば嬉しい。
そんなことがあり俺は、ご飯を作っている母に声をかける。
「母さん、ジルがにいにって呼んでくれた!」
「あらそう、良かったわね、お兄ちゃんもう少し面倒見ててお願いね?」
「うん!」
「ジルも大きくなったわねぇ」
「まま!」
「母さん!今ママって呼んだ!!」
「ええ、そうね!初めてね!あの人にも言わなきゃ!!」
走り出す母さん。ジルは戸惑っている。「どこいくの?」と聞いてくる。パパの所だよと教える。しばらくして戻って来た。
「ジル!!!!!ママって呼んだのか!?もっかい言ってごらん!」
「ぱぱー!」
「おお!ジル!神様ありがとうございます」
「あなたってば、もう、うふふふふ」




