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1 非日常でもなんとかなる

勢いで書いているので設定が甘い部分は寛大な心で読んでください

 俺こと向井明と、娘の真希は、只今、馬車に揺られそれはそれは丁寧に、もてなされている最中だ。

 有り難い事だかお尻は痛い。

 サスペンションが良くないのであれば、せめてクッションみたいな物が欲しいところだ。


 所轄、異世界転移というものにあったらしい。

 この手の物語は一度くらいは目にした事はある、なのでなんとなくは理解できる。

 理解は出来たからといって、受け入れられるかと言えばまた別の問題だが。

 いかんせん、先立つ物が何もなくこのまま無作為に時間を使っても仕方ないと納得はした。


 どうも、目の前にいる娘と同じ年くらいの、エリーズという娘が、原因らしいのだが、状況を考えれば文句を言っても仕方ない。

 今後を考えれば、良好な関係を築いておいた方がいいと思うんだよな……はぁ〜



 ◇



 時は少し戻る。

 何時もの様に、娘と家を出て駅に向かう道、毎度引っかかる信号で他愛もない会話をしている時だった。


「私、サービス業には絶対つかない」

 娘がよく言う台詞を今日もぼやいていた。


「別にお父さんは、やりたい事があるならどんな仕事してもいいと思うぞ。そもそもサービス業って言っても幅広く色々あるだろ」


「色々あるけど、お父さん見てると嫌にもなるよ。毎日帰り遅いし、不定休だし纏まった休みとれないし!」


「まあお父さんも、どうしてもなりたくてなった訳じゃないからなー。そもそも世の中、希望や夢の職業につけるのなんて一握りだ。大半の人は成り行きや打算で仕事しているものなんだよ」


「むぅぅー……」


「だいたい、今の仕事してたからお母さんに会えたわけだしな」


「それ言われると何も言えないけど…………」


 10年前に亡くなった、妻の事を出すと娘は何も言えなくなる。

 もう高校生かと思うと早いものだ。


「お父さんなんか足元光ってない?」


「ん?本当だ、なんだこれ?」


「爆発とかしないよね?」


「真希、お父さんから離れろっ!」


「嫌だよ!お父さんも逃げてっ!」


 突然、光出した足元に驚愕していると、どんどん光が強くなっている気がする。

 逃げようとしても足が動かない。


 なんとなく、やばい感じがするが、せめて娘だけでもと遠ざけようとするが、逆に腕にしがみついてくる始末だ。


「真希っ!離れなさい!」


「………………」


「お父さん今動けないから頼むよ……」


「…………ぐすっ、嫌だよっ……お父さんまで居なくなったら真希独りぼっちになっちゃう」


 娘の嗚咽混じりの言葉を聞いた時、思わずギュッと抱きしめていた。

 足元から、空に伸びる光の軌道は、どんどん強くなっていった。

 目の前が白く霞んでいくが、娘だけはと抱き締める腕に力をこめた。



 ◇



 強風に晒されるかの様に、全身が包まれると、目の前には、抑えつけられている少女と、汚い尻を出している男が現れた。


 全く理解出来ないが、とりあえず目の前の、鼻が潰れた男の顔面に蹴りを入れる。


「娘に変なもの見せるんじゃねーよ!」


「手前ら、どっから現れやがったっ!」


「頭、こいつら魔法陣から出てきやがったぜ」


「頭、アートンの野郎伸されてやがる」


「お前ら囲めっ!逃がすんじゃねえぞっ!」


「この野郎、ぶっ殺してやるっ!」


 なんだよこの山賊コスプレ軍団。


 一際デカイ禿男が、喚くが寧ろこっちが聞きたい。

 ここ何処だよ。


 娘は気絶してるし、誰か説明して頂戴。

 ようやく頭が、スッキリしてくる。


 直ぐに濃厚な血の匂い、周りを見れば幾人かの血塗れの死体らしき身体が転がっている。

 一般現代人にはきつ過ぎる。


 思わず胃液が逆流してくる。吐きそう……ォェッ


「黙ってないで、何とか言えコノヤロー!」


 ここで「何とか」って言えれば良いんだけどそこ迄俺にはセンスがない。

 しかし、困った。これはパニックだ。メダ○ニも真っ青の状態だ。


 とりあえず優先順位は娘の安全が第一。

 後は、この娘さんを助けるかどうか…………流石に見捨てる訳にはいかないしなー。

 そもそもこの状況で、人の命助けてる場合じゃないな。


「あぁ……勇者様、助けてください……お願いします。お願いします……」


 出たよ、勇者様……ならテンプレ的にお城で呼んでくれよ。

 この状況で召喚とかないわ、神様見てないし、チート能力貰ってないし。


 まあこのまま逃げても、何処か分からんし。

 そもそも、娘1人担いで逃げ切れるとも思えない。

 しかし、俺が死んだらきっと娘もこの汚いコスプレ野郎共の慰み物になってしまう。


 やるっきゃない。普段ランニング位しかやってない、最近お腹が気になってきた38歳なめんじゃねえ。

 多分、ピンチになったら神様が助けてくれると信じて…………っていっても刃物持った5人とかハードル高すぎだろ!


 とりあえず娘をゆっくり地面に寝かせる。


 手近にあった剣らしき物を掴み、軽く振ってみる。

 なんとなく剣道の構えをとってみたものの体育の授業以外でやった事はない。



 果てしなく不安だ…………


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