能力者育成学校の朝
まばゆい朝日が僕が眠る部屋を照らし始める。それと同時に、それが朝の始まりであることを知らせる。
「眩しっ……昨日カーテン閉め忘れたか……?」
あまりにもまばゆい日の光を反射的に手で隠しながら上半身を起き上がらせる。
突然で悪い気はするが、ここで僕の自己紹介をさせてもらおう。
僕の名前は打上花火。世にいう、キラキラネームの被害者である。特技はそれと言ってはないし、好き嫌いもそれなりにとごくごく普通の一般人だ。
だが、そんな普通の一般人な僕が唯一出来ることがある。
それは――、
「花火、そろそろ起きなさい! 今日は始業式でしょ!」
おっと、ここで時間という邪魔が入ってしまったようだ。残念ながら、この話はまた後でだ。
それと、言い忘れたが僕は今年から二年生だ。
「着替え良し、荷物良し、準備完了だ」
僕は準備が完了すると、部屋の扉を開け母親が朝食を作っているであろうリビングへと向かう。
そして、既に作られている朝食を食した後に玄関へと向かう。
「今日は無事に帰ってきてよ」
「わかってるって」
事情を知らない人達が聞くと物騒な会話だと思うだろう。
何故なら自分の息子に、まるで戦争に行くかのような会話を当然のようにしているのだから。
それは兎も角、僕は学校に向かった。
学校に着くと、早速クラスを確認した後に一年生の時に使っていた教室へと向かい、その扉を開ける。今年僕が使う教室は去年と同じのようだ。
教室の中では、一年生時代を共にすごした仲間達が話していたりはしゃぐなど、普通の学生らしい行動をしていた。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」
「生まれよ、大炎海!」
「消しされ、大海原!」
「ねぇねぇ、ここの校長って化身出せるんだってぇ」
「えぇ何ー? ハゲの化身か鬘の化身のどっちか?」
そう、この明らかにジョ〇ョのラッシュや教室を崩壊しかねない炎と水を出げせたり、普通の学校には絶対に出てこない校長の化身についての話しているのが、僕の通う学校の日常だ。
僕が通う学校は、所謂能力者育成学校というもので、生まれつき特殊な能力を持つ者が行く学校だ。
だから、この学校に通う人は全員なんらかの能力を持っている。
例えば、そこのス〇ンドラッシュをしている人達が使う能力は化身という部類の自身の出すオーラを人体型に変形させ、それを実体化させるというものだが、結局のところ設定的にはスタ〇ドと同じだ。
他にも、よく異世界物やゲームとかで見る魔法みたいな能力が炎と水を発生させる能力なんてものもある。
それに、先程は言い逃してしまったが、改めて僕の能力を説明しよう。
それは……、
「打上」
無から花火を打ち上げることだ。今打ち上げた花火はとても小さなもだが、大きさについては自由に変えられる。
偶然か、それとも運命なのかはわからないが、僕の名前と同じものが僕自身の能力だ。
「未だに役に立ったことは無いけどな」
取り敢えず、担当の教師が来るまでは席で座っておくことにした。
「おう、花火じゃねぇか」
僕に声をかけたのは爆弾ドカン。これはあだ名でも肩書きでもなく、紛れもない本名なのだ。つまり、僕と同じキラキラネームの被害者だ。
そして、持っている能力も名前のせいなのか、念じながら触れると爆弾に変えられるというどこかでそれに近いものを聞いたことのあるような能力だ。
因みに、ドカンの自爆回数は年間365日×10だ。
「おはよう、今日も元気みたいで何よりだ」
「あたぼうよ、このドカンが元気じゃなかったら事件だぞ?」
「一般的に見れば、お前のその能力自体が事件だと思うんだけどな」
「あ? 何でだ……って、やべっ」
僕の発言を聞いて自分の能力を想像してしまったのか、手を置いていた僕の机に小さなタイマーが現れる。これは、この机がドカンの能力で爆弾になったという事だ。
「出番だぞ」
「了解」
僕が後ろに座っている男にそう言うと、一瞬で俺の机が爆弾の机から普通の机に変り、次の瞬間に教室の外で爆発音が聞こえる。まるで、時を止めて一瞬で様々なことをしたように思っただろう。
実際の所、まさにそうなのだ。
「流石、お前の時止めの能力は便利だよな」
「継続時間は最大一分だ。それまでの間にやらなければならないからこっちは超急いでるんだ」
「それは兎も角、今回もありがとう」
そんなことを言っていると、担当の教師が来るであろう8時30分になった。そして、その時間になった瞬間に教室の扉がぶっ飛んで行き教卓に当たる。
どうやら、今年の担当の教師はとってもクレイジーな奴のようだ。
「さて、今回の学級はどんなんだ?」
教師が入ってくると、そこに誰かが何らかの能力で床に棘を生やす。だが、入ってくる教師はその棘を片足で蹴り折る。
その次に炎と水が飛んでくるが、それを教師は手刀で切り裂く。
「……いい不意打ちだ。だが、まだまだだ」
「「「……バケモンかよ」」」
「誰がデ〇モンだ!!」
「「「言ってねぇよ!!」」」
そして、教師は扉と一緒にぶっ飛んだ教卓を掴んで元の位置に戻す。
「まずは……そこの君、今この場でマヨネーズ丼を食べるのなら俺の好きな牛丼屋に行け。そして君、自転車をここまで持ってくるな」
教師が色々と生徒に指摘して行くが、よくよく聞けばどれもツッコミどころがある。マヨネーズ丼食うなら牛丼屋に行けって、もう自分の好物を押し付けてるよこの人。
「これで最後だ。君、今すぐこの教室中に液体油を染み込ませるのを止めろ」
「へーい」
ようやく教師の指摘が終わる。全く、普通の学生らしい行動をしていると思っていたが、どいつもこいつも変態ばかりじゃねぇか。
「さて、まずは自己紹介をしてもらおう。その時に自分の能力を見せるように。では、最初は一番前で窓側の席に座っている君からだ」
「はい、俺の名前は爆炎火燐。こういう名前だが見ての通り男だ。特技は俺の能力バーニングヒートを操ることだ」
「うむ、ではその特技を見せてもらおうか」
「分かりました!」
へぇ、名前を聞く限り炎を操る魔法系能力のようだな。と言うことは、先程教師に攻撃した内の一人か。
それより、何か辺の音と臭いがするな……。
音はプシュー。臭いはなかなか鼻にくる臭いだ。
っていうか、この音後ろから聞こえないか?
そう思い、僕は後ろを振り返ってみると、そこにはガスボンベに穴を開けているドカンがいた。
ちょっ、なんでガスボンベ持ってきてんだよ。
今この教室には、先程教室に染み込まされた油にドカンのガスボンベから排出されたガスが充満している。これらの条件下で火を起こすとどうなるかはご存知だろう。
「必殺、大炎海!」
「ちょっとまt――」
その瞬間、目の前が油と教室中に充満したガスによって大爆発した爆炎が見えた。
この時、僕はこう思った。
――爆発オチなんてサイテー
だが、これがこの学校では当たり前に起きる、いわば日常なのだ。
ただネタが多めのものを書いてみたかっただけです。
実際にネタが満載なのかはわからないですが……。