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短編さん

勇者はチーター

文字通りチーターです。

 とある世界に、それはそれは素晴らしい才能を備えた、チーターが勇者として、加えて聖女様も召喚されました。チーターは悪い魔王を懲らしめるために、聖女様と一緒に旅に出ることを王様にお願いされたのでした。



「ここまではいいのよ。ここまでは。……なんでその勇者が、動物のチーターなのよ! チーターって言ったら普通あれでしょ!? 能力がカンストしてたり、ご都合主義発動したり、難聴だったりする人のことじゃないの!?」


 そう、この勇者はチーターである。あの有名なネコ科の肉食獣である。とはいえ、ただのチーターと侮るなかれ、実はドラゴンすらも一捻りである。流石勇者と言われるだけはある。がしかし、このチーター、気まぐれで働かない時もある。動物だしね、人間の言葉なんかわからないし、しょうがないよね。


「なんで私が飼い主みたいになってんのよ! ペット禁止の店入れないじゃない! それに、外に待機させても、客が遠のくって叱られたし!」


 そりゃそうだ。店の前にチーターが鎮座してるというのに、一体誰が好きで入りたがるのか。売上ガタ落ちである。聖女が相手であろうとも、店主の判断は至って正しい。惜しみない拍手を送ろう。


「なんでみんなこのチーターが勇者だって言っても、誰も信じてくれないの!? 頑張ってるじゃん! 私も、この子も! 大変なんだから、誰か仲間になってくれたっていいじゃん! 」


 悲痛な叫びだが、これも仕方ない。恨むなら神を恨みなさい、ってね。どこの誰が一匹の猛獣を勇者だと信じるのか。その愛らしい肉球じゃ、剣すら持てないというのに。


「はぁ、なんで世界を救う旅路で、チーターの世話しなきゃならないの……。立ち塞がる敵を倒してくれるのはありがたいけどさ、なんか悲しい。どんなに強そうな魔物も、ほぼ一撃で終わってるし」


 マントを旗めかせる一匹の勇者。その行進は、何人たりとも邪魔することは出来ないのだ。無駄にハイスペックである。いや、勇者なら仕方ないか。


「うおおおお! この**魔王め!!! やっとたどり着いたぞ! チーターの世話大変だったんだからな! 私の苦労を思い知れ! この**********野郎!!!やれ! 勇者!!! Fu○k you!!!!」


 ご愁傷さまです、魔王様。完全に聖女様に八つ当たりされてますね。まあ元はといえば、魔王様が世界に牙を向いたのが原因であって、決して魔王様が完全にとばっちりってわけでもないから、まあ怒りがあるべき場所に収まった、といったところなのかな。


 ちなみに魔王様も大して苦労せず勇者の、文字通り餌食になりましたとさ。




 お し ま い

仕上がりはチーターなチーター。

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