86話 魅了された魔物とあの3人が
何時もより長くなった上に……前半、関係無い……。
突然に始まったのに……。
私達は開会式で色々暴露してる、司会者の執事を尻目にカルネルさんと話をしていた。
いや、暴露って自分の性癖とかじゃないよ? 婚約破棄とか、テオドールさんとかの話をノリノリで話してる。
一応執事何だけどね、私としては面白いからいいけど。他のメイドさん達がちょっと黒い笑顔で見てるよ? 後でボコボコにされないといいけど……。
「ん? あっちで何か話してる」
「どうしたのかしら、私達は関係無いことですし。ほっときましょう?」
「面白そうだから言ってくる~」
カルネルさんは「本当に、聞いた通り自分からトラブルに突っ込むのね」とか何か言ってたけど、私は気にせず。
メイド達が話してた場所に行くと。
「あ、マリア様。どうしましたか?」
「聞きたいのはこっち、どうしたの?」
聞いてみると、一室で人が暴れてると報告があって……魔物が出たらしい。ただもう1人のメイドは「そんな事はどうでもいいの、今は厨房に人手が無いのよ!」と控えめに叫んでる。
ふむ……それは一大事ね。
「私がやりましょうか?」
「いいんですか? いえ、だからって……お客様に作らせる訳には……」
「メイド服来てれば、大丈夫よ」
メイド達、2人は顔を見合わせ「でも、ねぇ?」と渋っている。私は「急の事態なんだから早く!」と急かすと。
「わ、分かりました~!」
私はその後、メイド達に案内されドレスから着替えて。メイド服で厨房に入ると、知っているメイド達が驚いてこっちを見ているけど。そういえば、マルズダマ国でも料理人が足りない時があったわね。意外とこの世界って料理できる人少ないのかしら。
後、ケルトさんにここに来るように言わないと、何処行ってたんですか! って怒られそうだもん。
「あの、ケルトさん呼んできてもらっていいですか?」
「はい? 分かりましたが……なるほど、従者の方ですね」
私の声にメイドさんが反応して、呼んできてくれるようだ。みんな私の腕を見たことがあるわけないので、半信半疑の状態で調理を開始していた……。
が、私の手際良く調理していくの見て。更には、味付けを変えて全員を納得させた上で……調理する始末で、私が指示をしながら料理を作っては、味見をして危なかった厨房の料理は。
「嘘……こんな速度で出来ちゃうの?」
「ここに最強の嫁が居る! 貴女、何者ですか!」
など、凄い勢いで完成させたため。開会式が終わるまでに作り終えてしまった……もしかしたら、あの執事さん達は厨房がヤバイから繋ぎを頑張ってくれたのかもしれない。
途中で来たケルトさんも「何ですか、この戦場といえる現場は」と少し押され気味で、頑張る指示を出しながら料理を作る私を見ていた。
「従者さん、このお嬢様何者ですか」
「えっと……寮の朝食を、お1人で全員分作れる人……ですかね?」
「えっと……それって何人分?」
ケルトさんは「ざっと……」と言うと、メイド達は「神ですか? この御方は」と全員拝めるポーズになった。私は料理が好きなだけよ……、それに困ってたら助けるのは当たり前じゃない。
「私は困ってた人が居たら、黙ってられないのよ」
「マリアさんそれよりも、なんでメイド服何ですか?」
「ケルトさん、私がドレスで料理を作れと言うの? 汚れたら後で洗ったりするの大変じゃない」
ケルトさんも「確かに……でも、何でその服何ですか……可愛いからいいですけど」と小さく呟いていた。そうね、メイド服可愛いわね前世で着る事も。見ることも無かったから少し憧れてたわ。
それじゃ私は着替えて、戻りましょうか。
メイド達に言うと、急いで着替えを手伝ってくれた。私もドレスくらい簡単に着れないとダメのかしら……。だって、着る機会も無かったし……あんまり。
会場に戻って見るとちょっとした騒ぎになっていた。
メオドールさんとノームさんが言い争っていた。内容は分かってた事だけど……。
「貴方、テオドールじゃないの!? 私に嘘ついていたっていうの!?」
「誤解だ! 僕はテオドールだ、メオドールはあっちだ!」
なんか図々しい気もする。開会式を終えて、国王様と王妃様も居るのに……色々大丈夫かしら。婚約以前に人としての人生が危なそうよ。
未だにノームさんはテオドールと信じていたし、メオドールさんは「俺はテオドールになったんだ!」と良くわからないことまで話している。
「で、でも……次期国王になれるのよね?」
「あぁ、俺は国王になって。お前を王妃に迎えてやる」
あ、王妃様が青筋立ててる。ヤバイあれは本気で怒ってますよ! そろそろ怒りの鉄槌が落ちそうですよ~。国王様も王妃様の様子に、横に居るのに冷や汗掻きながら……少し顔が青い。
そんなに怖いんだろうな~。私も怒らせないようにしようっと。
耐えられなくなったのか、王妃様が立ち上がって。
「メオドール! いい加減にしなさい! 貴方はどれだけ、私達の顔に泥を塗ればいいの」
「は、母上……」
「テオドールから全てを聞きましたわ、国宝を奪った上馬車から突き飛ばしたそうじゃない」
メオドールがそれを聞き、青くなった。想像しなかったのかな……生きてる時点で、王妃様の耳に入るのは当たり前で、隠蔽も考えてなかったみたいだし。
後、やっぱり国宝だったんだ……ミナトさん何やったんだろう? 王国の国宝になるって相当よ?
「貴方がそんなに、この女と婚約したいなら勝手すればいいわ! ただし、貴方はその女と平民に落ちてもらうわ」
「そ、そんな……母上どうして」
「貴方、自分がしたことが分からないの?」
王妃様は懇切丁寧に、1つずつ説明した。
まず、テオドールの持っていた懐中時計を盗んだ事……それは家宝である上に、公認の国宝だ。それを奪った上……一般の店で私利私欲のために売ったこと。
学校で自分の事をテオドールと名乗ったこと。それは、自分を偽っている上……学校で個々の……王子としての印象を悪くした。
次に、婚約破棄これは説明するまでもなく。余程の理由が無い限り、貴族ではやっては行けないこと。しかも今回は他国に対して、色々な意味を持った婚約だったこと。しかもこちらが根気強くした結果の結晶だ。
「そんな……」
「嘘よ!? 王妃になれないなら私は何のためにここに居るのよ!?」
「あら? 猫が剥がれてますわよ? 素はそんな性格だったのね」
メオドールは顔を青くして膝から倒れた。ノームさんはずっと被っていた猫を破っていた。それに対し、王妃様は淡々と意地悪い笑みを浮かべていた。
怒り狂った、ノームさんはいきなり口ずさみ。叫んだ。
「こうなれば、貴方達……諸共も魔物の餌にしてくれるわ!」
「きゃあぁぁぁ――――――!」
その瞬間、私達が入ってきた。入り口側から魔物が凄い勢いで入ってきた。オルドさんは……国王様側の入り口の魔物をやっつけてたみたいね。メイド達が言ってたことを信じるなら。
ノームさん……もうノームでいいかな。
ノームは国王を襲う魔物が居ないことに困惑していた。
「どういうこと!? こっちにも魔物を配置していたのに!」
「残念だったな……そいつは」
「「「あっしらが処理させていただきやした!」」」
オルドさんと3人組が、無傷で魔物を倒していた。だけど私の感想は。
オルドさん……普通にしてれば、真面目人間なのにな~。3人組も普通に喋れば、カッコイイと……思うよ?
私がそんな感想を抱いてると、そういえば。入り口側を忘れてたと思って、振り向くと……。
そこには光りに照らされ、3人が立っていた。
「ほっほっほ……好き勝手にやってくれたものよ」
「はぁ……このお爺さんだけで良かったんじゃないの?」
「しょうが無いだろ、処理はともかく。報告等は融通効くのは俺らだ」
お爺ちゃんとナタルさんとハナさんだった。この3人が一緒に居るのは、あまり想像できなかったな~。そして、お爺ちゃん怖いよ……瞳の奥に凄く怒りの感情が混じってますよ~。いや、まぁ自分の配下を勝手に魅了して人を襲わせてるんだもん。
そして、ナタルさんとハナさんは溜息ついて少し疲れ気味だ。
そして、ノームの一言でこの場は凍りつく。
「何故そこまで、そこにいる半魔族に肩入れをするのよ!? 私よりそちらを裁くべきよ。可愛娘ぶってもどうせ、何か企んでるんでしょ!?」
ノームを見ていた視線は、私を指した指を伝って、知っている人物以外こちらを見ていた。
次は、半魔族と人間と魔王と?




