70話 道中の人影と言語の壁
うむ……メインの話しが置いてけぼりである
私達は落ち着きを取り戻したナタリアさんと共に寮に戻るための手段を話し合った。
私は別に、歩きでも構わないのだけど。ケルトさんを除いた3人が「危ないです(よ)」と言っていた。別に襲われた事無いのだけど。
来る時も普通に歩いてきたから。てことはみんな馬車とか使っているのだろうか。
「みんなはここに何で来てるんですか?」
みんな「え?」と言って、唖然としている。本当に馬車なの? 距離あると言ってもそこまでかからないのに。
ケルトさんが呆れたように私を見て、補足してくれる。私ってそんなに非常識かな……。
「マリアさん、普通は魔物に襲われますからね」
「そうよ、襲われて被害出たから。外出する際には、学園側の馬車を利用して良いことになってるのよ」
「そうなんだ……」
ナタリアさんが教えてくれた。申請すれば帰りもあるらしい、だけど私は歩いて戻ろうかな~。あ、でも楽だからたまにはそう言うの良いかも。
私が一緒に馬車に乗ると言ったら、みんな「ほっ」としていた。ケルトさんだけは平常運転の、無言で笑顔だった。
馬車に向かうと見たことのある人が居た。
「久しぶりだな、お嬢ちゃん」
「あ、馬車の人お久しぶりです~」
マルズダマから、ハルデルトに移動する時に乗せてもらった馬車の人だ。何故か項垂れて「馬車の人……」と呟いていた。しょうがないじゃない、名前聞くの忘れちゃったんだもん。
3人は「よろしくお願いします」と挨拶して乗っていく。
ついでなので、馬車の人の名前を聞いてみる。
「お名前聞いてもいいですか? 前回聞くの忘れちゃって」
「ん? 俺か? ウォンド・モーハズだ。よろしくな」
ウォンドさんね、名前を聞くのは大事よ。忘れたら元も子もないけど。私達は馬車に乗り込むことにした。馬車の中は、馬側にケルトさん、私、エオリアさん。反対側に乗っているのは、ナタリアさんとテオドールさん。
なんか意図的にそういう風にしたみたいに見えるけど。ナタリアさんも特に言ってないしいいんじゃないかな。
私達は馬車で移動する。特に道のりは魔物がでない。
ふと、馬車が止まった。
ウォンドさんが「やばいな……賊か。この辺りは、治安がいいと思っていたが……流れ者か?」
ケルトさんは私達を守らきゃいけないから、出て行くと今度は私達が危ないし……。賊と呼ばれた人達は、馬車の周りを囲む様に10人程。
「どうしましょうか」
「流石に数が多いかも?」
「戦闘経験がある人はいますか?」
あまり戦わせたく無いけど、生きて帰れる可能性の方が低いのか。ケルトさんは少し困った表情でみんなを見る。
しかし、生憎戦闘経験がある人はいなかった。諦めた様に、私の方にケルトさんは目を向けて言った「マリアさん、いざという時はお願いします」と。私、人殺しとかした事無いんだけど! あ、逃げろって事ね。
ケルトさんは馬車を降り、ウォンドさんが「おぉ……た、頼むぜ。流石この手の事は俺は専門外だ」と少し怯えた感じに喋った。
「――――!」
「――? ――!」
何を言っているか分からない。別な国の言語だろうか。私は魔法で翻訳を試みる。
ナタリアさんは「気持ち悪いわね」、エオリアさんは「何喋ってるの?」、テオドールさんは「言葉が違うみたいですね」と危機感の無い状態だった。
「マリアさん、何言っているか分かりますか?」
私、どれだけケルトさんから頼られてるんですか! いや、嬉しいけど。なんか凄く万能の人だと思われてそう。そう思っていると、機械的な声で喋っている人達の声が聴こえる。
「隊長何処に言ったんだ……俺たちを何故見捨てたんだ」
「それよりも、この馬車を奪ってなんとか街に行きましょうぜ」
うん、普通に理解出来たけど。それよりも隊長という人からはぐれちゃったのかな? 私は馬車を降り、ケルトさんに目を配らせる。
賊の格好は、騎士とも言える格好だった。全員の鎧は統一されていて、賊とは思えなかった。
その際にケルトさんが「やっぱり聞く方法はあったんですね」といっていた。確証はなかったけど、出来そうと思ったのかな?
「お、可愛い嬢ちゃんじゃねぇか」
「少し話してみましょうぜ」
対応も意外と普通だったわ。こういうのは下心丸出しだったりするんだけど……いや、本とかで読んだイメージだけどね。
私は1歩前に出ると話を切り出してみた。
「道に迷ったんですか?」
「あ、あぁ……隊長を追いかけて。ここまで来たのはいいが、何せ2年前だから当てずっぽうにここまで来たんだ」
彼らは、ここに偶然来て馬車を見つけたため。話しを聞こうとしたらしい。でも、隊長って事は偉い人だよね。私が知るわけないし、街への道を教えようかな。
ケルトさんにもその事を伝えてみると、少し考えた末。街への道を教えることにした。
「あ、ありがてぇ……」
「あの何時も3人一緒の隊長達が簡単に死ぬわけがねぇ……希望はあるぞ!」
ん? 3人一緒の隊長達? 何か凄く引っかかるけど、少し聞いてみよう。
「あの、その人達って、良くハモる?」
「え? あ、はい。驚く時も喋り方も」
いや……まさかね~。よし、気にしないことにする。
とりあえず、私はその人達の事を「マルズダマ国で特徴のある3人組を見た」と言ったら、みんな一同に喜び始めた。しかし、問題が……。
「でも、どうしましょう。言葉が伝わらきゃ……話し聞く事も出来ませんし」
「お嬢さんは話せてるけど、言葉が違うのかい?」
「はい、ですので。街に着いても話を聞いてもらえるかどうか……」
ん? 一番適任の人がいるじゃないか。女神なら言語の壁なんて関係ないし、厄介押し付けちゃえ。
ということで、私は。
「街に着いたら古びた教会の中にいる、お婆ちゃんを頼って見ては? もしかしたら、言語を知ってるかもしれません」
「何から何までありがとう」
そう言って彼らは去っていった。一連の話しをウォンドさんとケルトさんに話したら。
ウォンドさんが「すげぇ~な、賊だと思ったら他国の騎士さんか」と関心していた。ケルトさんは「さり気なく、女神さんに厄介事押し付けましたね」と言っていた。
――ちょっと! 怒られるの私なんですから、何やってるんですか!――
「いいじゃない、どうせ。私に全部押し付けてるんだし」
――うぅ……、後でご飯奢ってくださいよ?――
「それくらいなら、いいわよ」
女神が話しかけてくるけど、扱い慣れてるのでさらっと流す。なれって怖い。
ケルトさんもそのことに関しては苦笑してる。
1人も怪我をせず、学園に着いたらウォンドさんと別れ。
そのまま、寮でのんびりお風呂に入って。エンカと今日あった出来事を話しながら、眠りについた。
次は、朝の料理と?




