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半魔族の少女は料理と共に  作者: 秋雨そのは
5章 学校と転生した少女
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68話 古びた教会とまた女神ですか

また、キャラが……自業自得だけど

 私達は、泣き止んで落ち着いた銀髪の少女を子供達と見ていた。


 さて、これからどうしようかしら。このまま、何もありませんでしたで帰れないし。

 取り敢えず、この子に聞いてみましょう。私は銀髪の少女に声を掛けた。


「貴女のお名前を聞いてもいいかしら」


「はい、私の名前は……エオリア・ハズ・ヴィートといいます」


 私達2人は名前を言った。それを見真似て子供達も元気良く名前を言ってくれた。

 それにしても、また名前が……学校の人達でも結構多かったのに。まぁ覚えてるのは一部だけどね……色々ありすぎて交流も無かったから。


「驚かないんですね」


「そうなの? 私、貴族になったばかりだから全然知らないのよ」


「あ、噂の新米貴族の黒髪綺麗な女の子だったんですね」


 そんな噂になってたのね。正直、倒れたり……職員室に呼び出されたり。授業をすっぽかして、森を探索したり……って私ってロクな事してないわね。しかも、その後に2人の職員が退職したとなったら。噂になるのは、必然かな……。


「気を取り直して、子供達に教会の関係者に話を聞きましょう?」


「はい! マリアさんって優しいんですね。先程の事で私、凄く暖かい気持ちになれました」


「そう? 私は、自分の気持ちに素直に生きてるだけよ」


 エオリアさんの目は、泣いていた為か赤みがあった。アホ毛の生えてる肩より少し長い銀髪は綺麗だし。


 私達は、子供達に「お世話してくれてる人の所に連れて行って?」と言ったら「わかった!」とみんな言ってくれた。

 教会の大きな扉を開け、中に入ると外と同じ様にボロボロだった。ただ、崩れる様子もない所を見ると芯の所は、ちゃんと補強されてるのかもしれない。


「あら? お客さんかね」


「お邪魔してます」


「何年ぶりかね、ここに人が訪ねてくるのは……」


 目の前の女神像を崇める為に置いてある、長椅子も所々無く祈りを間近で捧げる場所にお婆ちゃんが居た。

 お婆ちゃんはこっちを見て微笑んでいる。子供達が「おばちゃんひと、つれてきたよ~」と1人が言うとみんな一斉に走っていった。


「あ、あの! この子供達を育ててる人ですか?」


「あぁ……そうだよ、わたしゃ。この子を拾ってここまで育てたのじゃ」


 この子達は、捨て子だったみたいだ。もしかしたら、今この子供達が元気なのはこのお婆ちゃんが頑張った結晶なのかもしれない。

 それにしても、どの国も不景気なのかな? 前世でも場所によってはあったからね、裕福な場所であれば、貧乏の所はあると言った感じかな。

 先程の微笑みは何処に行ったのか、両目をカッと見開いて私達を深く見てくる。


「それで、ここに何のようだい?」


「私達は、この近くを散策してただけです」


「わ、私は……少し提案したいことが……」


 私が助け舟は出さず、あくまで彼女とお婆ちゃんの交渉となる。別に出しても良かったけど、満足した上で事が運ぶほうがいいし。

 お婆ちゃんは「ほう、何の提案だい?」と返した。

 エオリアさんは私に言ったように、お金での援助や食料の提供を申し出た……しかし、お婆ちゃんは首を横に振った。


「そんな事をしたら、この子達は貴族の都合に振り回されるし……何より、一番この子達が怖いのは貴族なんじゃよ」


「そ、そうなんですか……」


 エオリアさんはちゃんと話を聞いている。こういうのは自分の意見を押し付けちゃったり、勝手にやっちゃう時があるから。

 ふと、こっちをお婆ちゃんが見てきた。


「貴女は……女神の加護を受けているのではないですか?」


「!?」


――久しぶりに出てきました~、あれ? ここって教会じゃないですか――


 また、丁度いいのかタイミングが悪いのか女神が声を掛けてきた。それが聞こえるのか、お婆ちゃんは女神に返した。


「あんたは、何時も仕事しなさすぎなのよ! もう少し仕事したらどうなの!」


――げっ!? ハトホルなんでこんな所に!――


「貴方達、いきなり出てきて喧嘩しないでほしんだけど」


 丁寧口調だった、お婆ちゃんがいきなり声を荒くさせて女神に話している。ハトホルって事は、女神じゃない。この異世界は何でもありね……。

 そんな事を思いつつ、私はこの現状に慣れてしまっている。ケルトさんも割りと顔が引きつっている。エオリアさんは女神の声が聞こえないのか、私とお婆ちゃんが話してる内容が理解出来ない様子だった。子供達はお婆ちゃんが声を荒くしているのが珍しいのかびっくりしてる。


「最近は、真面目に仕事してると思ったのに。転生の不祥事でこっちまで被害来てるのよ?」


――うっ! た、確かに……ナタリアさんの転生は私達にとって、ちょっとイレギュラーですけど――


「そ、れ、に何で同じ転生者の人に丸投げしてるの?」


 凄い、流石上司なだけある。いや、どっちが上で下なのか分からないけど。態度からして、女神低いんじゃ……。

 あまり干渉出来ないから、私に任せてるけど他にやりようがあるということだろうか?

 1人事を喋っているように見える、お婆ちゃんにエオリアさんは耐えきれなくなったのか。私に聞いてくる。


「あ、あの……マリアさん、お婆ちゃんは誰と話しているのでしょうか」


「深くは聞かないで、簡単に説明すると神と喋ってるのよ」


「へぇ~、そうなんですか……って神と喋ってるんですか!?」


 エオリアさんは「あれ? マリアさんはなんで分かるんだろう? 内容分かる様な言い方だし……」と言っていたが、このままではただ、女神の言い合いで時間が終わってしまう。


「はい、ストップ! 貴方達は何時まで話してるのよ、2人の時に存分に話しなさい!」


――す、すみません……――


「申し訳ないです……」


 お婆ちゃんの言葉のギャップが激しいけど、この際気にしていられない。エオリアさんも言いたい事はあるかもしれないけど、今は事を終わらせないと。

 本当、私が何処か行く度に誰かに出会うわね。その内、エンカと一緒に部屋でゴロゴロでもしてようかしら。


「こほんっ……援助の件でしたよね。もう少し事が落ち着いてからお願いします」


「えっ……は、はい」


 事というのはもしかして、ナタリアさんの事だろうか。そんなに大変な事になるとか? 私としては、ただ友達を助けてるだけなんだけど。

 エオリアさんは断られた手前、なんで? という感じでお婆ちゃんは見ていた。


「ちょっと、この国の危機が迫っているのです」


「え? そうなんですか?」


 エオリアさんに、お婆ちゃんが神からの天啓(自分)の言葉を伝える。それを聞いた、エオリアさんは目を光らせて「私も協力します! マリアさん、私に出来ることあれば手伝います!」と言って私の手を取っていた。


 お婆ちゃんによろしく言われて、教会を後にして外に出ると。陽が落ちて雲が茜色に染まっていた。

 子供達は「おねえちゃんたち、またね~」と言ってくれたので、私達3人は笑顔で手を振った。


 私達とエオリアさんは暗くならない内に寮に帰ることにした。

次は、帰り道と?

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