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半魔族の少女は料理と共に  作者: 秋雨そのは
2章 街の人と王女
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26話 応援する父の仕事仲間とお爺さんの秘密

PV10000突破です。凄く感謝です!

 マリアさんが、店を出てすぐ。

 僕は、何の話をしているのか気になってしょうがなく、扉を行ったり来たりしていた。


「落ち着きなさいよ」


「す、すみません。でも気になって……」


「余程、あのお嬢さんの事、気になっておるの~」


 図星を付かれて、動揺する。

 そんなに分かりやすいだろうか。父もすぐに気づいてからかって来るし。


「そういえば、お2人は父さんとどういう関係なんですか?」


「私は、仕事仲間ね。冒険者やっていたけど、貴族ぐるみで告発されたところを、ミナトに助けられたのよ」


「儂はな、両親がここの常連じゃったので、よく知っておる」


 お爺さんは、只者じゃない雰囲気と共に、何処か懐かしい感じがする。

 もしかして、僕は会ったことあるのかも。


「儂はな、お主が小さい時にあったことあるぞ」


「そうだったんですね、僕が覚えてないのも小さかったからですね」


「ほっほっほ、立派になったものよ、あの頃は父親についていくのがやっとだったのにの~」


 マリアさんは、小さい頃どういう風に育ったのだろうか。5歳から、小屋くらいの家で住んでいたって言うけど。

 父は僕が生まれてから正気じゃなかった、らしい。

 母から聞いた話だから、曖昧だ。女神の言葉も聞こえるみたいだし、何があったのだろう。


「ミナトは何かに取り憑かれてたとか、呪いとかなんとか言ってましたけど」


「そんな事、僕に一言も……」


「そりゃそうでしょ、無駄に気を使わせてはいけないもの」


 ハナという女性は、立ち姿もそうだけど、気品があるようで、スキがない。

 動き1つでも経験が違う事がわかる。


「そんな事はいいんです、今はマリアさんとの恋を成就させなきゃね!」


「え!?」


「当たり前でしょ、何処の馬の骨だか知らない人に手込めにされるくらいなら、貴方の方が数十倍マシですよ」


 突然の、宣言に戸惑った。

 なんでみんな知っているの? そんなに分かりやすいの?

 マリアさんは純粋だから、確かに騙されて結婚なんかさせられるかもしれない。


「正体の事もあるし、その点貴方は知っているみたいですし」


「儂は蚊帳の外かの?」


「ハナ……さんも知っているんですね」


 どうせなら、ここまで話しちゃったし、お爺さんにも聞いてもらおう。


「マリアさんは、半魔族なんですよ」


「そうだったのじゃな、でも魔族にしては普通の少女にしか見えんがな」


「そうなんです、普通の家庭とは少し違いますけど、仲睦まじい両親だったと聞きます」


 お爺さんは何処か納得した様子で、かっかっかと笑っていた。

 良かった……、誰しもがマリアさんを嫌わなくて。


「儂みたいな老いぼれでも分かるわい、あの子は純粋にこの街を楽しんでおる」


 お爺さんは、1つ息を吐き、今まで優しそうな顔がいきなり険しくなり。


「その楽しみを、邪魔する者がおれば、儂は容赦せんよ」


 僕は、その一言に寒気がした。

 お爺さんは端から見れば普通に言っただけかもしれないが。

 先程の一言には、怒りや憎しみなど、こもった言葉に見えた。


「さてと、儂は自分の入れたコーヒーでも飲むかの」


 さっきまでの表情は何処に行ったのか、普通にコーヒーを飲み始めた。

 この人を敵に回したくないと心の底から思ったのだ。


「お爺さん結構、気に入ってるね」


「それはそうじゃよ、若いもんは元気が何より、どんな子でも笑顔が眩しいのじゃよ」


 お爺さんは何者かは、分からないけど……。

 マリアさんは好かれるな~、と思ったのだ。彼女の無意識の行動は、人を笑顔にさせる。

 僕もそれで救われたんだ。

 そんなことを思っていると、ハナさんが。


「マリアさんをどうやって、口説くかですね!」


「なんでそこに繋がるんですか!」


「良いの~、恋は人を成長させる。儂も1回くらいしたかったの」


 お爺さんも茶化すように、頷いていた。

 まだ、僕の気持ちの整理がついてないんだからやめてほしい。

 ちょっと、彼女はどう思ってるのか聞きたいけど。


「ケルトさんも、もっと攻めていかないと、一緒にお出かけとか!」


「僕は1回くらいしか、一緒に歩いてませんね」


 そう、あの時から一緒に行動することができなかったのである。

 マリアさんは別行動取りたがって、僕を巻き込まないようするけど。

 逆にそれが心配の種だ。


 もし、この騒動が終わって彼女と一緒に歩くことが出来たら、その時は――

次は、ケルトさんと別れ、次の日マリアさんは街の散策に戻ります。

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