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追跡!

  勇者A達は案内役の村人を乗せると、その指示に従って

チビデビルが、盗みをはたらいてる倉庫へと馬車を走らす。


 「あそこです!」


倉庫の前に馬車を止めると、勇者Aと魔物たちは外に飛び出て

警戒気味に倉庫の様子を外から探る。

倉庫の中からは、色々な音が外に流れてくる。


 「ドン、ズーズー、ガタガタ」


 「おめーら、踏み込むぞ!」


 「ちょっとまって!」


勇者A達が踏み込もうとした瞬間、シルディが一言発した。


 「どうした?シルディ」


 「良いこと、思いついたわ」


 「魔物たち、素早いから、たぶん逃げられるかもしれない」


 「だから、そうさせないために、私達が入った後」


 「すぐ入口に、魔法の障壁を私が張るわ」


 「お、ナイスアイディーア!」


 「プルププ(さすがシルディ、賢いな!)」


シルディの良い案に、笑顔を浮かべ褒め称える勇者Aとプル。


 「・・・・・そううまくいくかな・・・・」


タケシは対照的に、その案に疑わしい言葉を投げかけた。


 「まぁ、いいじゃねーか、頼むわ、シルディ!」


 「分かった!」


勇者Aは静かに村人から借りた倉庫の鍵を、ドアの鍵穴に差し込むと

静かに開けた。そして勢い良く中になだれ込む。


 「貴様等〜全員逮捕する〜!」


勇者Aは刑事ドラマの見すぎのようだ。

シルディは中に入ると、杖を入口の扉に向け、何かの呪文を詠唱すると

薄い緑色に光る障壁を張った。


 「これで逃げれれないわ」


 「よくやった、シルディ!」


 「後は、お前等とっ捕まえるだけだ」


倉庫の闇に見え隠れする小さな影は、素早い動きで

中に詰まれた米俵や、樽の影に隠れる。


 「隠れても無駄だよ〜ん」


 「苛めないから出ておいで〜」


勇者Aはそんな優しい言葉とは、裏腹に剣を力いっぱい握り締め

殺るきまんまんの笑みを浮かべている。


 「プルププ(お前等、素直に投降しろ)」


 「プルププ(この人は、本気だぞ!)」


プルは勇者Aの恐怖を熟知していた。


 「ファイアアロー!」


突然、黒い影が魔法の詠唱を口にし、天井に向けて炎の矢が放たれると

矢は屋根を轟音とともに、突き破り小さな穴を開けた。

穴が開いた場所からは木の屑が音を立て落ちて来る。

倉庫の中は埃煙で目を開けるのが難しい。


 「今だ、逃げるぞ!」


 「あい」


 「OK」


その穴から黒い影は外に順番に跳び出て行く。


 「くそ〜、逃がしてたまるか!」


 「後を追うぞ!」


勇者Aは入口から出ようとするが、障壁が邪魔で出れない。


 「・・・だから言ったのに・・」


タケシがその様子をみて、諦め口調で囁くと首を振る。


 「にゃろおお」


 「こうなったら・・」


 「プル!お前は小さいし、素早い」


 「すぐあいつ等を追え!」


勇者Aがそう言い放ち、プルがいた辺りを見るが

姿が見えない。


 「あれ・・どこいきやがった・・」


 「あれ〜・」


シルディも辺りを見回すが、プルの姿は見つけられないでいる。


・・・プルの奴、もうとっくに・・


タケシは屋根に空いた小さな穴から見える青空を、静かに仰いでいた。


 「プルププ(こら〜、まて〜!)」


 「おい、何か追ってくるぞ」


 「なんだあいつ、弱っちそうだな・・」


チビデビル達は、後ろをちらちら見ながらも、その足を止めない。


 「どうする?」


 「やっちゃう?」


 「いや・・・」


屋根を飛び越え、只管走りながら、話しこむチビデビル達。


 「危害を加えては、怒られちゃうよ」


 「とりあえず、撒くんだ」


 「プルププ(こら、待たんかい!)」


プルは屋根の地面を力いっぱい蹴ると、チビデビルの一人に

体当たりをした。


 「うげ・・」


プルが背中にぶち当たると、チビデビルの一人が屋根の上で倒れこんだ。

プルはその上に覆いかぶさるように乗ると、力いっぱい上から押し付ける。


 「プルププ(観念しろい!)」


 「!?、ピムが危ない・・!」


 「こうなったら、やるぞ!」


 「うん、兄ちゃん!」


プルの前に残りのチビデビル2匹が、農家の桑のような武器を構えながら

駆け寄ってきた。


・・・く・・やるしかない・・


プルは覚悟を決め、体を波立たせると、戦闘態勢に入った。





 



 


 


 


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