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コルク村到着!

 勇者A達はコルク村へ出発するため、事務所の地下にある、馬車置き場にやって来た。


 「さ〜てと、おめーら、出発するぞ」


 「どんどん、乗ってくれ」


 「は〜い!」


魔物たちが次々と馬車の入口から、順番に乗っていく。


 「みんな乗ったな〜」


 「ケルは歩いていけよ」


 「う〜ん、なんか、中の方が楽しそうだなぁ・・」


ケルはそう言うと、少し俯き加減で目を閉じ、悲しそうな顔をしている。


 「ごめんね、ケルちゃん」


 「でも、あなたの巨体じゃとてもね〜・・許してね」


シルディが慰めるように言った。


 「う〜ん・・・あ・・そうだ!」


ケルは何か思いついたように、突然顔を上げると生き生きした眼に変わった。


 「アレを使おう」


 「精霊魔法、メタモルフォーゼ」


ケルは何かの魔法を唱えると、突然体が光り輝いたかと思うと

姿がだんだん収縮し、小さな人のような形に代わっていく。


 「どう、これ!」


ケルは小さな男の子の姿に変身した。

Gパンに半そで、頭の真ん中には小さい角が一本生えている。


 「ええ・・あなたも精霊魔法使えるの?」


 「うん!」


変身系の魔法は精霊魔法にしかない高等魔法である。

極々一部の魔物しか使えない、その魔法をケルが使ったのを見て

シルディは驚いている。


 「ケルちゃんって・・もしかしてすごい魔物だったりして・」


 「おぉ・・ケルすごいなぁ・・それなら乗れるな馬車に」


 「プルププ(ケルやるな〜ほら乗ってこいよ」


 「うん!」


ケルは嬉しそうな顔で馬車に飛び乗る。


 「よし、みんな乗ったな、じゃあ出発だ!」


馬車は勢い良く発車すると、コルク村向けて走り出した。



・・・数時間後


 「お・・川が見えるぞ・大きな川だな」


 「これがゼル川だな・・」


 「涼しそう〜」


川から吹き付けてくる冷たい空気が、馬車の中にも流れてくる。


 「プルププ(気持ちいいなぁ・・)」


 「お・・見えてきたぞ、村が」


村の入口には ←コルク村と書かれた木の看板が地面に穿たれている。

馬車は入口を抜け、土の比較的平らに舗装されている道を進んでいく。

木でできた家が道沿いに何軒かあり、家の周りには、草木が生い茂り、綺麗な花も咲いている。

道沿いに木の柵があり、家の敷地と道路を分断している。


 「ええっと・・依頼主の村長の家は・・・」


手書きで書かれた、簡単な地図を勇者Aは、町と照らし合わせながら

村長の家を特定し始める。


 「あ、ここを右に曲がって三軒目が村長の家だ。」


 「ここだ・・!」


村長の家は周りの家よりは、大きめで、丸太を幾重にも重ねて作られた

ログハウスのような外見の家だ。ステンドガラスの窓が光を浴びると

7色に輝いている。


勇者Aは馬の手綱を引き、馬車を家の前に止めると、馬車の中の魔物たちに呼びかける。


 「着いたぞ〜、おめーら、降りろ」


 「プルププ(へい!」


 「イエッサー」


馬車からみんな降りると、勇者Aは魔物たちを馬車の外で待たせて

一人で入口の前まで歩いていき、家をノックする。


 「ちわーす!冥府魔党の勇者Aといいま〜す」


 「誰かいませんか〜?」


ノックするが、反応がない。


 「あれ・・おかしいな・・」


 「お〜いもしもし〜居留守ですか〜」



ドカ!!


 

 「ファイアボール!」


ドアが開いたかと思うと、中から突然炎の球が勇者A目掛けて飛んできた。


 「げげ・・なんじゃ〜〜?」


勇者Aは不意をつかれ、まともに炎を受けた。


 「あれ・・魔物じゃない・・」


 「あちちちち!」


勇者Aは炎が服に燃え移り、その場くるくる回っている。


炎の燃え映った服を脱ぎ捨てると、勇者Aは剣をスラリと抜いた。


 「てめぇ・・あちーじゃねーか・・」


 「俺に・・何の恨みあるかしらね〜が」


 「ただじゃすまさねぇぞ・・」


 「待て待て!話せば分かる・・」


勇者Aの耳にはもはや何も聞こえない。


 「プルププ(まずい、あのじ〜さん・・やられるぞ・・)」


 「間にあわねーな・・」


 「プル・・体を貸せ・」


 「プルププ(は・・?」


 「ウリャ〜〜!」


勇者Aはじ〜さんに剣を振りかぶると、飛び掛った。


 「プルボンバー!!」


タケシはすごい勢いで、プルの触覚を掴み振り回すと

勇者A目掛けて投げつけた。


ドーーーン!!!


 「ぐえぇえ・・」


勇者Aの頭にプルが激突すると、ログハウスの壁に二人とも叩きつけられた。

じ〜さんは頭を抱えると、その場で眼を閉じしゃがみこんでいる。


 「間に合ったな・・ジャストミートだ・・」


コントロールの正確さに満足げなタケシ。


 「ふ〜助かったわい・・」


 「プルププ(タケシ〜・・・覚えてろよ・・)」


 「ぐ〜・・」


プルは頭にタンコブを作ると、タケシの方を恨めしそうに睨む。

勇者Aは頭から壁にダイブして、目を回して、気絶している。


 「なんか・・初めっから、大変なことになってるわね・・」


その様子を人事のように見つめるシルディ。


 「怖いな・・この人たち・・」


ケルは少し怯えながら、体を震わせ、縮みこんでいた。




 


 





 


 



 


 

 







 




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