最終話 いつかまた!
「勇者A!」
「その声はリン!」
勇者Aは思いがけない場所で忍者スーツのリンと再会した。
その姿を見られ、思わず早乙女の後ろに隠れる。
――しまった、この格好見られた……。
「こんなとこにいたのか」
「リン、迎えに来たぞ!」
勇者Aは家来に追いかけられながらもリンに声を掛ける。
「勇者A……」
「リン様お知り合いですか?」
「私の夫なの」
「ええ〜〜〜!!」
口を開けて大きな声で驚く四天王たち。
「勇者Aはん〜」
「もう、ワテ疲れた、外へ逃げましょう〜」
「そうだな、そろそろ潮時だな」
「リン、ほら帰るぞ」
勇者Aは走りながらリンに向って手を差し出す。
「勇者A……」
その手を掴むと、二人で城外へ猛烈なダッシュで逃げていった。
「うぇ、勇者Aはん、早すぎでっせ、まってやー」
四天王は目を丸くしてその様子を見ていた。
「あーあ、私らのボスが行ってしもうたわ」
「でもまぁ、良かったじゃん、夫が迎えに来てくれて」
「だね、リンさん幸せそうな顔してた」
幻はそう言うと、頭に殿の事を思い浮かべて、自分もあの夫婦みたいな仲の良い関係を築き上げたいと暗に思った。
「さて、幻の婚礼儀式終ってないじゃない」
「みんな続きやろうー」
四天王たちにそう栞は促すと、元いた部屋にみんなで戻っていった。
殿と幻は家来や四天王が見守る中、婚礼の儀式を行う。
「やめるときも〜〜〜も誓いますか?」
神父がそう二人に問いかけると、二人は誓いの言葉を述べ熱いキスを交わした。
――ふ…私の入る隙間はないみたいだな
こうして、クノイチ達と城の人々はその日宴を堪能した。
その後、幻はこの城の主の妻として末永く城下町を見守りながら殿と仲よく暮らした。
――一方勇者A達は……
「おらー、岩いっぱいもってきたぞ」
「ジロウ、全部金塊にしろ」
「そんなにーーいくらなんでも魔力もちませんわ」
「死んでしまう〜〜〜」
ジロウは死ぬほどこき使われていた。
「プルププ(頑張れ、ジロウ!)」
「お前に俺達の命運がかかっている」
「お金〜ほしいわ、頑張れジロウちゃん」
「ジロウ、俺達をブルジョアにしてくれ!」
みんなに気合のこもった要求を一方的に言われ
涙目のジロウは頭の中で何かがはじけると、物凄い勢いでそこから逃げ出した。
「わ、逃げたぞ〜追え〜」
タケシとプルが追い回すが、ジロウが奔りながら何かを詠唱し始める。
「もう限界やー、みなさんさいならー」
急にジロウは体の周りが煌くとその姿を瞬時にみんなの視界から失わせる。
「なんだーー」
「テレポートの類の魔法だな」
「糞〜逃げられた〜俺の金ズル〜」
肩を落とし絶叫する勇者A。
「いいじゃない、お金なんてなくても……」
リンは勇者Aに歩み寄ると、肩に手を掛け諭した。
「でも〜」
「まぁ悪銭身につかずってとこだな」
タケシが一言空を見ながら締めくくった。
◆◇◇◆
――次の日の朝。
「勇者A〜、いってらっしゃーい」
「行って来るよ……」
「そんな落ち込まないで」
「落ち込むよ〜……」
「ブルジョア生活が夢と消えたんだぞ」
「良いのよ、そんなものは」
勇者Aを優しく見つめ、踵を浮かし頬にキスをする。
「まぁ、そうだな、俺ならすぐ稼げるし」
「時間はちょいかかるけど、そのうち大きな家も立ててやるぞ、ハハハ! 」
「頑張って! 勇者A」
「おら、タケシプルいくぞ〜」
「「へい!らじゃー」」
こうして勇者A達の仕事と冒険?はこれからも続くのであるが
まだ様々な謎はこの世界には残されていた。しかし彼等ならこれから訪れる苦難も乗り越えていくだろう。その時の話はまたいつか!
END
とりあえず最終回となります。
長い間読んで頂き有難うございましたー!




