くのいち到着。
「着いたわ…」
5人はそれぞれ、森の途切れる手前の木々の高い場所に陣取り
前方に広がる平原、そしてその先に見える城下町と思しき
建物群の影を視界に捉えていた。建物群の中に一際高く聳えるお城の姿。
それはまさしく、白鷺城であった。
「みんな、今から町に入るけど、目立ちたくないので」
「各々、脇道や、屋根を伝って城門まで走ってちょうだい」
リンのその言葉に栞が目を丸くして言った。
「リン様、それはおかしいよ」
「そんな事しなくても、あたいらが、町娘の姿に変身すればいいと思いますよ」
「ま、早乙女ねーさんはそのまんまでもいけそうね、もちろん私も」
「リンさんと、躯はもろ忍者スーツだし、幻は怪しすぎるし」
「三人が変われば問題ないかな」
それを聞いて、幻がローブの中から栞を睨みつけ言葉を放つ。
「この格好のどこが怪しいっていうの?」
「ふん、まんま、怪しいだろ」
早乙女は率直な意見を述べ、幻を一蹴した。
「しかし、3人分の着物がないわね」
「どうしようか?」
栞が少し困ったような表情をして、頬に右手のひらを当てて頭を傾げていると
躯が陽気に大きな声で言った。
「そんなん、町娘から奪っちゃえばいい」
「馬鹿!私たちは忍者だけど、泥棒じゃないのよ」
リンは躯に強い口調で言うと、躯は後ずさり早乙女の後ろに隠れた。
「ふん、結局面倒じゃない、リン様の言ったとおり行こうじゃないか」
「あーあ、これだけ話広げて結局それかい!」
早乙女にすかさず突っ込みをいれる栞。
話しが戻ると、リンを先頭にクノイチが動きはじめた。
森と違って障害物の少ない平原を走るスピードは、影も残さないくらい
早く、あっという間に城下町の入口へと着いた。
「よし、屋根伝うよ」
リンの号令と共に、屋根に驚異的なジャンプで次々上っていく、
屋根から屋根へと伝い、あっという間に一向は城門に辿り着く事が出来た。
城門には門番が二人いて、槍を片手に持っている。
クノイチ達に気づくと、近寄ってきた。
「雛菊の里のクノイチだな」
「良くぞ参った」
「殿が中で首を長くしてお待ちになられています」
リンは白菊の封を渡すと、中へと足を踏み入れて行った。
「よう、参ったな、みなさん」
「待っていましたよ」
殿の御前で正座し、深々と体を折り曲げるクノイチ一向。
「もっと気楽にしてください」
「顔をあげてくださいな」
殿は優しい表情を浮かべ、5人に向って言葉を掛けた。
リンは顔を上げると、殿に言った。
「お殿様、クノイチの代表リンと申します」
「おぉ、あなたがクノイチ最強の忍者リンですか」
「はい」
「お美しい!」
幻は後ろで殿様のその言葉を聞いて、少し不機嫌そうな顔で下を向いた。
「ところで、殿を狙う敵の事ですが…」
リンがそう切り出すと、殿は良く分からないといった表情でしばらく口を半開きにしていた。
その表情に唖然としたリンは白菊から聞いた話を殿に伝えた。
暫くして、殿が口を開く。
「そんな事聞いたこともないですよ」
「私は今日はクノイチ一向の方々が遊びに来るという話で」
「それを楽しみに待っていただけです」
後ろの四天王たちは目を大きく見開き、視線を殿に向け体を硬直させていた。
突然、殿の後ろにいた補佐役の大臣が笑い出した。
「アハハハハ!そう、この城には敵など来ませんよ」
「私が嘘の書を送って、貴方達をここに呼んだんです」
リンは状況が良く把握できなかったため、大臣に詳細を聞き始める。
「どういうことですか?」
「実はな、殿様はそろそろいい年だし、嫁を迎えたいと思っていてな」
「ワシは隣の藩の姫などいいんじゃないかと、お薦めをしたのじゃが」
「殿が聞き入れてくれんのじゃ」
殿はその間、顔を少し赤らめながらセンスを顔の辺りに翳し、静かに聞いていた。
「で、ワシがその拒む理由を聞いてみたら…」
「なんと、クノイチから嫁を選びたいと申されてな」
「そこで、君たちに嫁候補としてきてもらったのじゃ!」
リンも四天王も完全にあっけに取られ、目を丸くして固まってしまった。




