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新たな仲間!



  勇者Aの前に現れた・・もとい、トンズラしようとしたとこへ、ドぎつい関西弁で

呼び止める謎の魔物。

その姿は武士のような袴を着込み、腰に刀らしき物を挿し、丸みを帯びた顔立ち

、申し訳程度に点のようにある眉毛、どこか愛嬌のある眼、そして背は勇者より低い小柄な魔物。ほぼ人間の子供のように見えるが、顔色が青色なため、魔物には違いない。


 「なんだ、魔物か〜」


 「心配して損した…」


安堵の息を一回吐くと、馬車から飛び降り魔物の前でふんぞり返る勇者A。

その態度に魔物は憤慨してか、勇者Aの真ん前に陣取ると大きく息を吸った。


 「なんじゃお前は〜〜!ひき逃げ犯の癖して偉い態度でかいやんかー」


 「ワシさっきのでドタマかち割りそうになったんやで〜!」


 「どう、責任とるんやー!」


 「魔物やからって馬鹿にすんなや!ちゃんと出す物出してもらうで!」


 「そなやいな〜・・」


魔物は言葉早にまくし立てると、電卓を袖から取り出し数字を打ち始める。


 「こんなもんかいな、4000000キルでどうや〜兄ちゃん!」


勇者Aは初めは逃げようとした事もあって、黙って聞いていたが

だんだん顔つきが鬼の形相に変わっていった。鞘から剣を抜き取ると魔物に切っ先を構えて

地の底から聞こえるような低い声で、話し始める。


 「お前な〜・・・こんな荒野で・・ひき逃げしたからって・・」


 「誰も見てないんだよ、しかもお前は魔物・・・」


 「普通に倒しちまえば、全て丸く収まるんだよ〜・・ウフフ」


勇者Aの目に黒い影が差すと、異様な殺気が体からあふれ出ている。


 「お!お!お前!ひき逃げ犯の癖に開き直ったあげく、実力行使かい!」


 「あんまりワテあまぁみんといてや!」


魔物も剣を抜くと、背が足りない分を体を少し空中に浮かせて、勇者の目線に合わせて

睨み構えを取る。


 (…なんだこいつ…空中浮いてるぞ…羽も無いくせに…魔法か何かか?)


次の瞬間、その魔物が浮いたまま真直ぐ空中を滑るように、勇者目掛けて高速で切りかかってきた。


 「は・はやい・・!」


…ドガガガガガ


ものすごい剣の連続攻撃、勇者Aは防御で手一杯だ。

しかし勇者Aも負けていなかった。すぐさまその一つの剣撃を見切って体を左に捻って

交わすと、次は自分の攻撃とばかりに、剣を振り下ろす。


 「やるな・・・兄ちゃん・・・」


(ちょいとやばいで・・こいつ強いやんか…)


 「とどめだ〜!!」


魔物が足元の石につまづいて、後ろのこけた瞬間、勇者Aの目がキラリと光り

地を蹴って浮き上がると、剣の柄を両腕で握り、仰向けで倒れている魔物目掛けて

剣の切っ先で突き刺そうとする。


 「うわ、うわ、ちょお、まちいや!!」


 「く・・・」


魔物の体に剣が届く瞬間、魔物が眼を細めたかと思うと、突然姿が地から消えた。

勇者Aの剣は魔物ではなく、岩の地面に突き刺さり、差し込んだ前方に亀裂が走る。

勇者の少し後ろに一瞬でその姿を移動させた魔物。


 「あぶね〜…この兄ちゃん強いわ」


 「このやろ、すばしっこいなぁ・・」


どちらも剣をまた構えるが、両者とも少し恐れ始めている。


 (…こいつ、一見弱そうだけど、動きも早いし変な技も持ってるし、侮れねぇ・・)


勇者Aがまた攻撃に転じようと踏み込むんだ瞬間・・突然魔物が剣を捨て土下座をし始めた。


 「かんにんやー!ちょっとした出来心やったんや〜・・!」


 「金無かったもんやから、あんた馬車でくるの見えたんで」


 「わざと馬車に飛び込んで、賠償や〜って金巻き上げようとしただけなんや!」


 「ほんの出来心なんや、許してや〜!」


勇者Aの前で土下座して涙を流しながら、本当のことを告げて、許しを請う魔物を見ているうちに、なんだか馬鹿馬鹿しくなってくると、剣を鞘にしまう。

そして、自分に非がないと分かると、上から目線で話し始める。


 「お前な〜、それヤクザと同じだぞ」


 「当たりやっていうんじゃ」


 「人間社会じゃ立派な犯罪だ、お前の母ちゃんも泣いてるぞ」


 「クドクド〜・・」


勇者Aが長い長い薀蓄をクドクド語り始めると止まらない。

しばらくして、言いたいことを全部言ってしまうと、馬車に飛び乗る勇者A。


 「まぁ、俺も旅を急ぐ身、この辺で許してやるわ」


 「じゃあな!」


 「待ってや!」


くどくど言われて塞ぎ込んでたかと思うと、突然立ち上がり勇者Aを

大声で呼び止める。


 「ワテ、あんさん気に入ったわ」


 「ワテみたいな奴にくどくど説教してくれるなんて」


 「優しい証拠やで」


 「どや、仲間にいれてくれへんか」


 「それなりに働きまっせ!」


その申し出にしばらく考え込む勇者A、しかし今はプルもタケシもいなくて

一人旅。そして未知への大陸へ行くと、どんな強い魔物が出てくるかも分からない。

そして何より、この魔物が結構強い事もあって、その言葉は有難かった。

 

 「しゃーないな・・・じゃ、後ろに乗りな」


 「へい!」


 「だけどな〜、俺の仲間になったんだから、しっかり働いてもらうぞ!」


 「わかりやしたー!」


(…取り合えず、ここは下手に出ておいて、この兄ちゃんに着いていけば、飯にありつけそうやし…損はないやろ…)


 「取り合えず名前だけ聞いとくかな」


 「ワテでっか?ワテはシマジロウいいます」


 「じゃジロウでいいな」


 「へい!なんでも結構っす」


ちょっと変わった魔物を新たに仲間にした勇者A。

思惑はそれぞれだが、馬車は二人を乗せ港町パーニャを目指し、荒野を駆け抜けていく。


 


 


 



 









 







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