くのいちの里!
キル村のあるピリカ大陸から北東に100kmの地点にジパーーングという国があった。
この国は独自の文化で発展し、他国との交渉を一切せず農業を中心に栄えてきた。
その国のある森の中に外界との接触をたち、クノイチ達がひっそり暮らす”雛菊の里”があった。
「姉様、さすが・・」
手裏剣を3つ連続で投げて、的の中心に全ての手裏剣の先がひしめき合うように刺さるのを見て
ユイは思わず感嘆の声を上げ、言葉を添えた。
「ユイ、あなたも大きくなったわね」
そうユイに声を掛けたのは、紛れも無くあの勇者Aの妻リンであった。
「私がこの里を出て行ったとき、あなたはほんの12歳だったかしら」
「あれから4年で随分女らしくなって・・」
リンはこの里にまだ着いたばかりだ。
クノイチの首領白菊はリンを呼ぶため、里の使いに手紙を持たせてキル村に送り
その使いから白菊の自筆の手紙を受け取り、内容を読んだリンは唖然とした。
代々雛菊の里のクノイチはこの一体を収める藩主、白鷺家の手となり足となり
その繁栄に尽くしてきた。その白鷺家が居を構える白鷺城からつい最近
雛菊の里へ伝令が申し渡された。
「近頃、我が城の殿の命を狙う不穏な動きがある、殿の命を守るに、現存の兵だけでは
忍びない、寄って、雛菊の里に住む最強のクノイチ5人を警護に連れてくるべし」
その伝令を見た首領白菊は、4人まで選んだものの、最後の一人が決まらず
昔この里最強と謳われながら、外界へ出て行ったリンの事を思い出し、なんとか場所を突き止め、リンに里に帰還の命をくだしたのである。
暫くすると、茅葺の屋根の家から白菊が顔を出し、リンに近寄る。
「よく帰ってきた」
「白菊様・・!」
リンとユイは素早く右膝をつき、しゃがみこむと頭を下げ、一言発した。
白菊は更に言葉を続ける。
「よい・・・楽にしなさい」
そう白菊は言うと、静かに語り始める。
「お前がいなくなって早4年・・・」
「一時は勝手にこの里を捨て出て行ったお前を」
「恨みさえしたが・・・それは一時の事・・」
「お前にも何か考えあっての事と悟り、諦めていた」
「しかし、またこうして、私の突然の伝令に答え、帰ってきてくれて、本等に嬉しいぞ」
「もったいなきお言葉・・・」
静かに目を閉じ白菊に言葉を返す。
「伝令はもう見たと思うが」
「近頃、白鷺城に不穏な動きあり・・」
「外部の仕業か、それとも内部のものか分からぬが」
「怪しき呪術と禍々しき妖怪どもを操り、殿の命を狙う不届き者がいるらしい」
「お前は、クノイチ最強の忍者として、4人を従え、城に出向いて、殿の命を守り抜き」
「殿に仇なす、敵の正体を突き止め、排除するのが今回の任務だ」
そこまで話すと、白菊は持っていた金の鐘を鳴らして大きな声で言葉を放つ。
「我が里最強の四天王出ませい!」
黒い影が村のあちこちから出てきて、高速でリンの後ろに並ぶ。
「来たか・・」
「魔性使い、栞」
「剣精 早乙女」
「暗器魔士 幻」
「不死人 躯」
現れた4人は独特の衣装を身に纏っている。
栞は紫の着物を着た一見遊び女のような姿
早乙女は比較的オーソドックスな侍のような袴を着ているが、その色はとても
派手な青い色で、肩に大きな青竜刀みたいなものを挿している。
幻は黒い頭まで覆うフード付きローブを着ている。
躯は血の色のような忍者スーツを着ているが、格好は一番まともなようだ。
四天王が集まると、リンを見つめて白菊が強い口調で言葉を投げかける。
「良いか、リン」
「お前はこの者達いや、クノイチ全体の代表だ」
「失敗は許されぬ」
「どんな事があっても、任務を成功させよ」
「分かったな・・・」
「はい・・・」
そう言い残すと、白菊は家の中へ去っていく。
リンは物思いに耽っていた。
(…頑張らないと・・・この任務終えて、早く勇者Aに会いたいな・・)
その頃勇者Aは・・・
タケシから衝撃の事実をなんとか聞きだすと、一時黙り込んだが
凛々しさを漂わす精悍な顔つきに変わると、リンを探し出し家に必ず連れて帰る事を
心に誓う。そしてシギトの携帯に電話すると、タケシとプルを必ず仕事に向かわせる事を
条件に休みを貰う。
「お前のかけがえの無い者を、必ず連れて帰ってこい」
シギトは勇者Aにそう一言投げかける。
「任せとけ・・!」
勇者はいつになく力強く答えた。




