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セラフィの実力!

 


   リャンは回想話を話し終えると、勇者A達に向かって更に主張した。


 「俺達はこの人との旅路でいろんなことを学んだ」


 「戦い方や相手に痛みを分からせない泥棒の仕方」


 「そして何より、俺達は自信がついたんだ・」


 「もう、どんな場所でも生きていける自信を、この人は俺達にくれたんだよ」


 「だから、お師匠様を苛めることは、絶対に許さない」


リャンの言葉にテルもピルも強く頷くと、セラフィを庇うかのように

前に立ち並び、フォークを勇者Aたちに構える。


 「ふー、確かにさ〜、お前達の気持ちも分からんでもないけど」


 「何か間違ってるぞ」


勇者Aは曲がったチビデビル達の正論めいたものに、斜め下から切り口をいれる。


 「確かに、お前達の境遇には、同情したいところもあるよ?」


 「でもさ、そのお師匠様の教えは、どうもキナ臭いよ」


 「なんだと!」


勇者Aの言葉に憤りを覚え、すごむチビデビル達。

それを気にもとめないで、話し続ける。


 「まぁ、聞け・俺もお前らみたいなのと年中戦ってちゃ」


 「疲れるんだよ」

 

 「話し戻すけどな、お前達のお師匠様は、お前達に確かに自信をつけさせたかもしれない」


 「けどな、お前らの自信となるものは、歪んでるんだよ」


 「泥棒の良い訳にしか俺には聞こえない」


 「第一全て相手に迷惑かけるのが、前提の理論なんか(かざ)されちゃ」


 「周辺住民は迷惑もいいところだ」


 「たぶん、今までも、その曲がった理論を持って、色んな悪事をやってきただろうな」


 「しかも、お前らにはその自覚がないときたもんだ」


 「この〜言わせておけば・・・」


体を怒りで小刻みに震わせながら、にじり寄るチビデビル達。


 「そうよ、貴方達間違ってるわ」


シルディが勇者Aに同調するかのように話しに分け入る。


 「プルププ(そうだ、お前らはおかしいよ!」


話しを全く聞いていなかったが、取り合えずシルディに味方するプル。


 「こりゃ、だめだ、一戦交えて、教育しなおすしかないな」


勇者Aはスラリと剣を抜くと、構える。

その様子を見て、セラフィがまた口を開いた。


 「お前達、暴力はまだ使っちゃいけないよ」


 「まだその前にできる事があるはず」


 「え・・・?」


 「さっきの話し良く思い出してみなさい」


 「・・・・・・」


 「あ・・そうか!?」


 「分かりました、師匠!」


 「分かってくれたか、ならやる事は分かるな」


身内で話しが纏まると、セラフィは立ち上がり剣を抜いた。

その姿をみて、タケシが汗をかきながら、身構える。


 「お、師匠もやっと、やる気でたみたいだな」


 「プル、シルディ、タケシ、えーっと・・一応ケル・!」


 「みんな油断するなよ!」


 「なんでおいらだけ、前に一応がつくんだよ・・」


戦力外を通知されて、微妙にやりきれないケル。

セラフィはレイピアを構えると、体にオーラを集中し始める。


(・・・な・・なんだ・・この異様な力の波動は・・)

タケシは少し怯えている。


 「何かおかしいわ・・この人只者じゃない・・」


 「プルププ(確かに・・すごいエネルギーを感じる・・)」


 「シルディ?どうした?」


一人だけ何にも感じていない勇者A


 「チビデビル達よ、覚悟はいいか」


 「はい!」


そうセラフィが一言呼びかけると、チビデビル達は足を力強く踏ん張った。


 「魔闘術、幻影呪縛!」


セラフィがレイピアで空中に、光の五芒星を描くと

その真ん中を後ろからレイピアで突付いた。

すると、五芒星のなかから、黒い煙が物凄い勢いで出たかと思うと

辺りを暗闇に変えてしまった。


 「なんだ、これは〜〜?」


 「あれは何?」


暗闇の中で視界が通り始めると、シルディが何かを見つける。


 「大きな蛇の化け物が襲ってくるわ・・」


 「うわ・・ほんとだ・・しかもいっぱい・・」


 「プルププ(おーい、後ろから骨ナイトの大群が・・)」


 「おいおい、上空からでっかい竜が俺達みてるぞ〜」


 「おいら、怖いよ・・」


 「キャアア・・ウワア・・」


慌てふためく勇者A達を前に、タケシは落ち着き払って、様子を窺っている。

そして声を張り上げて言葉を口にした。


 「これは、幻影だ、全て存在しないものだ」


 「俺達は幻相手に騒いでるだけだ・・」


黒い霧が晴れると、勇者A達はその意味がようやく分かる。

幻影は霧とともに、その姿を消していった。


 「なんだったんだ・・今のは?」


 「あれは奴の幻影魔法だ・」


 「なに・・・ああ!!」


 「あいつら・・いねぇ・・・」

 

 「逃げられたか・・糞〜」


 「今から追うか・・?」


勇者Aのその言葉にタケシが口を挟む。


 「それは止めた方がいい・・」


 「到底俺達のかなう相手じゃない・・」


 「そうね・・まともに戦ってれば私達、負けてたわ・・」


 「ええ・・」


(…魔界貴族セラフィ‥とんでもない使い手だ…)


タケシは逃げてくれた事に、心底ほっとしていた。




 





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