表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/24

出勤前の朝!

前の書き方につまらなさを感じましたので

ちょっと変えてみました。

こちらの方がやる気でそうなので、試しに書いて見ます。文字数が増えるので、

少し前より展開と更新が、遅れるかもしれません。

これまでの話は 悪者たちのぶつくさ2 色々編 と 悪者たちのぶつくさ3

に収録されています。

 太陽の光がアパートの窓を透して、部屋全体を照らすと

リンは瞼を震わせながら、目を徐々に開いていく。


 「は〜良くねたわ・・」


上半身を起こすと、右手で目を擦りながら、左手を口に当て生欠伸をした。

そして、勇者Aの寝ている横顔を優しい眼でそっと見つめる。


 (・・・・・良く寝てるわ)


 (・・・・・疲れているのね)


 「さーってと、朝ごはん用意しなきゃ・」



リンはそう言うと、布団をめくり起き上がると

ネグリジェを脱ぎ捨て、私服に着替え始める。


 白い花柄模様の服に、薄い青の膝丈まであるスカートに着替え終わると

エプロンを頭から掛ける。

そして、窓に近付き、カーテンの先を指先で軽く開くと外の様子を眺める。

眼下には日の光を浴びて、後方の荷台を覆う白い布が、まぶしく光る馬車が

目に飛び込んでくる。


 (・・・・プルちゃんに餌あげないとね)


 「あ・・そうだ・・・・ 」


昨日帰ってきたタケシの存在に気がつくと、リンは額をぽんと手で叩いた。


 (・・・タケシちゃんも、あの中にいるんだった)


 (・・・・タケシちゃんに岩も持っていってあげないとね・・)


 リンは薄いピンクのカーディガンを着ると、台所に足を運び

冷蔵庫を開くと、骨つきの鶏の肉を取り出した。

それを、予め用意している皿にのせ、台所の隅に置かれているお盆に載せた。


  「さてと・・次はタケシちゃんのも・・」


 昨日、散歩の途中で、近くの岩場でとってきた岩石が、玄関の布の袋に入った状態で

置かれている。

リンは鳥の肉を載せたお盆を、器用に左手に乗せると

玄関までやってきて、右手で岩の入った袋の先を絞るようにして持ち上げる。


  「重いわ・・」


  「ふー」

  

  「ガチャ」


 一度岩の入った袋を地面に置くと、ドアの鍵を回し、足で蹴ってドアを

大きく開ける。そして、右手にまた岩の袋を持つと、アパートの廊下を

ふらふらした足取りで歩いていき、階段を慎重に下りていく。

なんとか、馬車の前まで、バランスを保ちながらやって来ると

袋を置き、馬車の外から、プルたちに呼びかける。


  「プルちゃん〜、タケシちゃん、ご飯よ〜」


 その声を耳にすると、馬車に寝ているタケシが最初に反応した。

寝ている間タケシは、体を丸い岩に完全に代えて眠っている。

その岩から音を立てて右手が伸び始める。


  「ガガガガ」


  「ガガガガ」


 同じ調子で、順番に左手、右足と体がどんどん形成されていき

最後にまるで亀が頭を甲羅から出すように、頭が胴体から飛び出る。

目の光が怪しく赤く光ると、重い体を起こして立ち上がる。


  「リンさん、おはよ」


  「あ・タケシちゃん、おはよ〜」

 

  「ご飯持ってきたわよ!」


  「おお、ありがと!」


 タケシは馬車の後方にある、出口の布のチャックを開けると

ゆっくり右足から降りる。そしてリンの前に立つと、右手で頭の後方を摩りながら

朝ご飯を持ってきてれくれた、リンに感謝の言葉を伝えた。


  「ガラ、ガラ〜」


 その場に座り込み、タケシはリンに貰った岩を口に頬張ると

噛み砕いて内部に押し込んでいく。その行為の間に口から粉砕された岩が

音を立てて零れ落ちる。


  「うん、うまい!」


 リンはタケシの横にかがむと、タケシが美味しそうに食べるのを、

優しい笑みを浮かべながら見つめる。

  

  「さーってと、プルちゃんも起こさないとね」


  「プルちゃん〜起きて〜」


  「ぷるちゃん〜」


 リンが近所の迷惑にならない程度に、馬車の中へ声を透すが

一向に反応が帰ってこない。


  「俺が起こしましょうか?」


  「あ、お願いできる?」


  「任せてください!」


  「奴の起こし方はコツがいるんですよ」


 タケシはリンに微笑むと立ち上がり、後部から馬車に入っていった。

プルはゼリー状の体を平らにして、馬車の中で鼾をかきぐっすり、寝ている。


  「さーてっと・・・・」


  「起きろ!プル!」


  「・・・・・・」


  「コラ、起きろってば・・」


 タケシは少し声を張り上げ、足でプルの体を踏みにじりながら

起こそうとするが全く反応しない。


  「このやろう・・」


  「やるしかないか・・」


 タケシは眼を赤く光らせると、次の瞬間、人差し指から炎を軽くだすと

ゼリー状のプルの体に指先の炎を当てる。


  「ん・・・?なんだこの背中のやけるような熱さは・・」


  「うわ・・あちちち!」


 プルはあまりの熱さに、ピョンと飛び上がり

馬車の天井に頭を打った。その後も中でピョンピョン跳ね回っている。

タケシはそのプルの動きを見切ると、触覚を掴んだ。


  「こら・・プル」


  「お前、相変わらず、寝相悪いな・」


  「あんまり、リンさんに迷惑かけるなよな」


タケシが眼を赤く光らせ、プルに呆れた顔で、説教し始める。


  「てめぇ!やりやがったな!」


  「あん?俺とやる気か?」


  「久しぶりにやってやるよ!」


 プルがタケシに飛び掛ると、タケシもそれに応戦して

馬車の中で二人とも暴れまわる。

馬車の外側に張られてる布が、タケシの体の一部や

プルの体が接触するたびに、一定のリズムで盛り上がる。

それを見たリンは、二人がケンカしてるのを悟ると

大きな声で外から怒鳴りたてた。


  「やめなさいーーーー!!」


  「ケンカはだめー!」


  

 そのリンの大きな声に、タケシとプルは体をびくつかせると、ケンカをやめる。

さっきまでの白熱したバトルに終止符が打たれた。


  「もう〜、二人とも仲よくしてよ〜」


  「あ、勇者A起こさないと・・」


 リンは顔に苦笑を浮かべながら、左手の時計を見ると

勇者Aの出勤時間が迫っている事に気づく。


  「じゃ、私、勇者A起こしてくるから」


 そう言うとリンは、お盆を手にもち、アパートの自室へ

早足で帰っていった。


 リンは勇者Aを起こすと、テーブルに食事を並べ、二人とも席につくと

朝食を一緒に食べながら、朝の夫婦の会話を始めだす。

  

  「勇者A、今日は何時に帰ってくるの?」


  「さぁね〜・・仕事内容によるんじゃないかな」

  

  「会社勤めって大変だよね」


  「まぁな〜」


 シギトの事務所に勤めるまでは、自由な孤高のハンターとして

野に出て、プルと一緒に魔物を倒す事で生計を立てていた勇者A。

稼ぎは大したことは無かったが、狩りに行く時間、終わる時間

全て自分の意思で決める事ができた。

しかし、シギトの会社に勤める事で時間が制約されるため

今までのような、適当な時間感覚ではやっていけないのである。

その決められた時間形式に慣れるのに、勇者Aはまだまだ苦労しそうだ。


勇者Aはトーストを食べ終えると、手を合わせた。

  

  「ごちそうさまーー!」


  「じゃ〜、リンいってくるね」


  「うん、いってらっしゃーい!」


  「ちゅ」


 勇者Aが外出を告げると、リンは優しく言葉を返し

顔を近づける。後ろで両手を組み、軽く目を閉じると、少しカカトを浮かし

勇者Aの右頬に軽くキスをした。


 勇者Aは靴を履き、布のバッグを方からぶら下げると

玄関を出て、見送るリンに、振り返りながら右手を上げて微笑む。


 勇者Aは馬車までやってくると、馬車の席に飛び乗り、馬に繋がれている

皮で出来た紐を手に手繰ると、後方に体を捩り、馬車の中にいる

プルとタケシに声を掛けた。


 「ほら、いくぞ!」


 「プルププ(ヘイ!)」


 「ラジャ!」


 三人を乗せた馬車は、アパートの前の道を進んでいくと、右折し

村の大通りに出る。その土と砂利が混じる道をまっすぐに進むと

両側に木の柵がある出口が見えてきた。

馬車はその出口をあっという間に潜り抜けると

魔物たちがいる野に、風を伴い颯爽とくりだしていった。







  


多少強引な終り方ですが、これで終わりとなります。

今まで読んでいただいた皆様有難うございました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ