プロローグ
気付いたのは、高校生の時。
両親が事故で死んだ後、腫れ物を扱うように
学校で扱われ、毎日を無気力に過ごした。
そんなある時、偶々ケータイで見つけた空手家の試合動画を見た。
頂上対決ともいえるプロフェッショナルな試合であり、観客は固唾を飲んでみているように思えるが、僕は別の視点でみていた。
人間社会とは、弱肉強食であること。
父も母も「弱い」から死んだんだ。僕は「強く」なる。
そう決意した。
でも、僕は突然死んだ。
「ようこそ 古手川 龍くん」
美しいソプラノ調の声が脳にスーっと入ってきて、意識が覚醒した。
んん...目を開けると声のした方を見ると、ボブカットに、愛くるしいぱっちりとした目厚い唇
体はもやがかかっているが、それ自体が神秘的になっている。言わずもがな美人だ。
「あなたは...?」
父さん(天国)が言ってた。
綺麗な女性には声を掛けないと失礼だってね。(大嘘)
「あたしは...神よ!!(ドヤッ)」
美人さんは背中をのけぞりながら言った。
のけぞりすぎて、姿勢が逆におかしい。
「............は?」
「だから、あたしは神よ!!」
さっきと同じポーズで同じセリフである。
「いやいや、リピートしてほしいのではな
くて!
あんた美人やと思って油断してたけど、
頭大丈夫か!?」
なんだ、この人、残念美人か...
ってか、驚きすぎて、九州弁でたわ!
「.......」
あれ、急にだまったよ?
あ、なんか、プルプルしてるー。
「あんたねー!!!
キャラ作りしてたから、我慢してたけど
初対面で変人扱いするとかありえないで
しょ!!」
美人が怒っている。
なんか唾もとんできてるし。
「おい! 自称神!!
唾飛ばしてんじゃねえよ!!
おわまりさーーん!!!
この人です!!」
「あたしは、どこの指名手配犯よ!!
それに、誰が自称よ!!
これでも、あんたみたいなボーヤより、
長生きしてるのよ!!
わかったら敬いなさい!!」
「助けて!おまわりさーん!!」
この美人、ほんとにやばい。
ん?とゆーか、周りに誰もいないし。
いま気付いたが、辺り一面真っ白。
まさに、白一色の世界である。
「はあ。やっと分かった?
ここは私の絶対領域。
これで私の言葉も信用できるでしょ?」
うん。まだ、怪しい人だけどいっか。
「まあ。
で、なんで俺ここにいんの?
俺死んだと思うんだけど。」
自称神がこほんと咳払い
「あんた、もしも生き返るって言ったら
どうする?」
ああ。面倒な。