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カナリアード・ガルチェコ・カール
「お待たせしました」
底抜けに明るい声が街道脇の小さな出店に響く。
かなり全力で走ってきたのだろう、顔は赤く上気しており若干息も乱れている。
本人は隠しているつもりであるが背中に背負った【ガルチェコの斧】が身につけている革の鎧の金属部分に当たっている。
本人は一生懸命平常をよそおっているが当然、乱れる息・吹き出す汗・全て誤魔化せてはない。
(一生懸命隠しているし、そこに触れる必要はないかな)
キャラバン隊のメンバーもその事には触れる様子はない。
すでにこちらに向けられた警戒心は完全ではないが薄れたようで、こちらに背中をむけて先ほど¨カナリアード・ガルチェコ・カール¨から注文された〈アトニスの実〉を探している