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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

奇跡

作者: 水蛇よっち

キーワードにボーイズラブとありますが、そういった描写はほとんどでてきません。主人公である18歳の男の子のある一体験を書いた短いお話です。

僕はおかまだ。

山田恒男という、18歳のおかまだ。

しかし自分がおかまであるということは、隠さずにいるのだ。

僕自身、何故僕という男として生まれたのかがわからない。

それくらい、昔から自然におかまだった。

好きになった人も男ばかりで、普通のような、可愛い女の子、美人なお姉さんは憧れとして好きだった。

みんなは、僕を変な目で見る。つまりイジメられた。

だけど平気だった。

僕は僕に自信があったからだ。

外見は悪くない。どころかかなりかっこいい。

頭も優秀だ。スポーツも料理もできる。

こんな僕だが、

やはりおかまだ。



そして最近、おかまの僕は恋をした。

同じ学年にいた藤原聖という男だ。

どうしよう。

いつもと少し違っているのがわかる。

ちなみにいつもは、普通に友達、という感じでちょっと邪な幸せを感じる程度に恋をしていたのだが。

今回は・・・

彼という人の全てに異常なくらいの興味を感じてしまう。

彼の声、目、表情、指先、背中、足、服、靴・・・

全部、全部・・・!

これはちょっと邪を通り越している。

変態という人達の気持ちが少し分かってしまう。

そして僕は日々変化しているのだ!

なんという素敵な時間・・・甘い感動!

僕は性を超越することの意味を知ったのかもしれないのだ。

彼が横を通る・・・すれ違う瞬間のひどくしめつけられる心臓とか、

何も知らない彼が、横に座り込んで居眠りをしている時の甘い優越感とか、

ほら、もう毎日がとても甘い。愛しいとか恋しいとか、苦しいくらいに素敵なのだ。

僕はもうすっかり彼に、藤原聖に入れ込んでしまって、以前よりずっとおかまな性格にも磨きがかかったみたいだ。

顔もりりしい青年の顔から、中性的な少年の美しさにかえっていくようだ。

そしていよいよ仕草は艶を持つ。

もう僕は歌舞伎の女形よりも色気があるに違いなかった。

そしてそんなある日、僕を前にしてかの藤原聖は告白した。


「俺のこと・・・どう思う? 俺はおまえのこと、好きなんだけど」


僕の頭の中は真っ白になって、心の中も真っ白になって、そして僕から、甘さも消えた・・・。



だってほら。

よく言うじゃないか・・・

絶対だめだって思ってることがうまくいくと、急に情熱は冷めてしまうんだ。

僕の中の情熱。藤原聖。

僕の大切な、大切な夢の人。

夢って叶うと途端に夢じゃなくなるね。

きっとそれと同じに。

現実の中で、情熱は冷めてしまったんだ。

さようなら、僕の情熱。

僕の夢。

そして、起こってしまった奇跡。

現実の僕に、

束の間の甘い日々を・・・

ありがとう。

また、学生時代のノートから書き出しました。

これを書いていた頃は何を考えていたのだろうかと思います。ちょっとやさぐれていたのかもしれません。でも、なんとなくいまだに自分では気に入っているお話のひとつです。

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして。 夢や理想から冷める感じをよく書けていていいと思いました。 ただ、主人公をオカマ設定にしたのには、何か分けがあるのでしょうか? 少し気になりました。 これからも執筆頑張って…
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