5/14
第伍話「二度現れた死神」
中学二年の女子――ある日の夕方の出来事。
少女向け占い雑誌の綴じ込み付録は、タロットカードだった。
二十二枚の大アルカナを鋏で切り取り、
日没間近にもかかわらずホロスコープ法で展開していく。
伏せたカードをめくるたび、薄紫の布の上に絵柄が現れる。
そして、夕方の位置に――
――死神?!
宵闇の衣をまとった骸骨の眼窩が、何かを告げるように見えた。
少女は慌ててカードを伏せ、まとめてシャッフルする。
それでも、なぜかまた時計の位置にカードを置いてしまう。
やめよう。やめたほうがいい――
心のどこかで声がしているのに、手は止まらなかった。
夕方の位置をめくった。――死神?!
慌てて雑誌の解説を開く。そこに書かれていた意味は――身内の死。
その瞬間、リビングの電話が鳴り響いた。
留守番をしていた少女は早足で受話器を取る。
伝えられたのは――親戚の家の全焼、そして従姉の死。
無数の針の筵に座らされたような時間。
ひたすら沈黙して家族の帰宅を待つ
その夕暮れ時は、いまも忘れられない。〈了〉
【推敲】ChatGPT Plusノアさん【挿絵生成】透星さん