転生
「ここは…?」
透は目を覚ますと、白い空間の中に立っていた。
足元は雲のようにふわふわしており、空気は柔らかく温かい。
まるで夢のようだ。
そして、目の前に立つのは 白いローブを纏った男。
長く銀色の髪が光を受けて揺れ、瞳は深く青く、こちらを見透かすように見ていた。
「君は…死後、この世界へ導かれた者だ」
男の声は柔らかいが、全身に響く重みがある。
「え、俺…死んだのか?」
思わず口をついて出る。
「トラックに轢かれて事故死………とあるね」
事故死____。そのとき透の頭に、こちらに向かってくるトラックがフラッシュバックした。
「そうだ___俺、あの時死んで……………い、生き返ることはできないんですか?」
「無理ですね。あなたには地球とは別の世界に転生し、魔王を倒してもらうという大きな役割を持つので」
俺は目を見開いた。ただの会社員だった俺が、魔王を倒す………?
男は少し微笑んだ後、手を差し出す。
「まず、君に力を授けよう」
その手から淡い光が溢れ、俺を包む。
全身に電流が走るような感覚。手のひらに触れた光は、温かく、重く、そして確実に俺の中に流れ込んだ。
「君には全属性魔法を与える」
男の言葉が、頭に直接響くように入ってくる。
「炎、氷、雷、水、風、土、光、闇――全ての魔法を自在に使える」
「魔法……?手から火を出すとか?」
「そうだ。試してごらん。」
俺は目をつむり、火を思い描く。そして半信半疑で手を振ると、指先から炎の球が飛び出した。
炎はゆっくり回転しながら弾丸のように消え、思わず俺は口を開いた。
「うわ、マジだ…」
「だが、力を与えただけでは意味がない」
男は腕を組み、説明を続ける。
「魔法は攻撃だけではなく、防御、移動、探索、戦術にも応用できる。工夫次第で無限の可能性が出てくる」
胸が高鳴っていくのを感じる。
「つまり、魔法をどう使うかで戦局は大きく変わる」
男は俺の目を見据え、静かに言った。
「力は万能ではない。君の勘と判断力が、勝敗を左右するのだ」
俺は拳を握る。
「なるほど…力だけじゃダメなんだな」
「そうだ」
男は頷く。
「力は道具に過ぎない。使いこなせば世界を救う、使いこなせなければ破滅を招く」
男は手をかざし、目の前で実演した。
炎の槍が飛び、氷の壁が現れ、雷が地面を走る。
そして風が炎の槍を加速させ、土の地形を操って敵を閉じ込める____
「これが君の力だ」
俺は目を見張った。
「……やべ、面白すぎる!」
男は少し笑って言った。
「楽しむのは良い。しかし、楽しさだけに頼るな。力の意味を考え、未来を見据えよ」
「わかった」
俺は深呼吸し、拳を握った。
「全部使いこなしてやる」
男は微笑み、段々目の前が白くなっていく。
「………頑張りなさい」
そして光が弾けると____もう見知らぬ都市の広場に立っていた。
「……よし!異世界ライフ、頑張るぞ!」
透は拳を高く突き上げた。




