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♡-11:過去からの波音

 湘南の陽光が降り注ぐ「Cafe Soleil」にユウタとアヤはいた。


 それは、「Cafe Soleil」のオーナーのミサキさんに結婚報告をするためだった。


 ミサキは、二人を見て目を細め、温かい笑みを浮かべた。


「おめでとう、ユウタさん、アヤさん。本当に嬉しいわ」


 ミサキの言葉には、心からの祝福が込められていた。


 ユウタとアヤは、ミサキの笑顔を見て、安堵の表情を浮かべた。


「ありがとうございます、ミサキさん」


 二人は、ミサキの手を取り、感謝の気持ちを伝えた。


 ミサキは、過去に愛した人との思い出が詰まったこのカフェで、新たな愛が育まれていることに、深い感慨を覚えた。


 ユウタの音楽活動は順調で、彼の歌は多くの人々の心に響き、励ましていた。


 アヤもまた、カメラマンとして活躍し、世界各地で写真展を開催するなど、着実に夢を叶えていた。


 二人は、互いの夢を応援し合い、愛を育みながら、結婚に向けて準備を進めていた。


 そんなある日、カフェに一人の男性が現れた。


 その男性は、アヤの元婚約者、リョウだった。


 リョウは、アヤの姿を見つけると、ためらいがちに声をかけた。


「アヤ…久しぶり」


 アヤは、突然のリョウの出現に驚き、言葉を失った。


 ユウタもまた、リョウの姿を見て、胸騒ぎを覚えた。


 リョウは、アヤに謝罪し、やり直したいと懇願した。


「あの時は、本当にごめん。僕は、君を失って初めて、君の大切さに気づいたんだ。もう一度、やり直せないだろうか」


 リョウの言葉に、アヤは動揺した。


 ユウタは、アヤの心が揺れているのを感じ取った。


「アヤ、どうするんだい?」


 ユウタは、アヤの気持ちを尊重しようと、優しく尋ねた。


 アヤは、複雑な表情でユウタを見つめた。


「ユウタさん、ごめんなさい。もう少しだけ、時間をください」


 アヤは、リョウと話すために、カフェを出て行った。


 ユウタは、二人の後ろ姿を見送りながら、不安な気持ちでいっぱいになった。


 ユウタの脳裏には、過去の辛い記憶が蘇っていた。


 ユウタは、かつてユイという女性を深く愛していたが、彼女との関係は、ユイが元婚約者との復縁を選んだことで終わりを迎えていた。


 ユイを失った時の悲しみ、そして、再び愛する人を見つけられるのかという不安。


 リョウの出現は、ユウタの中に眠っていた過去のトラウマを呼び覚ました。


 アヤは、リョウと海辺を歩きながら、過去を振り返っていた。


 リョウとの楽しかった日々、そして、彼に裏切られた時の悲しみ。


 アヤの心は、まるで嵐に翻弄される小舟のように激しく揺れ動いていた。


 リョウの言葉は、アヤの心に小さな灯をともした。


 しかし、ユウタへの愛は、その灯を消すことなく、むしろより強く輝かせていた。


 アヤは、リョウとの思い出の場所を巡り、彼との楽しかった日々を振り返りながらも、ユウタとの未来を思い描いていた。


 そして、ユウタが自分をどれほど大切に思ってくれているかを、改めて実感した。


 リョウは、アヤに自分の変わろうとする決意を語り、もう一度チャンスが欲しいと訴えた。


 リョウは、アヤとの別れを深く後悔し、自分自身を責め続けていた。


 仕事に打ち込み、成功を収めたのも、ボランティア活動に積極的に参加したのも、全てはアヤに認めてもらいたい一心だった。


 そして今、リョウは、生まれ変わった自分を見せることで、アヤの心をもう一度掴みたいと願っていた。


 ユウタは、カフェに戻り、一人コーヒーを飲みながら、アヤの帰りを待っていた。


 彼の心は、不安と期待で揺れ動いていた。


 そんなユウタに、ミサキは優しく声をかけた。


「ユウタさん、大丈夫よ。アヤさんは、きっと戻ってくるわ」


 ミサキは、かつて愛した人を病気で亡くした経験から、愛する人を信じることの大切さを知っていた。


「ミサキさん…」


 ユウタは、ミサキの言葉に励まされ、アヤを信じる気持ちを新たにした。


 アヤは、リョウとの別れ際、彼に伝えた。


「リョウさん、ごめんなさい。私は、もう前に進んでいます。ユウタさんのことを愛しています」


 リョウは、アヤの言葉を受け止め、静かに頷いた。


「アヤ、君の幸せを心から願っているよ。ユウタ君、アヤを頼んだよ」


 リョウは、アヤへの未練を断ち切り、彼女の幸せを願う決意をした。


 アヤは、涙を流しながらリョウに別れを告げ、カフェへと戻った。


 ユウタは、アヤの姿を見ると、安堵の表情を浮かべた。


「アヤ…」


 ユウタは、アヤを抱きしめ、優しく彼女の涙を拭った。


「ユウタさん、ごめんなさい。心配かけてしまって…」


 アヤは、ユウタの胸に顔をうずめ、声を震わせた。


「大丈夫だよ、アヤ。君の気持ちは、僕にはわかるから」


 ユウタは、アヤの髪を優しく撫でながら、そう言った。


 二人は、互いの愛を再確認し、固く抱き合った。


 それは、過去からの波を乗り越え、未来へと進む二人の決意の抱擁だった。


 ミサキは、そんな二人を見て、心の中で呟いた。


「どうか、二人とも末永くお幸せに」


 ミサキは、かつて愛した人のことを思い出していた。


 彼は、いつもミサキの夢を応援してくれていた。


 二人は、いつか一緒に海が見えるカフェを開くことを夢見ていたが、彼は病気で帰らぬ人となってしまった。


 ミサキは、彼の夢を引き継ぎ、「Cafe Soleil」をオープンさせた。


 そして今、この場所で、新たな愛が育まれていることに、心から喜びを感じていた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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