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リィンの日記:霧刻暦3575年4月18日

 読みに来てくださり、ありがとうございます!


 暫く書き止まっていた日記を今日からまた、書いていこうと思う。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 やっと今日、目的の地――《遺跡都市セーレム》へと到着することが出来た。

 住み馴れた故郷の地を離れて約一週間――。

 旅慣れないながらも何とかネーヴェと《セーレム》へと辿り着くことが出来たものの、センセーの奴め。通行証の事、何も言いやがらなかったから大変だったじゃないか。

 この地へ来るほんの少し前にノエマさんと言う女性に遭っていなければ、多分だけど入国するのは難しかったと思う。

 まぁオレ、寝ていただけなんだけどね。

 だって、箱の中(正確には箱と箱の中の二重底の間だけど)に入って延々と数時間、待たされていたら眠たくもなるでしょ。

 ちょっと窮屈で、箱の中蹴って音出したの悪かったと思うけど……。

 でも、だからと言って箱から出て直ぐ正座と圧の強い視線の攻撃はやめて欲しかった。

 何て言うか、色々と痛かった。物理的にも、精神的にも――。

 オレが悪かったし、反省もちゃんとしているけど……つらかった。本当に。

 それにしても、あの得体の知れない存在は結局、何だったのか――。

 攻撃手段が酷く切れ味の鋭い糸と刺突威力の高い針だというのは判ったけれど、何分その糸と針の攻撃が透明なのと、本体に関しては姿を一度も視認出来なかったのが何だかモヤモヤとした。

 隆起した崖から落ちた時、おネエさんを追って来た奴を燃やしはしたけど、結局あの得体の知れない存在は何匹いたのかも分からないまま――。

 今後も用心するに越したことはないだろう(要注意!!)。

 ……しかし得体の知れない存在のことも考えなきゃだけど、おネエさんのことだ。

 本当にぎりぎりだった。

 ネーヴェに心配を掛けたのは凄く悪かったと思っているけれどあの時、ネーヴェ達に行く理由を話してから捜しに行っていたらきっと、彼女を助けることは出来なかっただろう。

 本当にそれ程ぎりぎりのことだったから。

 そう言えば少しだけ。ほんの少しだけ、困ったことがあった。

 《セーレム》の都市内に着いてから暫く、おネエさんが泣いていたこと。

 理由はよく分からないままだったけれど、泣き止む頃は笑ってくれたから良かった。誰かが泣くのを、悲しむのを見るのは酷く、苦手だから――。

 その後ネーヴェ達と再会してカフェへ着く頃には、おネエさんは落ち着いている様にみえたから安心した。安心したけれど、カフェ(あそこ)はオレにとって地獄の地であった。

 二人と再会して直ぐ、ネーヴェが酷く静かな怒りを放ってきていたけれど、カフェでは更に酷かった。

 ネーヴェではなく、主にノエマさんが。

 心配を掛けて反省の為正座で座るオレがお腹を空かしている中あの人、オレのお小遣いで優雅にティータイムを楽しみ始めたのだ。

 しかもしっとり焼き上げられたベイクドショコラ(クリーム付き)と、フルーツがふんだんに乗ったパフェに紅茶まで――。

 ホント何あれ、オレが食べたかったよ。

 カフェ(あそこ)は本当に地獄だった。ネーヴェからはおやつ三日間抜き宣言をされてしまったし……。

 ……駄目だ。

 今、書きながら思い出しても憂鬱になる。

 三日。

 三日……、か。

 こっそり買い食い――いや、駄目だ。ネーヴェにはバレる。

 即、バレてしまう。

 買いに行こうと行動したその時点で……。

 三日間、我慢しないと……。

 気を取り直して、カフェでは少し強引におネエさんが命を狙われただろうと思われる理由を聞いた。

 恐らくあの話の流れ的に彼女の“お兄さん”が関係しているのはまず、間違いないだろう。

 それにしても一体、彼女のお兄さんは何をしたのだろう?

 今後の行動方針としてはもう一度、彼女のお兄さんについて《セーレム》での痕跡を見つけないと――、とそういったところだろうか。

 まぁその前に、明日は《セーレム》の西区画の探索も兼ねたおネエさんの気分転換のお出かけだ。

 センセーから渡されていた手紙の場所にも行かないとだけど何より明日、出掛けて少しでも彼女の気持ちが晴れるよう楽しい一日にしたい。――したいのだけれども明日、おネエさんが来てくれるか心配である。

 ネーヴェにはらしくない、強引におネエさんから話を聞き出させるような真似をさせてしまったし、出かけてくれるかはおネエさんの気持ち次第だから。

 おネエさんが明日、一緒に出かけてくれるか気になるところだけれども流石に、これ以上は無理強い出来ない。

 今日はもう寝て、明日の朝を待とう。







 お読みいただき、ありがとうございました!

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