カオス初体験
「はじめましてーっ、君がヤキマヴァレーくんだよね?髪が紺色なんだね!!魔力量多そーッ!!嬉しいなーっ!!将来は魔道士にならない?あっ、でも騎士一家だもんねー、やっぱり将来は騎士かな?そう言えばこの前騎士のリーシェルドって子がねー、あっ、僕の弟なんだけどさぁー、ペット飼いたいって言い始めてー、いいよーって言ったんだけど、僕が捕まえて帰ってきたネンテが気持ち悪いからヤダーって断られちゃってー」
1人でキャピキャピ言い始めた若い成年男性。挨拶する機会を失い、呆然と立ち尽くす俺…。その部屋は混沌を極めた。
「それでね、俺がリーシェに言ってあげたの(以下略)。あっ!授業だよねーっ!僕ってばうっかりサン☆この前もーっ(以下略)。
いっけなーいっ、また忘れちゃうとこだった!!それじゃっ授業始めまーす」
結局、 授業が始まるまで一刻掛かった。
さりげなーく椅子に座り、彼の話をBGMに、脳内で羊が4000匹こえそうなくらいには暇だった。そう、ものすごく暇だった。
俺がこの一刻で得たのは、リーシェルドという弟さんの事が大好きだという情報のみである。
パッと見、眼鏡と黒っぽい髪色からおとなしい印象を受けるこの教師。すんごい喋る。
「えーっとー、最初に魔力の説明をしまーっす。魔力っていうのはこの世の全員が持っててねー、あっ、リーシェルドももちろん持ってるよ!!あの子は…(以下略)」
えー、デズモンド先生が言うには
魔力とは王族から平民まで全員が所有するよ!
でもでも魔力量により使える魔法が限られてくるんだ!
髪の色が黒、原色に近いほど魔力量は多いよ!
だそうである。俺の髪色は母に似て青系統だが紺色なので魔力量が多いと予想される。らしい。
「今日はヤキマヴァレーくんの魔力量と魔法適正を見ていきまーす。それによってこの後の授業とか変わってくるからー。じゃあちょぅっと待っててねっ!」
そう言ってデズモンド先生はスパンコールが全面についたぎらぎらのポシェットから球体のものを取り出した。
「これを持って頭の上に掲げて、そう、いい感じ。もうちょい高くてもいいよー。うん、それぐらいで。」