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もふもふ

 エルとハンナの襲撃から数日が経った。

 あの時のことをレモリーに話したら、「なるほど、今の魔王様が苦戦するほどの子どもたちですか…」なんて言って、一人で何かを考え込んでいた。

 彼らのせいでダンジョンにいた魔物は全滅してしまったが、毎日コツコツ魔物を召喚し続け、今はなんとか侵入者を迎え入れられるくらいにはなったはずだ。


 前回の襲撃を受けて、俺はダンジョンに設置する罠を見直した。

 侵入者がある地点を通ると矢が飛んでいくという罠を現在は採用している。

 その罠に必要な矢や仕掛けは、ゴブリンとコボルトに作らせている。

 ゴブリンやコボルトは戦闘能力こそ低いものの、案外器用だった。

 この分だと、強い魔物を召喚できるようになったら、ダンジョンの工兵部隊としてもいいかもしれない。

 ちなみにこのダンジョンに侵入してきたゴブリンたちは、剣や弓に必要な素材不足で粗末な装備になっていたらしい。


 そんな感じで毎日ダンジョン製作に勤しむ俺だが、今日も今日とて魔物を召喚していた。

 召喚した魔物たちは野生の魔物と違って、感情の起伏が小さい。

 洗練された軍隊のように黙って上官(俺)の指示に従い、ダンジョン内の持ち場につく…というのがダンジョンのルールのはずだった。

 そのことを踏まえて、目の前に召喚した魔物のことを見る。


「クゥ~ン」


 コボルトだ。

 白く豊かな胸毛をふさふさと生やし、シェパードのように知性あふれる顔つきをしたこのコボルトは、仰向けに寝転んで服従の意を示している。


「…なんだコイツは?」


 俺は召喚したコボルトの扱いに頭を悩ませる。

 こんなふうに、自らの意志を示す魔物は初めてだった。

 とりあえず近くにいたレモリーに意見を求める。


「なあ、コイツはどうす…ればいいと思う?」


 心なしか血走ったような目でコボルトを見つめる彼女の姿が目に入り、ドン引きして言葉に詰まりかけたが、なんとか最後まで言いきった。


「え…?あ…ああ、そうですね。従順で知性もありそうですし、魔王様のお側に仕えさせてみてはいかがですか?」


 なるほど、それはありかもしれない。

 だが、今ダンジョンの戦力を削るほどの余裕はあるのだろうか?

 レモリーの方を向きながら悩んでいると、何故か彼女は焦ったように喋り始めた。


「い、いや、違うんですよ魔王様!別に私利私欲のためにこんな提案をしたわけではなく…そうです!あのコボルトの器用さは、必ずや魔王様のお力になるはずです。例えば、新しい罠を思いついた際、まずは試作品を作る必要がありますよね?ダンジョン内から手の空いた者を探すのはそれなりの手間、そこでこのコボルトに試作を任せればよいのです!他にも、このダンジョンを快適に過ごすための家具を作らせたり、将来的に必要になりそうな工具などを作らせたりするなど、コボルトに任せられる仕事は多岐にわたります。これからダンジョンを拡大するに当たって、自由に動かせる魔物は何体か必要かと。だからこのコボルトをモフモフしたいとか、愛くるしい瞳に心を奪われたとか、このモフモフを抱いて寝たら気持ちいいだろうなとか、あわよくば吸いたいとか、決してそういうことではなくて…」


 何かを弁明するように早口で話しているレモリーのことはさておき、手先の器用なコボルトを俺の近くに置くこと自体は賛成だ。


「クゥ~ン…」


 俺に捨てられた子犬のような視線を向けて弱々しく鳴くコボルト。


「…っ!魔王様!」


 それを見て懇願するように叫ぶレモリー。

 …よっぽど犬が好きなのだろうか。


 ダンジョンの戦力が手薄になることも考えたが、まあ1体くらいならなんとかなるだろう。


「よし、じゃあ今からお前は雑用係だ!しっかり働いてもらうからな。」


「ワフッ!ワンッ!」


 俺の言葉に、コボルトはおすわりの姿勢になって、尻尾をブンブンと振り回しながら嬉しそうに答えた。


「一応他の奴らと区別するために、名前が必要か…じゃあフィンで。」


 そう言ってコボルトの頭を撫でる。


「ワウ〜ン」


 嬉しそうにしているあたり、この名前を気に入ったのだろう。

 フィンがこちらに体を寄せてくるのでさらに撫でる。

 しかしフィンの触り心地は素晴らしいな。

 このモフモフとした美しい毛並みは、綿あめのようにフワフワとしていて気持ちいい。

 目の前にいると、ついつい触ってしまいたくなるような誘引力があった。


「魔王様、私もよろしいですか?」


 よっぽどフィンを触りたいのか、珍しくレモリーからのおねだりがあった。

 彼女の言葉に俺は頷く。

 彼女がフィンを撫でようと手を伸ばしたその時、フィンは立ち上がってスッと俺の後ろに隠れてしまった。


「え…?あ…ああ…」


 悲しみのあまり、この世に絶望したかのような顔をして固まるレモリー。

 …かける言葉が見つからない。


「ワンッ!」


 そんなことはお構いなしに、スリスリと俺に体を擦り付けてきた。

 …これはどう収拾をつければいいのだろうか?


 それはさておき、こうして俺はなんとも可愛い愛玩魔物、もとい雑用係をゲットしたのだった。

わんおわんお!(∪^ω^)


モフモフ成分を欲しいがために、欲望の赴くまま構想外の愛玩魔物を作ってしまった(∪^ω^)

後悔はしている(U‘・ω・')

反省はしていない(∪^ω^)

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