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6話 俺VS神の始まり

「と、いう訳でいくつか対策を考えてみたよ。とりあえずこれをつけてみてくれないかな?」


大司教様は魔法の属性と同じ色の宝石が埋め込まれた6つの指輪を差し出す。


「青赤緑黄の指輪を右手に、白と黒の指輪を左手に装着して。はめる指はどこでも良いよ。」


言われた通りに指輪をつけてみる。

すると、急に体が軽くなったような錯覚に陥る。なんだかむずむずする感じだ。


「今、指輪の力で全ての魔力を抑えた。」


「抑える?引き出すんじゃなくて?」


大司教様は静かに頷く。


「そう、厳密にはちょっと違うけどこれまでの君はわかりやすく言うなら強すぎる魔力が互いの力を打ち消しあっていた状態だったんだ。それを一度その指輪で全て打ち消した。じゃあまず青の指輪を外してみてくれ。」


言われた通りに青色の指輪を外す。


すると突然、自分が海の中に漂っているような感覚がした。

ざざん、という海の音が聞こえ、塩の匂いが鼻の奥を駆け巡る。

口の中に塩味が広がって、息ができなくなった気がした俺はつい目を瞑り口を抑える。


「「ジョン!!」くん!!」


誰かの声が聞こえた気がしたが息苦しさに俺は意識を保つことができなくなって、

そのまま途絶えた。


「指輪をつけて!」


「意識はないけど呼吸は安定してきているわ。」


「私だけでは足りないかもしれない、白魔法を使える人をできるだけ集めてくれ。」


「ベッドの用意完了しました!」

「我も助力しよう。」















「ここは何処だ。」

いつの間にか知らない場所に来ていた。いや、違う。俺はここを、この異常なほど真っ白な光に包まれた場所をよく知っている。きっともうすぐしゃがれた老人の声が聞こえてくるはずだ。


「やった!11年待ち望んだ瞬間がついに来たぞい!!!」


ほらな?

というかなんでこの神はこんなにもハイテンションなんだよ。俺が今までどれだけ苦労したと思ってんだ。


「いやぁあの後考えたらワシ追放からのざまあ展開とかみたいなっておもってのう。じゃあ体だけ普通の人間にして他の人からはわからないようにしようと思ったのじゃ。」


はぁぁぁ???なにそれ俺が村から迫害されたり追放されたのは全部こいつが仕組んでたってことかよ。

それでざまぁって何、言葉通りの意味?全然なってねえよ。

俺は誰にざまあみろって言えば良いんだ?実家か?できればあんなところ2度と帰りたくないが。

やばい、実家のこと思い出したらなんか涙出てきたつら。


「じゃが大丈夫!お主はついに魔力を扱える段階まで来た。ここからはその力を思う存分行使して地位名誉女その全てを……って泣いておるのか?わ、悪い。そうじゃよなワシの我儘で苦しみを味わった事実は変えられぬ。すまなかった。」


神は焦りながら謝ってきた。ははん、これがざまあってやつかまあちょっとだけスッキリしたかな。


「これからはワシからはそなたに苦しみを与えはせぬ。約束しよう。

ワシは元々チートで敵を倒しまくって偉い人たちに一目置かれてハーレムを築くタイプの異世界モノ作品が好きなのじゃ。凡太郎にもこれからはそのような人生を送ってほしいと心の底から思っておる。」



うんうんと自分の言葉に酔いしれる老人。

結局自分の好きな展開が見たいだけじゃねえか!

もうこいつを神様と呼ぶのも嫌になってきた。

地位も名誉もいらない。別に女の子にチヤホヤされたいとも思ってない……いや、それはされたいけどハーレムってあの海外の金持ちでたまに見かけるやつだろ?いやあ別にそういうのは求めてないんだよな。


「気持ちはありがたいけど俺は普通の人生を送ってそこそこ長生きできれば十分なんだ。お願いだから変な干渉はしないで欲しい。」


「嫌じゃ。」


い や じ ゃ ????


「やだやだワシ折角11年も待ったのに!ここからが爽快なところなのに!!人生は山と谷があってこそ!普通の人生なんでつまらない展開絶対嫌じゃ!!」


そうか、こいつは神なんだ。俺たちと対等に会話しているように見えてもその目線は同じ位置にない。人間を自分の娯楽のための駒だとしか考えていない。


馬鹿にするなよ。手違いで殺されて、次の人生の道筋すら勝手に決められる。そんなことあってたまるか。決めた、俺は絶対に普通に生きてやる。それで大往生したのちにまたここに来て1発殴ったらあいつに言ってやるんだ


ざまあみろって。



でも今はそれを悟られるわけにはいかないから受け入れたふりをしておこう。

「はいはいわかったよ。で、おれはもう戻っていいの?」


「わかってくれたか!そうじゃなもうすぐに目覚められるだろう。ふふ、楽しみにしておるぞ。」


また定期的に連絡するからのう!と、言いながら老人の顔が薄れてゆく、ここからが戦いの始まりだ。次こそ俺は絶対に自分の生きたい人生を送ってみせる。

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