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5話 俺の魔力は最高ランクでした、が。

「つ、ついた!今何番だろ。」


走りまくってぜえぜえとな鳴る喉を落ち着けながら、あたりを見回す。

俺の番号は700番で今は554番まで呼ばれてるのか。

「間に合ったな。」


「うん、本当によかったよ。」


大聖堂ではみんなが長椅子に座っており、

整理券の番号で呼ばれた人が中央の祭壇にある水盤に手を浸す事時に発生する光の色で魔力の質や量を検査することができる。

光の色は記憶が正しければ赤青緑黄白黒に分かれている。

けれど光った色しか使えないと言うわけではなく、あくまで最も長けている、または伸び代のある力がわかると言う仕組みだ。


「555番!」

「はい!」


堂々とした貴族のお坊ちゃんらしき子供がずかずかと歩いて行きそして水盆に手を入れる。

その瞬間、眩い緑の光が聖堂全体を照らした。


「なんと素晴らしい!」


「貴方は非常に強い風属性の持ち主でございます。風属性に最も長けた聖エメラルディアのお膝元たるこの教会でこのような力を見る事になるとは。」


「200年に一度の逸材だわ。」


司祭とシスター達が口々に少年を褒め称え、待機中の大人達もわっと喜びの声をあげる。

少年は当然だと言うように祭壇から降りるとあっという間に他の子供達に囲まれていた。


「あのさ、テオ。」


「なんだ。」


「魔法の属性って具体的にどう分けられるんだっけ?」


「いくら魔力無しと判定されたとはいえ……まわりの人間に教わらなかったのか?」


「うちの家族はそんなに優しくないよ。なんとなくあの色は風かなーとかがわかるくらいだな。」


「ふむ、ならば簡単に説明しよう。」


テオの説明をさらに簡単にまとめるとこうだ。


青、水魔法。水を操り水中で呼吸したりできる。強くなればなるほど自分で生み出せる水の量が多くなる。

調節すれば氷も生成できるらしい。


赤、炎魔法。火を操る。消防士とか料理人とかに多いそうだ。見た目も派手で攻撃に向いているから戦士を目指す人はみんな炎属性がいいって考えているんだって。


黄、雷魔法。なんかビリビリしている。テオが魔道具の詳しい説明をしていたけど全くわからなかった。

黄色の魔力の子は幼少期から静電気みたいなびりっとすることが多かったり力の強い子の周りでは良く雷を呼び寄せてしまうらしいから検査するまでもなくわかるらしい。


緑、風魔法。風を読み、操る。箒レースの出場者の多くは緑色の魔力らしい。力が強くなれば竜巻も起こせるのだとか。


白と黒の光を発生させる人は殆ど存在しない。魔法というよりは妖精や悪魔とかの特別な上位存在が持つ特殊能力に分類されるらしく、

適正以前にその力を使える人自体そう多くない。

白の生命魔法と黒の破壊魔法を扱える人はどこかの世代で上位存在の血が混ざっているという事になるらしい。



「700番!」


「はい!」


テオ先生の魔法講義を聴いているうちにあっという間に俺の番が来た。


「ねえ、これって普通にやって良いの?」


「問題ない。そもそも水盆は貴重な魔道具故に精度が高いものは村などには持ち込まれないのうになっているのだ。だがここは世界有数の大都市、水盆の精度もお前が以前使ったものとは全く違う。」


「うわぁそれって田舎の人間は不利なんじゃん」


この世の理不尽を痛感しながらも俺はそっと手を沈める。


すると、やや間があった後急にあたり一面が6色に輝き始めた。

あまりの眩しさにぎゅっと目を瞑る。脳裏に幼馴染のやっぱゲーミングカラー最高!と言う言葉が思い起こされる。

そういやお前のPCめっちゃカラフルに輝いてたな!


「なななんじゃこりゃあ!」


「司祭!これはどういうことですか。」


「ぜんっぜんわからん。」


司祭がさっきと違って完全に語彙力を失っている。


「早よ手を離さんか」


腕に肉球の感触がした瞬間我に帰った俺は急いで手を引っこ抜いた。


後ろを振り返ると待機している親子達が顎が外れそうなほど口ををあんぐりとあけて静止している。


「あ、はは。」


大注目されて恥ずかしくなってきた俺は頭を掻きながらささっと出口の方へ退場しようとする。


「貴方はこっちでーす。」


「大人しくついてきてくださいね。」


しかし、俺の小さい体は2人のシスターにがっちりと抱え込まれあっという間に別室へと連れて行かれてしまった。



「帰りたい……いや帰るところなんてないんですけどね。」


「しっかりしろ、これが当初の目的だろうが。」


猫と少年の微笑ましい会話にシスター達は微笑んでいる。

可愛ければなんでも良い女子達にとって猫が喋るなんてことは些細な問題だ。


「すまない、待たせたかな。」


暫くして人の良さそうなおじさんが現れた。彼の背後にはさっきの祭司もいる。


「初めましてジョンくん。私は大司教のエイモンドだ。今日は君の魔力について幾つか話さなければならない。

といってもこんな事本当に前例がなくて私も報告を聞いた時には司祭殿もついにジョークを言えるようになったのだなと感心していたところだよ。」


わっはっはと大司教様が笑う。俺も一緒に笑おうとしたが一瞬で真顔に戻ってしまった。情緒が難しすぎる。


「ではまず君の状況だが、この通り全ての魔力に適性がある。どれが向いている、なんてものじゃない。量、質共に最高のSSランクだ。」


テオがほらな、と言うようにドヤ顔で俺を見つめる。


「でも俺魔法自体使えた事ないんです。」


「問題はそこだ。確かに私から見て君には魔力があるように見える。だが検査で出たような強大な力は全く感じなかった。更に……シスターロザリア。」


大司教様が隣のシスターに声をかける。


「君から見て彼はどうだ?」


「ええ、全く魔力を感じません。」


「この通り人間には全く君の魔力を感じることができない。彼女は魔力感知に優れた素晴らしい人材なのにも関わらず、だ。

そこで考えたのだが私は上位存在の血を引いた白魔法の使い手だからこそ君の魔力がわかるのではないかと。そこのドラゴンのお方はいかがお考えで?」


ばれてる。俺からみて今のテオはただのロシアンブルーなんだけどな。やっぱり上位存在の血って普通じゃないんだ。


「此奴の魔力は特殊な捻れ方をしている。魔力が混ざりすぎて人間に認識できる色の次元を超えていると例えるのが1番適切か。」


「流石、私もおおよそ同じ結論に達しました。魔力が異常なのにも関わらずジョン君自身の体は一般的な人間のものだ。

まるで普通の器に誰かが無理やり力をねじ込んだような、そう言った歪さを感じるよ。」


そういやあの神なんかノリで最強の魔力とか言ってなかったか?

つまり俺の今の状況はあいつの適当な異世界もの?が見たいとか言う願望のせいってことか。

…‥次会ったら1発殴っても許されるかな。









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