0話 異世界転生って何?
俺の名前は普遍 凡太郎。16歳の高校生だ。
両親が平凡で安定した人生を送って欲しいという思いを詰め込みすぎたあまり苗字も相まって逆に非凡な名前になってしまった。
とはいえ俺自身は勉強も運動も特出したところのない、至って普通の人間であった。
あった。
そう、悲しいことに今俺はトラックに轢かれてしまい死んでいる。
残念だが、今後俺が普通の人間である。と語ることはできない。
死んでいる状態がどういうものか、そもそも死んだら終わりなんだから状態っていうのも変じゃないのか、などと色々考えてみるも平凡な高校生の俺にそんな高度な疑問を解決できる訳がなかった。
ただ、横断歩道が急にこんなにあからさまに白一色に光り輝いている場所になるはずもないのだから、ここは所謂天国と呼ばれる場所なのだろうと推測した。
あまりにも呆気なさすぎて未練だとかショックだとか感じる余裕すらもない。
「そこのお主!」
上からしゃがれた声が降り注ぎ、俺は倒れたまま顔を声の方に向ける。
目線の先では、真っ白な、いかにも西洋の絵画にいるような老体の神が俺を見下ろしていた。
「お主は普遍 凡太郎だな。」
「そです、けど……。」
「ワシは人間の生死を管理する神。すまない、君は本来死ぬ予定ではなかったのに手違いでこちらに呼んでしまった。巷で言うテンプレというやつじゃ。」
テンプレ?何だそれは。こうやって人が死ぬ事が何かのテンプレートになっているのだろうか。
「いやあ他の神とか異世界モノ小説でこの展開見た時ワシ、ありえねえww仕事は真面目にせいって笑っておったんじゃがのう。」
異世界モノ?の事はよくわからないけど娯楽小説のジャンルだよな。神様って思ったより俗っぽいんだなぁ。
しかも喋り方が妙に腹立つ。文字に起こしたら語尾にネット用語のwとかがついてそうな笑い方だ。
脳内で神様のイメージが崩れていくことに渋い顔をする俺をガン無視しながら神様は続ける。
「という訳で!それなら全部テンプレ通りにしてやろうとチート特典をつけてやったぞ!魔法とか全属性使えるし超強い。しかも向こうにはハイテク機械とかあんまないからの、生まれた時から知識無双とかも出来ちゃったりするぞぉ。」
チート?知識無双?ちょっと待てわからない単語だらけだ。
チートは銃を打つゲームをこよなく愛する幼馴染がよく呟いていた気がする。特典なんだから多分辞書に載ってるような意味とは少し違うよな。
それと魔法?に属性があるのか。ちっちゃい頃妹に読んであげてたシンデレラくらいでしかお目にかかったことないが。某魔法学校映画の再放送録画してたのに俺だけ見てなかったんだよなぁ。
あと知識無双……って何。俺テスト全部平均点ジャストなんだけど。
あまりにも毎回平均点取るモノだから隣の席のタカシにカンニング疑われたことあるんだよなぁ。誰が平均点取るためにそんな事するんだよ。そういやあいつ……
「……それでは若者よ!来世は良い人生を。くふふ、生異世界転生モノ楽しみじゃあ」
しまった、タカシの事思い出してたら神様の話全部聞き流してた。
意識が遠のく。
ところで、異世界モノテンプレって結局なにをすればいいんだ?
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