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五大厄災-三大陸-①

-女王の間-


女王

「厄災だと!?」


勇者は女王に厄災の報告をしていた


女王

「バカな…そんなものは

古文書には記されていなかったはず…!!」


勇者

「……」


女王

「ムースと言ったか?お前が倒したというそいつは確かにそう言ったのだな?!」


勇者

「…はい!」


女王

「あの魔王が厄災の一部…

破壊の厄災バルテア…」


ムース

『記憶の厄災、伝染の厄災、飢饉の厄災

繁栄の厄災……』


勇者

「……」


勇者はムースの言葉を思い返していた


女王

「その五つの厄災がこれまでの異変の元凶だというのだな…記憶の厄災、破壊の厄災は既にお前が討伐している。残るは三つ…」


「…勇者よ、異変は既に各地に広まりつつある

全ての世界が飲み込まれる前に厄災をなんとしても食い止めねばならない、なるべく早く…!

…頼めるな?」


勇者

「ハッ…!」


女王

「それから、この事は内密にな

民に混乱を与えてしまうからな。

ただでさえ魔王消滅後も絶えない異常に皆不安がっている。」


勇者は静かに頷く


女王

「勇者よ、苦労をかけるな」


勇者

「行ってまいります!」


勇者はそう言って女王の間を後にしたーーー


ーーー


町に出て、しばらくすると

1人の町人に声をかけられる


「勇者様…!私、治るんでしょうか?!」


勇者は町人が一瞬、何を言ってるのかわからず、

戸惑い、思わず「へ…?」と情けない声で返す


「これ、見てください…!このアザ!!最近できたんです…!その…厄災を倒さないと治らないんですよね…?!」


首筋にある紫色の丸いアザを見せながらそう詰め寄る町人

そこで勇者は段々と町人の言葉を理解していき

徐々に汗をかき始める


勇者

「な、なんで…?」


すると、さっきまで黙ってるだけだった

ほかの町人が1人、また1人と顔色を変えて勇者に近づいてくる


勇者

「な、なんだ…!?」


町の人に囲まれ、困惑する勇者


「勇者様!厄災を倒しに向かうのですね!?」

「お願いします!母の病気を…!」

「うちの赤ちゃんは無事産まれてきますか!?」


その光景に勇者は激しく動揺する


勇者

「(どうなってる…?この件は内密のはず…!)」


「(まさか僕たちの話を

誰かが聞いていて…それが広まったのか?)」


迫る町人達に勇者は必死に弁明し難を逃れようとする

その時、城の方から声が聞こえてくる


女王

「静まれ、民よ!!」


その声に周りは一瞬で静かになり、

女王は目で勇者に合図をおくる


勇者

「……!!」


「今のうちだ、行け」と

勇者はそう捉え、静かに頷いたあと

その場から逃げるように離れる


女王

「今回の件だが…」


勇者が離れるのを確認しつつ

町人に全てを話す女王


女王

『私達の話が漏れただと?!』


兵士

『は、はい!ど、どうも城の兵士が偶然聞いてしまったようで…。他の人にその事を話していくうちに』


女王

『くっ…!…はぁ。仕方ない…

こうなれば民たちに全てを話すしかない

勇者もおそらく町の人間に囲まれて迷惑していることだろう』


女王

「勇者よ、すまない。頼んだぞ…。」


ーーー


町から平原に出た勇者


女王

『神の力を持たなければそいつらには太刀打ちできないと聞いた…勇者よ、まずは北東へ向かえ

その先にある村に塗装屋がいる。そいつは不思議な力を持っていて、武器や防具の強度を上げてくれるらしい。お前がくることは私から伝えておく』


勇者

「北東…とそうや…」


勇者は身支度を済ませ、出発を開始した


ーー


その後、勇者は馬を走らせ

北東の村にたどり着く


勇者

「塗装屋…アレか?」


勇者は塗装屋らしき建物を見つけ、そこへ急ぐ


勇者

「すまない!勇者だ!塗装屋よ、いるか!?」


ドアを開けてそう問いかけるも

誰も反応せず、勇者は静かにドアを閉めて

奥へと進む


勇者

「おーい!いないのか!一大事だ!」


塗装屋

「お前が勇者か」


奥の梯子から降りてくる男


塗装屋

「女王陛下から聞いている、私の力を借りたいとな」


勇者

「う、うむ…」


塗装屋の圧に思わず尻込みする勇者


勇者

「…装備の強度を上げてくれると聞いた」


塗装屋

「少し違うな、しかしまぁ、それでもいい」


塗装屋は「来い」と言って勇者を二階まで案内する


勇者

「ん?…これは…」


連れてこられた先にはグツグツと何かが煮込まれた大きな鍋があった


塗装屋

「こいつで溶かして、塗って強靭な装備を作る」


勇者

「……?」


塗装屋

「石だ。」


勇者は塗装屋の話についていけず困惑する


塗装屋

「この世には色のついた石がいくつか存在する

その石には不思議な力があり、それを溶かして色にして、それを装備に塗り込めば

装備に不思議な力が付与された状態になるのだ」


勇者

「そ、そうなのだな…?」


勇者は難しい顔をする


勇者

「と、とりあえずそれがあれば

僕は強くなれるってことだな!…?」


塗装屋

「…そうだ。」


塗装屋は呆れた顔をしつつ深く頷く


勇者

「じ、じゃあ早速作ってくれ!

その…何とかってヤツを…」


塗装屋

「今は無理だ」


勇者

「むり?」


塗装屋

「材料がない。石は希少でな。

この先にある三大陸でそれぞれ収集が可能だ。」


「赤色に輝く攻めの石、青色に輝く守りの石

緑色に輝く癒しの石。」


説明を聞きながら指で数える勇者


塗装屋

「まずはそれらを持ってこい

装備に塗り込めば強力な力が付与される

どれも厄災を倒すのに役立つはずだ」


塗装屋

「大陸は海に囲われてる、大陸だから当たり前だがな。行くなら私のボートを使え。外に止めてある。」


塗装屋

「それから大陸にはマモノの他に先住民が暮らしている、無礼のないようしっかり挨拶するんだ。

まぁ、お前は勇者だからそれくらい知ってるだろうが」


勇者

「当然だ!(後でメモしとこう…)」


勇者は早速外に出てボートに乗り、海を渡って大陸に向かった


ーーー


-ヒトツメ大陸-


塗装屋

『初めに行くならまずヒトツメ大陸を目指せ

そこには緑の石、癒しの石が眠っている。

その島でしか取れない貴重な石だ、故に先住民の宝でもある。なんとか交渉して石を手に入れてこい。』


塗装屋の話を振り返り、勇者は早速先住民を探して島を散策


マモノを蹴散らしながら進み

森の奥で小さな村を発見する


勇者

「あれがそうか」


勇者は小さな村へと向かうーー



勇者

「生活してる様子はあるが

人の気配は感じないな、今は留守なのか?」


村についた勇者は辺りを散策し、先住民を探す


「びるねば?」


二足の鳥のような生き物が勇者に声をかける


勇者

「う、うわ!」


突然のことに驚き、勇者は尻餅をついて

それを見上げる


勇者

「(な、なんだこいつは…?マモノ…?

いや、こいつが塗装屋の言ってた先住民か?)」


先住民

「はねびるめりらば〜」


勇者

「な、何を言ってるかわからん…」


民族の言葉に勇者は戸惑うも、そこでハッと閃く


勇者

「そ、そうか!翻訳だ!」


勇者は翻訳のパフを取り出し、握りしめる


先住民

「何者だ貴様」


勇者

「よし!わかるぞ!」


先住民

「ここは我々獣人族の村だ、外部からの交流は許していない」


勇者

「(不思議だ…モフモフしてる…)」


先住民

「おい、聞いてるのか」


「まぁ、よいではないか」


奥の方から二足の羊が歩いてくる


「久々の客人だ、丁重にもてなさなければ

それに最近は何かと物騒だ。こう言う時こそ

互いに尊重し合い、交流を深めておいた方がいい」


先住民

「しかし村長…」


「茶を出してやれ」


先住民に村長と呼ばれる者が

勇者を家へ案内する


「すまんな、狭っ苦しいところだが

ゆっくりくつろいでくれ」


勇者

「あ、いえ……」


村長

「さっきの無礼すまんかった

彼はここの守備役…要するに村の兵士みたいなもんで。警戒心が強いが気にせんで欲しい」


勇者は顔をぽりぽりかいて

村長の話を聞く


村長

「この村ははるか昔我々の祖先がこの大陸を発見し、競争によって勝ち取った記念に作られた伝統ある村でな、ウサギ、猫、ゴリラ…様々な獣人が暮らしているのだ」


外で遊ぶウサギの子供達、それを微笑ましく見つめる親ウサギ、村長の家の前で佇むゴリラ兵


勇者

「モフリ族…」


勇者はボソッとそう呟く


兵士

「おい!変な名で呼ぶな!」


勇者

「あ、す、すまん!」


村長

「ワッハッハ、良いではないか

柔らかそうな名前だ」


村長は大笑いをしながら

勇者の発言を寛大に受け止める


村長

「それでお主、なにゆえこの島に?」


勇者

「あ、いや、実は……」


勇者は事の経緯を村長に全て話した


村長

「厄災…なるほどなぁ…

近頃の異変は全てそいつらが…

石が必要なんだな?しかし、その石は我らの宝

そう簡単に譲るとなると、とても難しい相談だな。オマケに石のある場所はマモノの住みかになってしまったし……」


「…だが一刻を争う。そんな事を言ってる場合ではないな。勇者よ、石はこの村の先の雪山を登った先の洞窟にある。好きなだけ持って行きなされ」


「だが注意してくれ、そこには随分前からマモノが住み着いておる。強力なマモノでな、我々も近寄れんくなった」


勇者

「わかった!恩に着る!」


勇者は村長から地図を手渡され

早速、準備を済ませて村を後にし

洞窟へと急いだ。


ーーー


雪山を越え、洞窟にたどり着く勇者


勇者

「ふぅ…ここか。案外楽に登ってこれたな。」


勇者は洞窟の奥へと進んだ。


勇者

「青ボタル、スナギンチャク、相変わらず色々いるな。マモノ図鑑は手放せない。」


しばらく進むと

足元に何かが接触し、勇者は慌てて剣を抜く


「わっ!待って!!」


勇者

「……?」


足元にいたのは小さいウサギの子だった


勇者

「なんだお前は?村の子か??なぜここに…」


ウサギの子

「う、うん…ちょっと…探検してたら迷っちゃって…」


前歯をキラッと見せて誤魔化すウサギの子


勇者

「(そういえばさっき、村の子が居なくなったと聞いたが…まさかこの子がそうか?)」


「(仕方ない…一旦この子を村へ送り届けて

また戻ってくるしかないな…)」


勇者はそう考えて、ウサギの子に手を差し伸べる


勇者

「ここは危ない、村まで送ろう」


だがウサギはそれを断り、こう続ける


ウサギの子

「あの!あなたは勇者様なんですよね!?

僕、チコって言います!!

ぼ、ぼく!この洞窟詳しいよ!!」


勇者は呆れながら「ダメだ」と返す


勇者

「ここは危険なんだ、マモノも多い

君のような小さな子がうろついていい所じゃない

さぁ帰ろう、家族が心配してる」


チコ

「僕案内するね!!」


チコは勇者の話を聞かず

洞窟の奥まで走っていく


勇者

「あ!コラ!!…うーむ。(まずいな…石探しは一旦中断して強引にでもあの子を村まで連れて行くか。あの子が走って行った方向を辿れば見つけられるはずだ)」


勇者はチコを追いかける事にした。


ーーー


勇者

「おーい!チコー!返事しろ!どこにいる!」


「勇者様〜」


ふと見上げると高台のところにチコがいた


チコ

「こっちから奥へ行けばお宝があるよ!」


勇者

「よし、偉いな!さぁ早く降りてこい

一緒に帰るぞ」


チコ

「じゃあ僕先に行ってるね」


チコはそう言って洞窟の奥へ進んでいった


勇者

「あ、おい!クソッ!」


勇者は急いで高台に向かう


「ピギャーー」


羽の生えたマモノが勇者の行手を塞ぐ


勇者

「あぁ!もう!!邪魔ッッ!!」


勇者はイライラしながら剣を振り、マモノを両断。そのまま走ってチコを追いかける。



勇者はその後もどんどん奥へ向かい、チコの名を呼ぶ


勇者

「ん!?行き止まり…」


チコ

「勇者様!こっちです!」


チコが壁を掘って出てくる


チコ

「この辺は土が柔らかいんですよ」


勇者は呆れながらチコに言う


勇者

「わかったから、もう家に戻ろう

こんな奥まできて…僕は君を守れる自信がない」


チコ

「この先は外です、そこからまた壁に穴を掘っていけば、石のあるところまで行けますよ!」


チコはそう言ってまた奥へ進んだ


勇者

「あっ!!うーむ…。」


勇者が呆れていると

チコが向かった方角からマモノの叫び声が聞こえてくる


勇者

「…ッッ!!チコッッ!!」


勇者は急いで壁を蹴破り、外へ飛び出す


チコ

「勇者様!勇者様!見てください!

マモノです!パパッとやっちゃってください!」


はしゃぐチコに襲いかかるマモノ


勇者

「チコッッ!!」


勇者はマモノまで飛び、一気に距離を縮めて

目一杯剣を振り下ろす


「プギャッッ!?」


マモノは真っ二つに切れて即死


勇者は剣を仕舞い、チコの方を向く


チコ

「すごいや!流石勇者様だ!!」


勇者

「いい加減にしろッッ!!」


勇者の怒鳴り声に驚くチコ


勇者

「村に戻るぞ」


チコ

「で、でも…石はもう近くですよ…?」


チコは近くの壁にぽっかり空いた穴を指さす


勇者

「…じゃあせめて、一緒に歩いてくれ

先先行かず、わかったか?」


チコ

「あ、うん…」


怒りに満ちた勇者の形相に

チコは怯えながら静かに頷く


ーーー


穴の奥へと進む2人


チコ

「あの…僕…ごめんなさい。

勇者様の役に立ちたくて…」


勇者は少し居心地が悪くなり、静かに答える


勇者

「僕も怒鳴って悪かった…他者の命が関わると

どうも余裕じゃ居られなくなるんだ」


勇者は救えなかった人達の事を思い返しながら

そう語る


チコ

「勇者様…」


寂しそうな顔をする勇者にチコは何かを察して言葉を詰まらせる


チコ

「あっ!勇者様、アレです!アレが石ですよ!!」


勇者

「!」


チコは石を発見して勇者に知らせる


勇者

「これが塗装屋が言ってた石か

石というより鉱石だな

確かに緑色だ。癒しの石と言っていたな。

早速削って持ち帰ろう」


勇者は剣を取り出し、慎重に石を削っていく


石を削る勇者の背後から何やらうごめく物体が近づいてくる


チコ

「ゆ、勇者様ッッ!!」


勇者

「…ッッ!?」


後ろを振り返るとそこには氷の鎧に覆われた

クマムシのようなマモノが勇者を睨んでいた


「グジュルル…ッッ」


クマムシのようなマモノが勇者達に襲いかかる


勇者

「チコ!離れてろ!!」


勇者は剣を抜き、マモノに斬りかかる


勇者

「……!?」


マモノの皮膚は硬く、剣が弾かれてしまう


勇者

「くっ…!!」


勇者は一旦、マモノから離れるが

マモノは叫びながら勇者目掛けて突進してくる


勇者は横へジャンプして回避


マモノは通り過ぎた後、勇者の方を素早く向いて

管状の口のような所からデカイ氷の塊を吐いてくる


勇者

「クソッ!!」


勇者は真横へ飛び込んで氷の塊を回避するが

マモノは更に複数の塊を吐き出して

逃げ道を塞ごうとする


勇者は一旦退却するため外まで走る


勇者

「チコ来い!!」


チコの手を取り、氷の塊から逃げる勇者



勇者

「ハァッハァッ…!!」


息を切らしながら外へ出ると

背後から何かが壊れる音とマモノの叫び声が聞こえてくる


「グルルァァッッ」


勇者

「くっ……!!」


壁を破壊してマモノが勇者達を追いかけてきた


勇者は剣を構え、マモノと対峙する


勇者

「ここなら広い!いくらでも逃げられる!!」


「グジュルル…ッッ」


チコはアワアワとその光景を見つめる


勇者

「行くぞ!!」


勇者はマモノに再び接近して

硬い皮膚に力一杯剣を叩き込む


「グジュルァァッッ」


勇者

「くっそ!ダメだッッ!!」


マモノの皮膚はびくともせず

逆に勇者の腕が痺れるだけだった


勇者

「(どうする!?どうしたらいいッッ!?)」


勇者は段々と焦っていく


勇者

「(僕1人なら…だがチコもいる…!

何か解決策はないのか…!?)」


勇者

「(こいつは見たところ、皮膚を氷で覆ってガードしている。あの氷を溶かせれば柔らかい皮膚がもしかしたら露出するはず…!!だが肝心の火がない…!!)」


勇者

「(いや、待て…!!)」


勇者は懐からあるものを取り出す


勇者

「(灯火のパフ…こいつも一応火だよな…!?

こいつであいつの氷を溶かせれる…かな?

いや、とりあえずやってみよう)」


勇者はパフをぎゅっと握りしめながら

マモノの元までジャンプして接近


パフを皮膚に押し当てる


ジュワ〜っと少しだけ氷が溶けて湯気が出る


「グジュルルァァッッ」


マモノは暴れて勇者を振り解く


振り解かれた勇者はマモノから離れた場所へ着地、マモノの様子を眺める


勇者

「(た、確かに溶けたけど、一部だけだ

こんなんじゃ時間がかかる…!

その間にやられるぞ!!何かないのか!?)」


チコはその光景を眺めながら何かを察する


チコ

「勇者様!!ちょっと待っててください!!」


チコはそう叫び、洞窟の方へ走っていく


勇者

「……!?チコ!?おい!!」


勇者はチコを追おうとするが

マモノに妨害される


勇者

「くっ…!!」


マモノは上を向き管状の口から大量に氷を吐く


火山の噴火のように降り注ぐ氷達を勇者は

焦りながらかわしていく


勇者

「ラチがあかない…!!」


勇者の体力が限界を迎えかけた時

洞窟の奥からチコが戻ってくる


チコ

「おーい!勇者様!!」


チコは勇者に棒を投げ渡す


勇者

「チコ!?な、なんだ…!?」


チコ

「それに火をつけてそいつの氷を溶かしてください!」


勇者はハッとして、棒を手に取り

パフを押し当てる


パチパチッと棒から火がつき始める


勇者

「よぉし!!」


勇者はマモノ目掛けて棒を投げつける


棒は皮膚の隙間に刺さり、マモノは勢いよく燃え上がる


勇者

「(氷が溶けた!!…今がチャンスだ!!)」


氷が溶けて露出した柔らかい皮膚に

勇者は剣を投げつける


投げつけられた剣は皮膚に深く刺さり

マモノは叫び声をあげる


勇者

「よし!効いてるぞ!!」


勇者はすかさず走り、マモノの元までジャンプして刺さった剣を引き抜き、皮膚をどんどん切りつけていく


勇者

「ハァァァァァッッ!!」


勇者はトドメにマモノの顎の部分から

腹、股下にかけて剣をスライドさせて走りきった。


マモノは口から緑色の血を吐いて、その場に倒れ込む


「グブジュアァァ……ッ」


衰弱したマモノの頭部に勇者は剣を突き刺し

討伐に成功する。


勇者

「ふぅ…ふぅ…」


チコ

「すごいです!勇者様!!」


勇者はどっと疲れて、その場にへたり込んだ。


ーーー


村へ帰る頃、日は暮れて

道は甘橙色に染まっていた。


勇者

「遅くなったな…。石は手に入ったが

できればもう少し早くしたいものだ…。」


勇者は五大厄災の影響がどこまで進んでるか気になり、焦りを募らせている


チコ

「勇者様!石が手に入って良かったですね!」


勇者

「…あぁ。」


勇者はチコの方を向き、ふと問いかける


勇者

「チコ…冒険は辛く険しいものだ

君が考えてるものと現実はあまりにもかけ離れているだろう。誰かを守りたい、それは誰かを失う事も覚悟しなければならない。」


「それでも君は冒険をしたいか?」


チコは少し考えた後、顔を横に振る


勇者はそれを見てホッとする


勇者

「(ちょっと意地悪だったかな?

だが、これ以上犠牲は出したくない。

悲しみを、苦しみをあの子や他の人間に背負わせたくない。あんな思いをするのは僕だけで十分だ…!)」


その後、勇者は村につき

チコを家族に送り届けた後、村で宿を取り

翌日、村長に挨拶をしたあと

村を後にし、ボートで二つ目の大陸へ向かった。



五大厄災-三大陸-①(完)

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