表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/39

第32話「統一戦争-混乱-」

「知ってる?勇者様、記憶失ってたらしいよ」

「聞いた聞いた!記憶を取り戻す為に真っ先に記憶の厄災を倒しに行ったそうじゃない」

「民よりも先に自分を優先するなんて」

「ひどい話よねぇ…」


「厄災って結局いたの?いなかったの?」


「あいつまた何かやってるらしいよ」

「もう余計なことはしないでくれ…」


「勇者様を侮辱するでない!愚かな大衆よ!!」

「あいつらまたなんか言ってるよ」

「ほっとけほっとけ、勇者様と同じで頭が逝ってるんだろう」

「勇者様からの恩を忘れたのか!?」

「勇者様からの恩なんて受けたことねーよ」


「現れたな勇者め!このマリヴェロ様が相手になってやる!!」

「ガオオ」

「厄災勇者だぁっ」


「俺は手足を失った兵士を何度も見てる

あいつは片目と指を失っただけだ」


「なんで俺たちが責められんの?

元はと言えば勇者様が早く厄災を倒さなかったのが原因じゃん」


「何を言われても我慢する、それが人の上に立つと言うことだ、嫌なら世界を救って見返せばいい!」


「ねぇ、今日打ち上げパーティやらない?」

「いいねぇ、友達誘おうよ」


「うほぉ、あの子の足超エロい」


「畑耕さねぇとなぁ」


ーーー


勇者

「…民を守る価値などあるのだろうか」


学者

「勇者様はどうしたいですか?」


勇者

「僕は……」


学者

「私は勇者様の判断に委ねます」


「マリヴェロ様のことは残念です

でも勇者様の判断は間違っていなかったと私は思います」


「厄災も結果がそうなってしまっただけで

勇者様の行動は正しかったと思います」


「たとえこの先、どんな選択を迫られようと

私は勇者様の判断を信じます」


「……」


勇者は剣を手に部屋を出ようとする


勇者

「うっ…」


勇者の瞼が痙攣する


「勇者様、お疲れでしょう、少し休まれては」


「…いや、こうしてる間にも奴は行動を練ってるかもしれない」


勇者

「神だけは倒す、それだけは絶対だ」


勇者はグッと気合を入れるが

少し歩くとよろけてしまう


「くっ…(くそ…)」


千鳥足の勇者は強い眠気に倒れた

学者がそっとかがみ、介抱する


勇者は深い眠りについたーーー


ーーー


『勇者よ…』


どこからともなく声が聞こえてくる

目を覚ますと勇者は何もない白い空間へと移動していた


頭の中で女性が怯えながら

世界の破滅に遭遇する映像(ビジョン)が流れてくる


『彼らはみな、大陸を滅ぼされ

その犠牲になった者たちだ』


周囲にはシャボン玉のような丸に包まれた

聖者達が浮いていた


『彼らの精神を我が分身に植え付けた

二度と悲劇が起こらぬよう、災いから守る力を与えるために…』


勇者のホルダーが光り出し、勇者の体が少し浮くと引き剥がされるようにホルダーが外れ、遠くへと飛んでいった


『お前の役目は終わった、力(聖者の力)は返してもらうぞ』


すると狭間の外から大きな木のような何かが姿を現した


根っこを足のように動かし、枝でできた両手には巨大な槍が握られていた


ヌシ

『お前は災いを呼ぶ子だ』


勇者

「何を言っている…!?」


ヌシ

『お前を野放しにはできん』


ヌシ

『今ここでお前を消し去り

神は私が葬りに行く』


勇者は身の危険を感じ、思わず剣を構えた


ホルダーから外れた石達が

ヌシの体に取り込まれていく


勇者の(ほほ)に汗が流れる


ホルダーは光のように消滅した


ヌシは槍を構え、薙ぎ払うように横から振り下ろした


勇者はジャンプで回避し、ヌシの顔を見た

その形相は殺意に満ちていた


槍が遠く離れると

勇者は地上へと降り、後ろへ下がった

ヌシとの戦いにはまだ迷いがあった


ヌシは槍を後ろに下げ、勇者の方へ強く突いた


勇者は横に飛んで槍の直撃を回避

ヌシは続けて槍を下げ、何度も突いてきた


何度目かの時、ヌシは槍を上に掲げ

底の部分を勢いよく地面へと落とした


辺りには振動が響く


勇者の足元から光の輪が現れ

柱となり上へと伸びた


勇者は危険を感じてその場から離れた


次々と地面から伸びる光の柱から

勇者は逃げ回った


勇者

「……ッッ!?」


空からは聖者が襲い掛かり

勇者に剣をぶつけた


勇者

「お前は…」


聖者は白目を剥き、勇者を認知していないようだった


襲いくる聖者達の攻撃を回避していると

ヌシが移動しはじめ、その巨体を勇者の方へと向かわせた


勇者

「…!!」


勇者はその巨体に轢かれそうになり

慌ててその場から回避した


ヌシは勇者の方を見て

何度も突進を繰り返し、更に全体重を乗せたプレスで踏み潰そうとした


回避した勇者に槍を再び振り下ろす


勇者はヌシの方まで飛び込み、捻りを効かせた

剣をヌシ目掛けて振り下ろした


槍と剣がぶつかり合う


勇者は影の島で見せた神の力を解放し

ヌシとの力比べを終わらせようとした


その時、勇者の脳裏に聞き覚えのある声が響いた


『勇者ッッ!!』


勇者

「…!?アレク…!!」


勇者の目の前に背を向けた力の聖者アレクトロムが現れ、ヌシの攻撃を防いだ


『勇者こっち!!』


更にどこからか現れた守の聖者エヌトバに手を引かれ

勇者は光の彼方へと消え去った


ヌシは驚いた顔をしてアレクに詰め寄った


ヌシ

『なぜだ…!?なぜお前達が…私を…』


アレクは返答できず、ヌシの力を抑えるのに手一杯だったーーー


勇者はエヌトバに連れられ

何もない真っ白なところにいた


エヌトバの隣には

癒の聖者メナスが立っていた


勇者

「メナス…エヌ…」


エヌトバ

『ソフィー』


勇者

「そ、ソフィー…」


エヌトバに訂正され

勇者は慌てて彼女の名前を言い直した


しばらくしてアレクトロムが現れ

勇者達と合流した


アレクトロム

『大丈夫か、勇者』


勇者

「いや…何が何だか…」


エヌトバ

『ごめんね、勇者…』


アレクトロム

『お前にはまだやるべき事がある

こんなところで終わってはならない』


アレクトロムはそう言うと

何もないところに手のひらをかざし

光の扉を出現させた


アレクトロム

『行け、ここから元の世界に戻れる』


アレクトロム

『ケリをつけるんだ』


勇者は困惑しながらも

言われた通りに光の扉へと消えていったーーー


エヌトバ

『勇者、恐れないで、自分の選択を信じるんだ』


勇者の視界が暗くなる


「勇者、勇者!!」


暗闇の中、勇者を呼ぶ声が聞こえる


「ーーー勇者、起きろ!!」



統一戦争-混乱-(完)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ