第16話「五大厄災-繁栄の女王-I」
ゲレプルとの戦いを終えた勇者は
砂漠の集落に戻り、
これまでの出来事を村長に報告していた。
村長
「そうか、村の者達はもう…」
勇者
「すまない……」
沈んだ顔をする勇者を
村長はキツく叱りつける
村長
「これ!顔を上げい、若いモンがそんな顔をするもんじゃない!」
それでも勇者は顔を上げることができず
声も通らない小さな声で後悔を口にする
勇者
「僕は何もできなかった…
彼らが衰弱していくのをただ眺めることしか…
守れなかった、ガイドさんも…」
村長はため息混じりにこう返す
村長
「あやつは元々戦場に生きる者
死は想定の範囲内じゃ、お主が責任を感じることはない
村の者を守れなかったのは村の長である
ワシの責任じゃ、お主はようやった」
そう優しく諭してくれる村長を見て
勇者の目に少しだけ光が戻る。
ーーー村長に報告を述べたのち
勇者は次なる目的地へと歩み出していた
勇者
『僕は村長の言葉に少し救われた気がした
でも、やっぱり不安は残る
僕は本当にこの世界を救えるのか』
静かに空を見上げる勇者
勇者
『勇者の使命とか、記憶だとか
もうそんなものはどうだっていい
力あるものが立ち上がらなければ
この世界はどんどん闇に飲まれていく、
僕は勇者、奴らと戦えるのは僕だけだ
だから今はーー、やれるだけやってみよう』
勇者は静かに決意を固めるーーー。
ーーー
砂漠から海を渡り、本島に帰還する勇者
勇者
「……」
村長
『厄災の場所はまだ掴めんのか?』
勇者
「あぁ、何も手がかりがない」
村長
『一度、城へ戻ってみてはどうだ?』
勇者
「……」
勇者は最後の厄災の手がかりを掴むべく
城へ歩みを進めていた
勇者
「ザズーラ、最後の厄災…確か奴はそう言ってたな…本島から離れた場所…?
どこの事を言ってるんだ??」
勇者はゲレプルの語っていた事をふりかえりつつも首を傾げる。
ー
勇者
「よぉし、この辺りでいいな」
森を抜けたあと
勇者は指笛を吹いて馬を呼び寄せる
馬
「ヒヒーンッッ」
パカパカと勇者に駆け寄る馬
勇者
「ふぅ、待たせてしまったな
厄災との戦いには何が起きるかわからん
本当なら一緒に連れて行きたかったが
お前を危険な目に合わせたくなかったのだ
勘弁してくれ」
そう言って馬の毛並みを撫でて背中にまたがる勇者
勇者
「さて、何度目かの訪問だ。心して行こう!」
勇者は馬を走らせ、城へと向かったーーー
-プリメーラ城下町-
城に到着し、馬から降りる勇者
勇者
「よいしょっと、ちょっと待っててくれ」
馬
「ブルルンッ」
ーー門を潜ると町の人たちが勇者に気づき、一斉に振り返る
勇者
「!!」
町人A
「ゆ、勇者様…!?勇者様だ!!」
町人B
「おぉっ!!帰ってきた!!ついにっっ!!」
町人が一斉に勇者の方へ押し寄せてくる
町人達
「「勇者様ぁ!勇者様ぁ!」」
勇者
「う、うわぁ…!!ちょっと…!?」
勇者はあっという間に町の人たちに囲まれて身動きが取れない状態に。
勇者
「(なんだろうか…前にもこんな事があった気が…)」
勇者の戸惑いにはお構いなしに
町人は容赦なく質問をぶつけていく
町人
「勇者様、厄災…!厄災はどうなりましたか…!?」
「もちろん倒したんですよね?!勇者様!!」
「雲がパーっと晴れて……あれって勇者様が厄災を倒してくれたって事でいいんですよね!?」
勇者
「お、落ち着いてくれ!順番に話すから……」
勇者は汗を垂らしながら、伝染と飢饉の二つの厄災を倒した事を町人達に伝えた
町人達
「!!」
勇者
「あとは繁栄の厄災を…、ッ!?」
町人達は目をキラキラと輝かせて
勇者を見つめていた
勇者
「うぐっ…眩しい!!(やっぱり見たことあるぞこの光景!!)」
勇者は記憶を失った直後に城へ戻った時の事を思い出し、苦い顔をする。しかし、あの時とは違い今回は成果があるため、それほど焦りはなかった。
勇者
「(なんとかして、この場を抜けて
城まで行かなければな……!!)」
勇者の周りがどんどん騒がしくなっていく一方で
遠くに佇む一人の男性が怒りに満ちた表情で勇者を睨んでいたーーー
ー
男性
「「なぜだ!!」」
勇者/町人
「!?」
その一声に皆が驚き静まり返る
男性
「どうして早く倒してくれなかったァッッ!?」
怒りと悲しみが混ざったような顔をした男性はそう叫び終えるとポロポロと涙をこぼし、その場にうずくまる
突然のことに勇者が呆然としていると
勇者の周りを囲っていた何人かが
男の元に歩み寄り、「オイオイ…」と宥めはじめた
町人
「気持ちはわかるが、まずは感謝が先だろ
勇者様は厄災を倒してくれたんだぞ?」
男性
「こうなっちまったら…もう意味ねぇよ…
厄災は一度かかったら…二度と元に戻せねぇんだろ…??」
そう反論する男性の肩にはよく見ると木の枝のようなものが生えており、勇者はそれを見てようやく「あ……」と状況を把握し、徐々に心がざわつき始める
女性
「大丈夫だよ…!勇者様なら…っ
勇者様ならきっと何とかしてくれるはず!!信じよう!!」
涙ぐみながらも男性を励ます女性
よく見渡すと男性を囲う町人の何人かも
体のどこかに木の枝が生えており、
勇者はやりきれない表情で
ただジッとその光景を眺めることしかできなかった。
ーーー
城へ向かって歩く勇者
勇者
「……」
『どうして早く倒してくれなかったぁ!?』
勇者は男性の言葉をふりかえり、
落ち込んだ顔をしている
ふと前を見ると何やら広場が騒がしい
近づいて確認すると人々が音楽に合わせて愉快に踊っていた
勇者は回り道しようとするが
町人達に捕まり、強引に広場へと連れて行かれる
勇者
「ちょ、ちょっと…!?」
「あ、勇者様だ!」と町の人たちがにこやかな顔で勇者をダンスに誘う
勇者
「あの…待ってくれ、こんな事してる場合じゃ…ッ」
勇者の言葉を遮り、人々は手を繋ぎ
ステップを踏んで楽しそうに踊る
勇者
「え、こう…こうすればいいのか…?
すまん、ダンスは苦手でっ…手を繋げばいいのか??(何をやってるんだ僕は…??)」
勇者は周囲の流れに抗うことができず
言われるがままにぎこちなくダンスを踊ったーーー
勇者
「はぁはぁ…なんとか、言い訳をして…抜け出すことができた…
くっ…まずいな、体力が…どこか休める場所は…」
なんとかダンスから切り抜けた勇者は城へ向かう前に少し休める場所を探す事にする。
ー
町娘
「雲が晴れて、みんなすぐに気付きましたよ
"勇者様が厄災を倒してくれたおかげだ"って。
謎の病状もそれ以降ほとんど広がらなくなりましたし」
勇者
「ほう…(一応収束はしてたのか…。)」
休憩場所のベンチに腰掛け
町娘から現状を聞かされ
勇者は少しだけ安堵していた。
勇者
「(症状が現れた者と現れなかった者、
それぞれで分かれたようだな……
さて、どうする…厄災を滅ぼしたとして
症状はそのままなんだろう……
何か治す方法でもあるのか……?)」
勇者はあれこれと考えを巡らせるが
一向に答えは出ず、グラグラと頭を揺らせていた。
勇者
「(くっ…ダメだ!今はまだ何も思い浮かぶ気がしない……!!とりあえず、まずは残りの厄災を倒す事を目標にしよう
その後のことはそのあと考えるんだ……!!)」
勇者は必死に自分にそう言い聞かせて
ベンチから立ち上がり、城の方を見つめる
勇者
「(残りの厄災を倒せば、きっと何かヒントが得られるはずだ……!!そう何度も不幸が重なってたまるか!!たまには…!たまにはそう…思い通りの結果になってもいいはずだろう……?)」
勇者は唇を震わせながら
城へと歩みを進めたーーー
-プリメーラ城-
女王の間
女王
「そうか…残りの厄災の行方がわからぬと…」
窓の外を淋しげな顔で見つめながら
勇者の話を聞く女王
女王
「何か……ヒントはなかったのか……?」
勇者は女王の様子に違和感を覚えながらも
これまでの事をふりかえり、「そういえば…」と
ゲレプルとのやりとりを話しはじめる
女王
「本島から離れた場所に最後の厄災
ザズーラがいると…??
そうか…本島から離れた場所……えらく限定的だな……」
女王
「大昔に魔王…いや、破壊の厄災バルテアか…
奴が暴れた事でこの世界の大陸のほとんどが消滅してしまった。本島以外で今残ってるのは
影の住人が暮らす影の島、クロメ族の故郷クロメ島、そして3種の部族が住まう三大陸……」
勇者
「三大陸……」
女王
「影の島もクロメ島も住人から特別な許可を得なければ
入る事は難しい、王国の人間であってもな…
三大陸も人間との接触を先住民達が拒んでいるが、そなたは一度訪れている身…そなたならもしかしたら……?」
勇者
「(三大陸か……あそこには五大厄災のゆかりは存在しない…だからこそ、そいつにとっては打って付けなのかも……?)」
女王
「…どうした?」
考え事をする勇者に声をかける女王
勇者
「あ…いえ!その…僕は…
三大陸に行ってみる事にします!!」
女王
「ほう…何か確信があるのか?」
勇者
「い、いえ……ただのカンです!
もしそこに厄災がいなければ
残りの二つもなんとか許可を貰って
入ってみたいと…思います!!」
女王
「うむ……何かあったら私も直に
島々に赴こう。彼らの意志は強固だ
勇者であっても聞く耳は持たんだろう」
勇者
「は、はい…!!…ところで」
勇者はふと女王の態度について触れる
女王
「……?」
勇者
「どうかされましたか?女王様……
先ほどから元気というか…なんというか…その…
お体の調子でも…?」
女王
「……あぁ、色々さ」
勇者はその返答にポカンとする
女王
「今更、情けない話だが妙に虚しくてな…
女王としての権威を失ってはならぬと
強がってはいたものの…私も所詮は人間……」
悲しそうな顔をした女王を見て
全てを察した勇者
勇者
「女王様…やはり姫の…」
女王
「言うな」
勇者の言葉を遮る女王
女王
「すまんな……ここ最近余裕がなくてな……
私もまだまだ未熟だったらしい……
一国を背負う器ではないのかもしれん
こんなに心が弱いとはな……」
女王の顔をまともに見れず
うつむく勇者
女王
「そんな顔をするでない、勇者
そなたはよく働いている……思い詰めなくてよい」
女王
「いかんな…私がこんなでは…
ふぅ……厄災の討伐頼んだぞ勇者様」
女王は落ち込む勇者を見て我に帰り
気持ちを切り替え、命令を出しつつ優しく微笑んだ
勇者
「…御意」
勇者は最早何も言わずに命令を聞き入れ
うつむきながら向きを変えると
ある男に声をかけられる
「ほう、あなたが勇者様ですか」
勇者
「……?」
勇者が顔を上げると
そこには黒い鎧を着た兵士が立っていた
男
「お会いできて光栄です」
勇者
「君は……?」
鎧の男が微笑みながら勇者に話しかけてくる
女王
「あぁ、勇者…紹介が遅れたな
その者はこの城に長く仕える騎士
マリヴェロだ」
勇者
「マリ…ヴェロ…?」
女王
「訳あって、ある島に派遣を要請して調査してもらっていたんだ
今日ちょうど調査が終わり戻ってきたところでな
…そういえばそなたとは初対面になるのかな?」
マリヴェロ
「お初にお目にかかります」
勇者
「ど…どうも…?」
マリヴェロ
「あなたの活躍、よく耳に入れております
厄災を倒すために尽力していると」
勇者
「活躍…と呼べるほどの事はまだ何も…」
マリヴェロ
「ご謙遜を、事実あなたのおかげで
助かってる者も多くいる…あなたはこの世界の希望ですよ」
勇者
「……」
マリヴェロ
「本当なら私も兵士を引き連れ
あなたと共に厄災と戦いたいところですが
いかんせん、都合が合わずーー」
勇者
「!!」
勇者はその言葉を聞いて、即座に回答する
勇者
「悪い事は言わないが……君たちじゃとても無理だ」
それを聞いてマリヴェロは驚いたように目を見開く
勇者
「奴らは生身の人間が太刀打ちできるほどの相手じゃない……悪いがこの戦いは僕に任せて欲しい……!!」
勇者はそこでハッとなり、咄嗟に謝る
勇者
「す、すまん…偉そうな事を…!!
君達を見下げてる訳ではないのだ…!!
僕はただ…純粋に……!!」
必死に弁解する勇者を見てしばらく沈黙を続けていた男が「アハハハ」と笑い出す
マリヴェロ
「さすが勇者様だ、たしかに我々では武不相応だ」
その反応に勇者は呆然とする
マリヴェロ
「今のは単なるジョークです
勇者様ですら苦戦する相手、我々では到底太刀打ちなどできませんよ」
女王
「勇者よ、大丈夫だ
彼はこの世に生を授かってからずっと
戦場に身を委ねてきた
戦術のプロだ、どの程度が危険かどうかは
よく心得ている」
マリヴェロ
「厄災の討伐は勇者様、あなたにお任せします
我々はサポートに徹します、そのために呼ばれたのです」
勇者
「サポート…?」
女王
「いくらお前でも一人だと出来る範囲は狭まるだろう、彼はそんなお前の元で働く事を進んで引き受けてくれたのだ。食料の提供、武器や道具の支援を主にな」
勇者は終始驚いた顔をしている
マリヴェロ
「ぜひご武運を」
勇者
「あ、あぁ…すまない
心強い、よろしく頼む」
勇者とマリヴェロは握手を交わす
勇者
「で、では!行ってくる…きます!!」
勇者はそう言って女王の城を後にする
女王は「頼んだぞ…」と勇者に希望を託す
マリヴェロ
「……」
勇者がいなくなったあと
マリヴェロは目つきを鋭くさせ、
握りしめた拳をワナワナと震わせたーーー
ーーー
勇者
「すまん、待たせた。行こうか」
勇者は馬に跨り、大陸の前にある場所へ向かうーーー
-海岸のほこら-
勇者は海の村を経由して
海岸のほこらに到着していた
ソフィー
『来る場所間違えてるよ
三大陸に向かうんじゃなかったのか?』
勇者
「その前にやること…いや、聞きたいことがあってな」
祈り石の前でソフィーとやりとりを交わす勇者
ソフィー
『謎の光ぃ……?』
勇者はゲレプルとのやりとりをソフィーに話していた
勇者
「その光と僕の強さ、何か関係があると思ってな」
ソフィーは首を傾げる
勇者
「気づいたら体力を削られて
でも戦いが終わってるんだ
なんとなく白い光が出てるのだけは覚えているのだが……」
勇者は一生懸命、光について話す
勇者
「どう思う?」
ソフィー
『どうって……』
勇者
「思うんだが、それは…体感的になのだが
神から貰った力とよく似ているんだ
魔王と戦った時の…」
『ふぅーん…』と興味なさそうに答えるソフィー
勇者
「なぁ教えてくれないか、
どうしたらあの不思議な力を自在に操れるのかを」
ソフィーはキョトンとした顔で勇者を見つめる
ソフィー
『…はぁ?』
ソフィーは目を細めて勇者に聞き返す
勇者
「お前たちなら知ってるだろう
この力の出し方を」
ソフィー
『どうして私たちなら知ってるのさ?』
勇者
「聖者なんだろう」
ソフィーはそれを聞いて呆れるように返す
ソフィー
『あのねぇ、私らは確かに特別な力を持っているけど
でもだからと言って何でも出来る、何でも知ってるって訳じゃないんだよ』
ソフィー
『悪いけどあんたの言う、その光の力とやらは専門外だ、自力で何とかするしかないね』
ソフィーはそう言ってゴロンと寝転がる
勇者
「じゃ、じゃあせめて何かコツとか教えてくれないか
お前たちも不思議な力を持っているのだろう
何かその手の事でわかる事とかあるんじゃないのか?」
ソフィー
『うーん、この世界を救いたいという強い気持ちがあればその力も呼び出せるんじゃない?知らんけど』
勇者は焦ったそうな顔でソフィーを見つめる
ソフィー
『あーもう!私ら聖者は別に神とかじゃないから
知ってる事には限りがあるっつーの!
私らが教えられるのは石の使い方と石の在り処を示すことくらいだ!』
ソフィーはそう言って立ち上がり、両手を広げてベルトのようなものを召喚する
勇者
「…?なんだそれは」
ソフィー
『これは聖者の石ホルダーだ
聖者の石をここにつければ加工しなくても
石の加護を受けることができる』
ホルダーを勇者に手渡すソフィー
ソフィー
『私ができるのはこれくらいだよ』
勇者
「う、うむ…」
ソフィー
『その窪みに石をはめるんだ
加工した方が効果は上がるけどかさばるだろ?』
勇者
「17個、窪みがあるが…?」
ソフィー
『当然、私らの石も含まれるよ』
ソフィーは得意げに言う
ソフィー
『効果は加算しないから
同じ石を複数携行しても無駄だよ』
ソフィー
『効果の倍率は無加工で大体1.5
加工2.5だ、有意義に使ってくれ』
勇者
「その数値は信用できるのか…?」
ソフィー
『もちろんテキトーだよ』
勇者
「……」
勇者は呆れたようにソフィーを見上げる
ソフィー
『こんだけサービスしてやってるんだ
文句は言わせないよ』
勇者
「あ、あぁ。感謝する…」
ソフィー
『その不思議な力ってのも
もしかしたら石の影響がデカいのかもしれないし
とりあえず、その力を出せるようになるまでは
繋ぎとして使えばいいんじゃない?』
ソフィー
『まず手始めに、速力が上がる石
速の石を手に入れてみたらどうだ?
ここからちょっと行った洞窟に自生してるから
取ってきたらいい、あと残りの石だけど〜』
勇者はソフィーに促され、聖者の石を集められるだけ集める事にしたーーー
ーーー
目的の場所にたどり着いた勇者は洞窟を塞ぐ岩をどかし、中を散策する
勇者
「アレか…?」
勇者は洞窟の奥に黄色く光る鉱石を見つける
勇者
「これが速力の石…確か身につければ
足が速くなるんだったな…」
勇者は早速鉱石を削り取り、ホルダーのくぼみにはめ込む
勇者
「お……?!」
勇者の周りを黄色い光が覆う
勇者
「入ってきたな…この感じは…」
勇者はグッと両手の拳を握りしめ
出口に向かって走り出す
勇者
「!!」
勇者は一瞬のうちに洞窟の外へ出てくる
勇者
「これが速力の石の力か…確かに
速度が大幅に速くなったな…!」
勇者は石の効果を改めて実感する
勇者
「祈り石があれば強化できるが、今はあまり時間がない…」
勇者は残りの石を求めて急ぐーーー
ーーー
-プリメーラ城-
城の窓から町の様子を眺める女王
女王
「……」
賑わう町を見て女王は暗い顔をしている
姫
『お母様』
頭の中では優しく微笑む我が子の姿が
女王
「なぜ娘は死ななければならなかったのか…」
女王は窓に手をやり
ギリッと歯を噛み締めるーー
ー
勇者
「よし、ここだ」
炭だらけの勇者は最後の石を見つける
勇者
「飛の石!これで跳躍力が上昇するはず!!」
勇者は早速石をホルダーにはめて
効果を確かめる
勇者
「よし!」
勇者は満足そうに石集めを終了させ、
集めた石を地面に並べる
勇者
「全部で六つ…今集められるのはこれくらいか
意外と本島でも自生してるものだったんだな…」
勇者は再度石をホルダーにはめて
握り拳を作る
勇者
「ソフィーの言う通り、微量だが
力も上がっているな…」
ソフィー
『今のあんたと厄災の力関係を測ってみたよ
厄災の力を50だとしたら
あんたの力はざっと見積もっても、20前後が関の山だろう』
腕を組んでそう語るソフィー
ソフィー
『石は他の能力も強化する性質がある
メインと比べると大分小さいがね』
ソフィー
『今の段階では厳しいけど
17つ全部揃えれば、大体厄災ともそれなりに
戦えるようになるんじゃない?あとはあんたの力量次第だ』
ソフィーから伝えられたことを
ふりかえりながら
勇者は石を眺める
勇者
「正直言って不安だが…今は彼女を信じるしかないな、あの不思議な力…あれが出る繋ぎとして
この力を使おう…」
勇者は決心すると立ち上がり
三大陸を目指して前進したーーー
五大厄災-繁栄の女王-I(完)




