短編 希望だけの物語
私は魔王にさらわれた、王女。
今はこの魔王城に囚われている。
「あぁ、早く助けてください、転生者様」
転生者様、それは異世界から来たこの絶望の世界を救う人のことを言う。
私はその希望を信じていた。
転生者が召喚されてから何日経ったのだろうか。
ふとそう思い、外を見ると、この魔王城に伝説に聞く勇者の姿、あの方こそが待ちに待った転生者。
だけど、なんでだろう。
その人間に会い、外に出て助けを求めると、私は地面を赤く濡らして、倒れていたのだから。
「キュロロロロ」
そうかこの声は私。
これでよかったのかも、もう私は……
(完)