『6』事件は突如起こる
午後1時……暁丘の別道路から、数台の大型トラックが月村町へ向かって移動していた。
各トラックは白の塗装で統一されており、トラックのドアには山猫輸送屋と黒でペイントされている。
運転席でトラックを運転しているドライバーは、黒服を着ており、黒のサングラスを着けていた。
見るからに配達業者ではない格好である。
そしてトラックの群れは月村町の住宅地へと入っていき、それぞれ別々の道へと別れていった。
その一台のトラックは、阪野家の家の前に止まった。
トラックから降りた黒服の一人は玄関の前に立ち止まり、ベルを鳴らす。
するとドアが開き、三十代の男性が現れた。
くれはの父親である。
「セールスマンですか?家はお断りしてますけど?」
男性の返事に対し、黒服の男も口を開く。
「阪野くれはは何処にいる?」
「え?」
「阪野くれはは何処だと聞いている」
黒服の男の口からクレハの名が出てきた事に驚く父親。
知り合いの人と思ったものの、格好からして普通の人ではないと覚る。
「…家の娘に何のようでしょうか?用件を答えてください」
「答える必要などない…」
「ふざけないでください。あなた達は一体何処の者ですか?」
「………」
「何故黙ってるんですか!」
「あなた、どうしたの?」
父親の後ろからシンプルなシャツとロングスカートの上にエプロンを着けたロングヘヤーの女性が顔を出してきた。
「今すぐ110番にかけてくれ。急いで」
「え?」
「早く!」
「わ、わかったわ!」
そう言って母親は電話を取りに奥の部屋へ行こうと後ろを向くが…
突然黒い何かが父親の横を通り抜け、母親の背中を撃ち抜いた。
撃ち抜かれた母親は糸が切れた人形のように崩れ落ちた。
倒れた母親の背中からは血が流れ出す。
「!?何をするんだ!」
「余計なことをされては困るんでね」
黒服の男の後ろにはライフル銃を構えたもう一人の黒服の男がいた。
その銃口は再び倒れた母親に向けていた。
「や、やめろ!」
咄嗟に倒れた母親の前に飛び出し、ライフル銃を構えた黒服の男に向かうが、その間に弾は発射され、父親の腹を撃ち抜く。
「がはっ!?」
「あ……あ…なた…!」
撃たれてその場に倒れこんだ父親に、同じく撃たれて倒れたものの、気力を振り絞って声をかける母親。
「おい、材料はもうちょっと丁寧に扱え」
「仕方ないだろ。撃たなきゃこっちがやられる所だったんだぞ?」
ライフル銃を持つ男に注意をする黒服の男。
「材料…?」
「な…何…?」
遠くから聞きおぼえのある少女の声がした。
クレハの声である。
クレハがルカの発声練習から帰って家の近くまで来ており、黒服の男と父親のやりとりを聞いていた。
「…探す手間が省けたな…」
黒服の男の一人がクレハに気付いた。
「クレハ、逃げろ!早く!」
「お、お父さん!?」
「考えずに早く逃げろ!」
腹を撃たれて倒れた父親が必死にクレハに逃げろと呼び掛けるが、クレハは突然の事に戸惑っていた。
「で、でも…!」
「すぐに逃げれば良かったものを…」
クレハの後ろにはいつの間にか三人目の黒服の男が立っていた。
「!?」
クレハが後ろに気付き、向こうとするが…その瞬間、黒服の男に腹を打たれる。
打たれたクレハの目の前は暗くなり、意識はそこで途切れた。
溜め込んだ文章も少なくなってきたので、
もう少ししたらペースが落ちますと思いますが、
気長に待ってくれるならうれしいです。




