「40」戦いを終え…
クレハ達のピンチにやって来たのは、大型ヘリ…スカイクラウドだった。
「「「スカイクラウド!?」」」
3人が上空にいるスカイクラウドの姿を確認すると、スカイクラウドのハッチが開き、2人の人影が飛び降りてきた。
強化スーツ…アルケミーを身に付けたカクと、ミネルヴァをまとった青髪の女性、シズルは電気の網で動けなくなってる怪人の近くに着地した。
シズルの右手には、近未来的な細身の刀が握られていた。
「カクさん!」
「援軍がきましたわ!」
「もう1人は誰?」
「シズルか!?」
シズルの姿に目を向ける魔法少女の3人にシズルは気付き、3人の元へ顔を向け、喋りだす。
「貴女達が噂の魔法少女達ね。可愛いわね。私は可古馬静流(かこば しずる)。セキュリティアの一員よ。カクとチサトは私の後輩よ」
「は、はあ…」
「シズルさん、ネットが破られてないうちに怪人を!」
カクが急いで怪人を倒すようシズルに呼び掛ける。
「そんなに焦らなくてもいいわ。みんなは一旦下がってて。この敵は私が倒すわ」
「えっ!?1人でですか」
「相手は進化する怪人なんですよ!」
「関係ないわ」
そう言ってシズルは細身の刀を一旦振り、構える。
「私に倒せない怪人なんていないわ!」
「ちょっとシズルさん!」
と、カクの制止を無視してシズルは怪人に向かって走り出す。
それと同時に怪人は力尽くで自らの自由を奪っていた電気の網を引き千切った。
「ネットが破られた!5つの首に気をつけろ!」
「首が多ければいいって訳じゃないわ!」
アンドレアが怪人に掛かっていたネットがちぎられた事をシズルに伝える。
一方シズルに怪人の5つの首から炎のレーザーが放たれた。
しかしシズルは素早い身のこなしでレーザーを次々と躱していった。
そして至近距離に入ったところでシズルは右手に持った細身の刀を切り上げ、怪人の左の首の1つを切り落とした。
そこからすれ違いさまに刀を右になぎ払い、もう一つの左の首を切り落とした。
更に今度は反対側から右の首を切り落とす。
そして反対側も切り飛ばした。
合計4つの生えた首はシズルによって切り落とされた。
「4つの首を簡単に!?」
「なんて身のこなし!」
「ですがこれではまた新しい首が生えて…!」
「これ以上進化はさせん!」
続いてカクが右腕からビームの剣を展開させ、そのまま怪人の膨れ上がった赤い体を突き刺した。
すると、赤い体の中で爆発が起き何かのエネルギーが爆発によって体の破けた部分から漏れ出し、青い血が噴き出し、怪人は苦しみだした。
「え、爆発!?」
「中からエナジーが溢れた!?」
「怪人は内部にフォトニウムを埋め込められていない筈…」
「カク、私ひとりでやるっていったでしょう!」
「話は後で話します。シズルさん、後は頼みます!」
「任せなさい!」
クレハ達突然の現象に困惑するが、カクは後でその理由を話すと言った後、シズルにトドメを任せるよう呼び掛けた。
シズルは再び怪人に向けて走り出す。
しかし怪人も最後の抵抗なのか、シズルに向けて残った最後の首から炎のビームを発射したが、一本のレーザーでは脅威では無いため、簡単に躱される。
「往生際が悪いわよ!」
そう言って刀で斜めに振り下ろし、怪人の最後の首を切り落とした。
切り落とされた最後の首は弱々しい断末魔をあげ、ピクリと動かなくなり、絶命した。
首を失った赤い体も、前に倒れていった。
「…………倒したの?」
「みたい…だね…くっ…!」
なんとか意識を保てたリオが起き上がり、周りの状況を把握するも、怪人によって負った腹の火傷で苦痛を受けている。
リオが受けた炎のビームは本来なら火傷どころが火だるまにされるほどの威力を持っているのだが、シールドが破られた直後に残ったエナジーを腹に集中させたことでダメージをある程度抑えた為、火傷で済んだのだ。
とはいえ、リオの腹に負った火傷は小さくはなかった。
「これはヒドいな…すぐに救護班を呼ばないと…!」
「リオ君!ごめんなさい!」
「ううん、フローリアンは悪くない。これは僕のミスだよ。エナジーの残りを…把握できなかった…僕の…」
「その傷、私が治す!」
と、クレハが両手をリオの火傷した腹に向けて、緑色の光を当てた。
「えっ、フローリアン…!?」
「この光は…!」
「まさか、治癒魔法…!」
クレハが使ってる緑色の光を生み出してる魔法は、治療の魔法だと、ルカは推測する。
「治癒魔法って、可能なのそれ!?」
「ワタクシも自身のケガで試してみましたけど、まだ1度も成功していませんわ。そもそもあれは簡単にできるものではありませんもの」
「それじゃあ、あの光は?」
「恐らく、正常に発動してますわ。リオ君のお腹を見て」
ルカに言われ、スズナはリオの腹を見た。
よく見ると火傷の面積が小さくなっていき、ビームを受ける前の元の肌色に戻っていく。
カクとシズル、スカイクラウドを着陸させ、外に出たチサトもリオの元へ向かい、クレハの治癒魔法を目撃した。
「これは………」
「リオ君を…治療している?」
「魔法って、あんな芸当も出来るのね…」
と、述べる3人。
そして光が消えると、リオが負った火傷はすっかり消えていた。
「凄い…火傷が消えてる…痛みも…!」
先程ビームを受けた腹の火傷とダメージが嘘のように無くなってるのをリオ自身は驚いていた。
ビームによって空いたシャツの穴は流石に戻っていなかった。
「ありがとうフローリアン。ここまでしてくれて」
「いいの。私が助けたかったから…っ…」
リオからお礼を言われたクレハは自分がしたかっただけだと告げる。
しかし、流石にクレハの表情から疲れの色が出ていた。
「フローリアン!?」
「大丈夫。ちょっと疲れただけだから…」
と、リオに告げるクレハ。
後からスズナ、ルカがやって来た。
「リオ君、お腹の方は大丈夫なの?」
「うん。フローリアンが治してくれたお陰だよ」
「けどシャツの穴は直せなかったよ…」
「なるほど、無機物には効果が無いようですわね」
クレハの使った魔法は人の怪我を治すことが出来るが、シャツなどの無機物は元に戻らないことをルカは知る。
そしてカクとシズル、チサトもやって来た。
「リオ、火傷は大丈夫なのか!?」
「兄さん、心配かけてごめん。クレハが治してくれたから大丈夫だよ」
「治した?」
「凄いわね。電脳術で傷を治すのはできるけど、ここまで早く治すのは難しいわ…」
「みんな、先程張られた領域のせいでこちらに映像が来なかったんだけど、領域内で何があったの?」
チサトが電脳空間内での出来事について聞いてきた。
「そうですわね…」
「4人とも、今日の所は部屋に帰った方がいい。連戦続きで疲れてるだろうし、特にクレハは尚更だ。リオ君の怪我の事もある。今回の敵に付いては俺が伝えておくからゆっくり休んでおけ」
ルカが説明する前にアンドレアが4人に部屋に帰って休むよう言われた。
「ええー魔法少女の3人と話したかったのに…」
「また次の機会にすればいいでしょ?」
クレハ達と話がしたいとシズルは求めるが、チサトが止める。
「そういう事だ。後は俺達に任せてゆっくり休んでおけ」
「兄さん…」
「…あんまり俺やクレハ達に心配をかけさせるな」
と、カクはリオの肩に手を置き、気遣う。
「……うん!ありがとう」
「今回、魔力をかなり使い切ってましたし、今後に備えて休んだ方がよろしいですわね」
「リオ君の服も、変えた方がいいしね」
「それなら今のうちに変身を解いた方がいいわ。町の人達が戻って来る前にね」
今回のデバッグ…DUNCANの襲撃で周囲の民間人達は避難してるため、今この場にはクレハ達とセキュリティアの人間しかいないのだ。
変身を解くなら今だとスズナは言った。
「うん。リオ君も風邪引かないうちに行こう?」
「そうだね。こんな姿、見られるわけにはいかないし」
「なら善は急げですわね。それでは皆さま、お先に失礼致しますわ」
「ええ。気をつけて帰ってね。後リオ君の入隊試験は後日改めて知らせるわ」
「分かりました。よろしくお願いします」
カク、チサトに先に帰ることを伝えて、3人は変身を解き、リオと一緒にスカイクラウドを出て、白雲堂へと帰っていった。




