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魔法と電脳の二重奏  作者: キューリ
ファイル「1」
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「39」逆襲の怪人





二体のフォトニックギアと戦ったクレハ達。





最初はDUNCAN側が優勢だったが、リオの機転と魔法少女組の大技によって戦況は見事ひっくり返された。



リオ、魔法少女組、アンドレアはある程度力を消耗しているのに対し、イフリートはほとんどやられており、ガルーダはまだ動けるものの中破状態。


クリーチャーを呼び出す気配も無いところ、打ち止めのようである。


実質5対1という状況で、DUNCAN側が不利であることは明白であった。








「このままではこちらが敗北するのは目に見えてるな…まあ魔法少女達の実力は大体分かった。そこにいる少年の電脳術も脅威なのもな。ここは引こう。加賀!」

「はっ!」






撤退を決意し、赤城は加賀に撤退することを伝えると、加賀の乗るガルーダは両翼を広げて再び飛び上がり、赤城の乗るイフリートの両肩を真上から両足の爪で掴む。







「逃げるのか!?」






アンドレアは逃がさないと右手をイフリートに向けて光弾を発射したが、イフリートを掴んだガルーダが上空へと飛び上がった為、躱された。







「今回は負けを認めよう。だが次はこうはいかんぞ!我らDUNCANの活動はまだ始まったばかりだからな!」






と、赤城が別れのセリフを言った後、ガルーダはイフリートを掴んだまま遠くへと去っていった。




唯一空が飛べるクレハは追いかけようとするが、ルカに止められる。







「エレクトロ?」

「今追いかけても、今の魔力じゃ長くは持ちませんわよ」

「ええ。あのDUNCANって連中、いずれまた戦うことになりそうだしね」






今後はデバッグだけでなくその部隊であるDUNCANにも警戒する必要があることを3人は頭に入れて置いた。


























と、ここで3人は何かの気配を感じ取った。







「!?」

「何?この感じ…」

「ワタクシも感じましたわ」

「どうしたんだ?」






アンドレアが3人の反応に気付き、声をかける。







「ここに禍々しい何か来ますわ!」

「禍々しい何か?まさか…」

「キメラじゃないです!でもこの感じ、似ています!」

「デバッグが仕掛けてきた…!?」






アンドレアも気付いた。


リオも、3人の反応を見てデバッグの1人が来ることだと思い、身構える。









その気配の元が空からやって来た。


日の光に当てられているせいか、影になってその姿を確認できない。







「空から…あれは人…?」








その影は、クレハ達の元へ降りて、コンクリートの道路の上に着地した。






そしてクレハ達はあらわになったその影の正体に驚愕した。




その姿は全長4メートルの異形の生物だった。



体は真っ赤になり、まるで風船のように大きくなっており、手足はその機能を失ったのか、ぶら下がってるだけで、下部の周りには新たに爪が生えていた。


そして首の所は2枚の大きなコウモリの翼と長い首が生え、顔は竜と言うより蛇に似ていた。


その姿はまるで、人だった頃の面影を感じさせていた。







「キメラ…なの…?」

「いや…あの体、人間だった頃の部分がある…これは怪人だな」

「怪人!?本来は人型のはず…!」






アンドレアが相手が怪人だと判明するも、異なる姿にリオは疑問を感じる。


が、現れた怪人はクレハ達に向けて威嚇し始める。







「この怪人、初めて会った気がしない…」






クレハが現れた怪人に違和感を感じた。





「え?」

「フローリアン、この敵あったことがあるの?」

「ううん、姿は違うけど、この感じ…覚えがある…」





スズナが目の前の怪人を知っているのかとクレハに聞く。






「フローリアンは気付いたようですわね。恐らくあの怪人は昨日デバッグの基地でドラゴンの炎に焼かれた隊員の1人ですわ」






ルカの答えにクレハとスズナは驚く。







「あの人、生きてたの!?」

「あの怪人が?私達が会った怪人はあんなグロテスクな姿じゃなかったわ。赤い鬼のような姿だったはず」

「適合してなかったのでしょうね。詳しくは分かりませんが、フォトンエナジーが不安定になって変異したのかもしれませんわ。あの様子だと」

「あの人は確か、ドラゴンの炎に…」






あのデバッグの隊員は確かに昨日、ドラゴンのキメラの炎に焼かれていた。


黒焦げになっていたため死んだのかと思われたが…








「ええ。本来ならあの炎に焼かれて無事でいるはずないと思ったわ」

「ですが生きていましたわ。かろうじて虫の息状態の彼はフローリアンが外へ出た後、近くに落ちていたフォトンエナジー注入用のケーブルを最期の力を使って自らの体に挿して怪人となってワタクシ達に襲いかかってきましたわ」

「けどすぐに避けて、そのまま基地の外へ落ちていったわ」

「出落ちか?」






アンドレアの冗談が入る。






「アンドレアさん………」






流石の冗談にルカは呆れ顔になる。







「けどまさか、ピンピンしてるなんて…」

「怪人が落下して死ぬなんてことはないからな」






デバッグ基地でスズナ、ルカがいたフロアはかなり高い所だったため、飛び降りた怪人が無事で済むはずがないと2人は思っていたが、いまこうしてあの怪人がここにいるという事に驚きを隠せずにいた。






「とはいえ、この怪人が町中に現れた以上放っておくのは危険ですわ。すぐに片付けましょう」

「俺ですら初めて見るタイプの怪人だ。気をつけろ!」

「みたいですわね。みんな武器を構えて!アンドレアさんとリオ君は下がってて!」





アンドレアの忠告を聞き、ルカはメイスを構えてみんなに指示する。


クレハ、スズナも剣、槍を構える。



戦闘開始というところで怪人は真っ先にクレハ達に向けて口から炎のビームを放ってきた。


直線上に放ってきたため、クレハ達は左右に散開して避けた。






「あのドラゴンの炎ほどではないけど、直撃は避けたいわね」






怪人のビームを警戒しつつスズナは槍を構え直す。






「怪人はキメラのような頑丈さはないが、それでも強敵である事に変わりない。油断はするな」

「はい!」






と、アンドレアはみんなに怪人でも油断しないよう戦えと伝え、リオ、クレハは同意し、クレハは剣を構えた。


怪人を中心に3方向を囲むクレハ達魔法少女組。



いくら怪人でも、炎のビームの範囲はそこまで大きくなく、簡単に躱せる。


1人が躱した所で残った2人で仕掛ける。


外見、1度に多くの敵を相手に出来る攻撃は皆無だろう。






















しかし、その発想は崩された。




なんと、怪人の大きな腹が揺れるように動き、新たに2つの頭が膜を破るように生えてきたのだ。


新たな2つの頭の周りは粘液のような物がまだついていた。







「な!?」

「頭が生えてきた!?」

「これは…まさか…!」






クレハ、スズナが驚く中、ルカは新たに生えてきた2つの頭を見て気づく。


同時に怪人は3つの頭を3方向に立つクレハ達魔法少女組に向け、炎のビームをそれぞれの口から発射した。



3人は炎のビームにすぐに対応し、横へ跳んで避ける。



が、この時点で判断を誤ってしまった。



炎のビームを出してる3つの頭はそのまま3人が避けた方向へ向けてビームの軸をずらす。







「「「!?」」」






突如のビームの軸ずらしに対応が遅れ、3人はビームに当たり、爆発が起きた。



爆発と共に3人は悲鳴を上げながら吹き飛ばされた。


直撃は受けたが、武器で防御したため軽傷で済んだ。






「みんな!!」

「馬鹿な!進化しただと!?」






怪人の突然の変異に驚きを隠せないアンドレア。


しかし、リオは怪人の変異よりも先にクレハの元へ向かった。







「リオ君!」

「あの怪人はフローリアン達を狙っている!こちらに対する警戒は無いはず…!」






と、リオは走りながら光弾を右手から連続で発射した。


放たれ光弾は殆ど体に当たり、傷を負わせたが、決定打には至らなかった。



そして被弾に気付いた怪人は邪魔された事に怒ったのか、リオに向けて炎のビームを時間差で発射してきた。







「くっ!」






リオはこちらに放ってきたビームに対し、一撃目は右に躱し、二擊目は左に避けて、最後の三擊目は右手に作っておいた電脳術による光学シールドで真っ向から受け止めず、傾けてから右に受け流そうとした。


そしてそのまま怪人の元まで距離を縮めていく。







「ここだ!」







至近距離まで近付いたリオは次の一手として先程ガルーダを縛り上げたフォトンワイヤーで、怪人の3つの頭の首元をまとめて縛り上げ、それを右の翼に巻き付けた。







「上手い!」







これで炎のビームは撃てない。






















と、リオがそう思った次の瞬間、体から更に2つの頭が生えてきた。







「また進化…危ない!!」

「!?」






アンドレアがリオに呼び掛けるが、それより先に2つの頭はリオに目掛けて炎のビームを発射した。




咄嗟にリオは光学シールドを貼ってビームを受け止めようとした。




















が、






光学シールドにヒビが入り始める。






「!!?」







怪人の2つの頭から放たれたビームを受け止めていた光学シールドは割れてしまい、そのままリオの体に直撃し爆風を起こし、クレハの元へ吹き飛ばされてしまう。








「リオ君!?」

「ううっ…!」






同じく吹き飛ばされたクレハは、立ち上がった所で飛ばされたリオに気付き、側に駆けつけた。


ここで苦しむリオを見て何かに気付き、クレハはリオをうつ伏せにした。







「!?ヒドいケガ…!!」







飛ばされたリオ自身の服は殆ど焦げ、お腹部分が露出していた。


そのお腹にもやけどの跡が結構残っていた。


見た限り、ビームの直撃を受けたリオのダメージは軽いものでは無い事がよく分かる。







「リオ君、ごめんなさい!私のせいで…!」






と、リオに謝るクレハ。


一方、怪人の3つの頭に巻かれたフォトンワイヤーは消え、合計五5つの頭がクレハとリオを見つめる。


怪人はクレハ達を狙い始めようとしていた。







(マズい…もうリオ君のフォトニウムにはエナジーが残ってない…!)






アンドレアはリオの持つフォトニウムのエナジーがもう無いことを知る。





電脳術も無限に使えるわけではない。


電脳術の発動に必要なエネルギーはフォトンエナジー。


つまり、フォトニウムの中に蓄えられているフォトンエナジーを消費しなければならないのだ。


しかしフォトニウムには同じ大きさでも質によっては蓄えられるエナジーの貯蔵量は異なり、例え大きなフォトニウムでも貯蔵量が少ない物も珍しくない。


今回リオはフォトンワイヤーと魔法に似た炎の球の生成に加え、前線に出て電脳術を行使してる為、リオの持つフォトニウム内のエナジーを使い果たしていたのだ。


エナジーが無ければ電脳術は使えない。


仮にエナジーが残っていたとしても、リオの受けたダメージは大きく、動ける状態ではない。



リオはこれ以上戦えない。



魔法少女達はクリーチャーの群れ、フォトニックギアと戦っており、余力はちょっとしか残っていない。


アンドレアはまだ体力もエナジーも残っている。






(俺のフォトニウムのエナジーはまだ半分ぐらい残ってる…フォトンランスは後4発ってところか…いくか!)






アンドレアが電脳術を発動。


光の槍を右手に生成し、クレハ、リオに近付く怪人に向けて投げた。



しかし光の槍は怪人の腹に刺さることなく、弾き返された。







「な!?」






フォトンランスがはね返されたことにアンドレアは驚く。


と、怪人の首の一つがアンドレアに向き、炎のビームを放った。







「うおっ!?」







咄嗟に横に跳んで躱す。






「くっ、隙が作れない…!」






流石に5つも首があると、死角は無いに等しい。


何よりキメラより防御力が低い怪人がフォトンランスを弾き返すなんて普通はあり得ない。


進化した事で防御力が向上したのだろうか…






しかしこれでアルケミストの攻撃は効かなくなった。






「そこの怪人!ワタクシが相手ですわよ!」







と、飛ばされたルカがやって来てサンダーボルトを放ち、怪人の動きを一時的に止める。


しかしダメージはいまいちである。







「威力が足りない…魔力が約半分ぐらいとはいえ、ワタクシの魔法では決定打には遠いですわね…!」






現在魔法少女組でルカは魔力が沢山残ってるが、使う魔法の威力の性能が低く、怪人に大きなダメージを与えられない。


ルカの攻撃魔法は殲滅力に長けてるが、耐久力の高い相手には不向きである。







「エレクトロ、私もやるわ!」








復帰したスズナが怪人に向けてアイスニードルを放つ。














しかし、発動したアイスニードルは3本の矢しか生成されず、怪人の赤い体には刺さらず跳ね返ってしまう。







「え?これだけ!?というか跳ね返った!?」

「やはり、雪月花も魔力を消耗している…!」







魔法少女達の使う魔法は自身の魔力によって性能の強弱が決まる。


スズナはイフリート相手に強力な魔法を使う際、かなりの魔力を使ったため残り魔力が少なくなり、アイスニードルの生成される氷の矢も本来より少ない数しか生成出来なかった。


これにより、総合火力が落ちてしまったのだ。


これではスズナの魔法は期待できない。


とはいえキメラ級の強さを持ったフォトニックギアを相手にしてる為これは仕方が無いことである。


彼女達の魔力貯蔵量では、これ以上の連戦は難しいのだ。





アイスニードルを受けた怪人だが、こちらには向かず、少しずつクレハと重症のリオの元へ近付いていく。







「フローリアンはリオ君を連れて下がって!雪月花、二人でひとまずこの怪人を止めますわよ!」

「分かったわ!」

「うん。リオ君を下がらせたら私も戦うよ!」






と、クレハをリオの側に残し、スズナは怪人の後ろに回り込んで、ルカはクレハ達の前に立ち、正面から攻撃を仕掛け始める。







(とはいえ、ワタクシと雪月花ではこの怪人を倒すのは無理ですわね。やはり決め手となるのはフローリアンの高威力の魔法…!けどフローリアン自身も魔力を結構消費している…他に手は…!)







雪月花は槍による近接戦は得意だが、遠距離は基本苦手。


雪月花の魔法は単体に対して威力を発揮するが、魔力が消耗しきっている今の状態では決定打には届かない。



フローリアンは高威力の魔法を得意とするが、魔力消費が大きいのが難点。


大きな魔法こそ使っていない為、魔力はまだ残っているだろうが、目の前の怪人が炎のビームを放ってた所を見る限り、炎に耐性があるとエレクトロは推測する。


その証拠に、怪人の赤い体には何やら熱気が溢れており、地面のコンクリートを少しずつ溶かしていた。


だとすれば、炎の魔法では相性が悪く、効果が薄いのは目に見えている。



エレクトロの使える魔法もこの怪人相手には火力不足である。
















打つ手無し……


その言葉がルカの考えを横切っていく…


敗北が迫りつつあった。

























突然空から雷球が落ちてきて、怪人の元へ落下。


すると、雷に覆われた網が現れ、怪人を覆い被せて動きを封じた。






「!?」

「何!?」

「この網は!?」

「ライトニングネット!?これが降ってきたという事は…」






3人は少し戸惑い、アンドレアは電気網の正体を知り、何かを確信した。





















「「スカイクラウド…目標地点に到着!よく頑張ったわねみんな!後は私達に任せて!」」

「え!?」

「チサトさん!?」

「2人とも、上を見て!」






ルカに言われてクレハとスズナは上を見上げた。









なんと、空の上にはその場で停滞して浮いている大型ヘリ…スカイクラウドの姿があった。



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